クリ

子供が砂場に大きな山を作っていた
僕はただそれを見ていた
砂の山は子供の背丈よりも高くなっているのに
子供は裾野を広げようとせず
ひたすら高く高く砂を積んでいった
あちこちから少しずつ砂が崩れだしていることに
子供は気づいていたのかいなかったのか
僕はただそれを見ていた
そして最後のひとすくいの砂とともに
山は崩れ去った
子供は泣いた
僕はただそれを見ていた

飲み終わったペットボトルを投げ捨て
砂場と子供を後にしたとき
何かがサラサラとこぼれだした

          Kuri, Kipple : 2005.07.07


自由詩Copyright クリ 2005-07-07 19:14:49
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