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言葉のひとつひとつに歓声があがり
思い思いに笑い転げ
級友たちの恋の話は
昼休みの教室で佳境をむかえていた
数年も経てば
誰もが通る道である
ということを知るのだろうが
その前に ....
封じ込めたい
想いだけでは
精製できない
透明な水結晶
純粋でない核 宇宙との狭間
命を拒む冷気 気圏 ....
幸せな人を見るのが好きだ
あなたがうれしいと 私もうれしくなる
幸せな人を見るのが好きだ
優しいあなたを見ていると 優しくなれる
幸せな人を見るのが好きだ
昨日泣 ....
空が飛んでいる
空が飛んでいるので全ての羽が浮上する
見つめることはいつだって透きとおる
見下ろせば ものの在りかはかなしい
重力の堆積が歴史で出来ているなら
ぼくらの言葉は足跡のように ....
彼らはその肉の産地が
わかっているようだったが
わかっていたんだなと
気付くまでに
俺は缶ビール一本を飲み干していた
俺の脳は密林育ち
どんな鳥もつまり
羽のあるデ・ジャブーにしか見 ....
空ばかり流れる雲なら
風の中を流れる雲にしてしまえ
地球上で悩み多きなら
いっそ心の中に
地球を入れてしまえ
小さな君が
絵をえがく
大きな紙に
まっすぐに向かって
まるで 挑んでいるかのよう
これっぽっちも迷わない
どんどん どんどん かいていく
どんどん どんどん 君の不思議が現 ....
北風の声が少しずつ
冷たさを増す12月
いつもと同じ帰り道
佇むように咲いていた
小さな体いっぱいに
陽射しを浴びてのんびりと
場所を間違え根を伸ばし
季節を忘れて咲い ....
悔いなんてなにもない
なんてどうでもいい嘘をついた
その部屋は冬の海のように
優しく揺れ続けている
雪に咲いたあの花の名前を
結局思い出せないままだった
君は時計とともに僕の部屋へ来て ....
こんなさびた暗いアパートに
なぜぼくは住まなきゃいけないんだろう
カスバの女をよく歌っていると
父さんに言ったのは母さん
その歌を二階の女の人は
今日は歌わず階段を降りてきた
....
空がこんなに青いからって
自分を責めることはないさ
世間が眩しいからって
君がいないほうがいい
なんてこともない
握り締めた土くれには
君の跡が残る
降りしきる生死の中
涙 ....
これから明けていくというのに
どんな闇より深い
口笛が
聞こえる
とぎれがちになるのは
灯台が
瞬くから
そして波が
騒がしい
そう、音が
熱をともなって
肌を
突きぬ ....
玄関のドアを開くと
右手の壁に一枚の絵が{ルビ掛=か}かっていた
六十年前
I さんが新婚の頃に過ごした
緑の山に囲まれた海辺の村
二十年前
定年まであと一年を残して
急病で世を ....
その指先に
凍れる紅をさし
頬の産毛を粟立たせ
きみは
街なかの雪に泳ぐ
手のひらで固めた結晶は
赤い目を探すうち
もはや雪でなく
氷の透明に変わっている
そんなにも ....
いつのことでしたか
忘れてしまいましたが
絶句したその無言の先に
あの日がちらついていたのは、確かです
日溜りの微笑む
静けさのなか
涙は花ひそめ
無表情に泣いていました
それはか ....
通勤の途中にね。大きな川があるのだ。
もぅ海にも近くて、潮の満ち干きにあわせて、
川の水位がずいぶん変わるの。今日なんかは、なんての
もうほとんど水がなくて、はるか向こう岸まで歩いていけるの ....
戯れ言は、
繰り返された。
繰り言は、
聴き飽きた。
咀嚼なき言葉を吐くな。
飲み込んで、
味わうがいい。
それがお前の、
侮蔑だ。
....
雨の来ない図書室では
忘れるように眠ることが出来た
背の高い書架の影で彼らは
姿を確認するために囁き合う
私の載っている本がない
私たちの乗っている街は
地球儀の上に針で止められている
....
真夜中の毛布に隠れ
短い振動が
密かにわたしを呼ぶ
七十センチ横では
きみの見知らぬ連れ合いが
高らかに寝息で嘘を吐いている
幸福の整理券を
並んで手に入れたものの
本当は少し ....
見上げる空は
はるか広く
視界のすみには
そびえ建つブロック
壁際を歩けば
自由でない事を知り
どこまでも続く壁に
それでも世界は
広いのだと知った
短い冬が終わりを告げる頃
街並みの全てが水平となり
凍り損ねた思い出たちが
空気の底に溜まります
両手を器としてそれらをすくい
私の体温を少々与えてから飲み干すと
薄氷色の街並みが
私の ....
きみと、
あなたと、
いればいい。
外と世界も、
内に秘めた心も、
いらない。
目を閉じろ。
脱ぎ捨てて、
裸になれ。
....
やまねの親子は毬が好き
雪の山道人気が途絶え
歩く人影消えたので
やまねの親子が顔を出す
寒い朝だとおとうさん
冷たい朝だとおかあさん
明るい朝だと子供たち
冬眠醒めたら遊ぼうね
....
戦争の前夜
挑む者はどのような心境だったか
逆行の世
傷みを知った者極楽へ行けば
そこは癒しの都
しかし教訓を地獄へ葬る
子が親を殺し
親が子を殺す
向こう三軒両隣互いに挨拶も ....
ひどく壊れた
{ルビ短笛=ピッコロ}の夜
胸の隙間にしみこんで
かたく凍った涙が
この身を裂く音
修行者のように
振り仰いだまま
静寂に刻む
生きたまま
この身を裂く音
....
あるときは
強く美しい旋律を奏でる
それはまるでピアノの線
あるときは
掴むには細く守るには脆い
それはまるで蜘蛛の糸
喜びも
哀しみも
銀色に光るひとすじの涙
ユメ見ることもできないくらい
疲れ果てた僕は
今宵も嘆くことばかり上手だ、
本当の心を口にしない僕は
やがて本当の心が
口に出せなくなる、
コトバを選びすぎる僕は
そうして何も話せなくな ....
すてきな しっぽのある
いきものを もらった
まちがって しっかり
聖水で 洗ったら
死んでしまった
恐ろしいことは何も無いので
このかまくらへどうぞ
甘酒
みかん
お漬物
はい
手を出して
一緒に飲みましょう
一緒に食べましょう
もうここから出たくないと
思いませんか
わたしと ....
あの人の
名前を呼びたくなったなら
音にはせずに
水に書くよ
岩に刻まず
砂に描かず
水に書くよ
すぐに流れて
この世から
思いは水底に
叫びは水面に
波紋は ....
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