すべてのおすすめ
夏空が泣きはらす
夕立の前はやたら蒸し暑い。
渦を巻く熱気のせいで
僕は下着までびちょびちょだよ。
君は美少女の小窓。
今はエアコンの優しさが
君の胎内を潤しているから
とりあえず君 ....
サンディの煙草は誰にも止められない
と、誰もが思っていることを
サンディはなんとなく知っている
黒く長い髪
茶色のひとみ
その他の身体的特徴
にもかかわらず
サンディといえば
....
君は変わったね
同じことを
君が言い出す前に
キスをしよう
全てが始まったあの日を眺めながら
全ての終わりを語る唇を
塞いでしまおう
傾く船にはもはや
救いの手立 ....
眼下には海の藍
振り返れば風が岩を離れ
大声で歌いだす荒野
アイスボックスから取り出したジンにレクストリームを数滴
緩やかな緑
車はあいつに借りたワゴンRで
今日は帰るつもりなどない
松 ....
久しぶりの帰省すると
父も母もさらに
小さい
そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感
いなり寿司とか
フルーツとか
裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり
花を ....
それは
いまにも
きえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえに
あらわれ
ながれにおち
うすみずいろに
ひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
こげちゃい ....
その角を曲がると
いつだって彼女は立っている
そこに、体に付いたしずくを払って
その度に小さくなっていくようだ
しずくが地面に消える分だけ
ビルはその背丈を伸ばして
猫たちの逃げ込む隙間を ....
末端の夜で
日常にある
輪郭のない
さびしさを
手繰り寄せる
その顔は
か細くゆがみ
青白い灯火に
照らされて{ルビ寝=い}
さまざまな角度で欠けている
ほおいほおい
呼 ....
タクシーで溺れた
昔はあんなにうまく泳げたのに
手足をばたばたさせても
座席の底のほうに沈んでいくばかりだ
ナイター中継を聴きながら
運転手さんが舌打ちをしている
水の中では舌打ちすらでき ....
海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす
生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい ....
桜は散った
悲しみの声も虚しく
桜は散った
嘆きの声も虚しく
悲しくても
嘆いても
空は紺碧のまま
蝉時雨は散った桜の心模様
散りゆけば桜花の里に蝉時雨 ....
男は戦う
おのれのために
男は戦う
愛する人のために
されど
失ってはいけない
自分自身を
されど
悲しませてはいけない
愛する人を
男は戦う
今 ....
忙しいと言いながら
忙しそうにしている人がいた
忙しい毎日が嫌だとぼやきながら
忙しいのは何故かしらと呟きながら
忙しさから解放されそうになると
忙しく何かを探しはじめる
忙し ....
瞳を閉じれば 海が聴こえる
心はいつでも航海したまま・・・
瞳を閉じれば 田園が見える
心はいつも旅に出たきり・・・
瞳を閉じれば 街の雑踏のなか
心はいつも出会いを待って ....
わたしの中に森が生まれたとき
その枝は音もなく広げられた
指先から胸へと続く水脈に
細く流れてゆく愛と
時おり流れを乱す悲しみ
わたしを立ち止まら ....
うだるような暑さ
浮かぶ汗は彼の人を飾るオパール
薄いガーゼのシャツ
肢体を包んでいる
あまい匂い
バニラアイスみたいな
舐めたくなるような
誰にでもこんなことするの
と
わたし ....
一面に広がるラベンダー
どうしてもそれが見たいと
突然君は言い出した
桜の花びらが散り始めた頃
僕らが乗り込んだグリーンの列車は
寝台特急トワイライトエクスプレス
子どものようにはしゃ ....
それが誰なのか、
記憶を探れば出てくるが、
誰が誰であったか、
この部屋では関係ない。
窓の向こうに手を伸ばそうとも、
扉の向こうに声を掛けようとも、
ひとつも ....
こんなもん
めんどいじゃん
一枚のぺなぺなが
君と僕とを引き裂いちゃう
嘆きの壁をいくらノックしても
居留守を使う君のママ
どうやら僕がお嫌いらしい
相手のことを苦手だって思うと
....
安全ピンに とめられた
近くで 鼓動が聞こえる
建てられた家の壁の 奥
にぎやかな笑も 枯れて
この 残された クサビだけが
奪われたものに対する こたえ
やがて 消えた鼓動の ....
うまく笑おうとすれば
すっかりゆがんでしまったのは
自分の心だと気づいた
小さい頃
クレヨンで描いた自画像は
まるで似ていなかったけれど
それはきっと
心で描いたからなんだ
....
千の春をおまえに
父と母の願いどおり
千の春をもって生まれてきたのか
よわむしのあなたに ひとつ
じぶんかってなあなたに ひとつ
おこりんぼうのあなた ....
仕事帰りの溜息と
一緒に開ける玄関に
がさりと音立てるチラシ広告に隠れて
茶封筒がひとつ
独りよがりな祈りを
天使は聞き届けてくれたらしく
それは
ご褒美のように
届い ....
そらはただ
おどるように青くて
鳥の音だけが
そらを支配する
遠くに見えた空き缶の色は
ぼくにとって空の色だった
沈んでいく雲の色だった
どぶ川に浮かぶ自転車のサドルに
腰掛けていた
マンションの屋上には
淀んだ雲が腹をのせている
....
僕は陽に晒されて良く焼けた肌を
君に見せつけるように
ビキニのスイムパンツに履き替える。
丸出しのおへそから地続きでつながる
僕の思いやり
君は、はにかみながら指先で弾く。
えっ、 ....
地球の上をキスが回る
西サモアで、島の祭りに酔う恋人達が、夕闇にまぎれて初めてのキスをする頃
ブエノスアイレスの酒場では、疲れ果てた中年の男に、ウェイトレスがやさしいキスをし
セーヌ川の ....
涙がつたっていた
朝のことだ
見ていたのか
夢を
(思い出せない)
遠くから鈴の音
昨晩のことだ
届いたのか
手紙が
(治らない)
涙がつたっていた
朝の風が
....
あなたが海を歌うとき
わたしの瞳は波になる
愛していたと
告げる言葉が悲しくて
静かに揺れる波になる
あなたが空を歌うとき
わたしの胸は波になる ....
窓ガラスのむこう
僕の部屋から公園が見える
君と何時間も話した
犬の置物のある公園
あの犬の置物は
まだあるのだろうか
とっても可愛い犬の置物
君 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80