ふいに車庫にさえずり響く
つばめかえって春の訪れ
よくかえってきてくれたと
冬の家族の顔がほころび
ふいに気まずくなってそらした
言い争った口と口
希望の羽ばたきは力強く
古 ....
*
暗くないんだって *
何度言えばわかるんだろう
―*
〉エレクトロニクス 〈 エレクトロニクス *
(曼陀羅に浮かぶ釈迦は横になっている)
*
宇宙にはこんなにたく ....
誰も批判しない箱の中
ぬくぬくしていて気持ちがいいよ
でもね、世界は
箱の外でまわっているの
天の川は決壊しました
あふれた星屑は
流れて地上へ旅に出ます
口を開ける ....
罪悪感を感じる、
生きていることに。
楽しむことに、
幸せを感じることに、
鼻歌を歌うことに。
でも。
いいじゃない。
誰の分だって、かまわない。
天寿を全うするま ....
墓地の芝生の上を
早春のあかるい風が吹き
ある白い墓標のかたわらで
小さなデイジーの花束が
微笑んでいた
そのことをくりかえし思いだす
私ひとりの影と
しずかな陽射しと
そ ....
熟睡までしばし
左腕はロボットの優雅
無駄を許さぬアルミ色
組立て式安物音楽のリストは以下
・ペーパー・クリップ
・油粘土の緑
・びよよんなバネ
・一応 悲 ....
餌をやると渡り鳥は死ぬ
餌やるひとが死んだら死んでしまう
つぎの地で餌をじぶんで見つけられなくて
死んでしまうのかも知れない
飯食うために命をかけて
何千キロの空をゆ ....
また 泣いている
性懲りもなく
言葉をかくものは
言葉でやられる
ソングライターが
急性ストレス障害になる
画像プラス言葉は
激しい
揺れる
揺れる
心も脳も
....
いろいろなものを
誰よりも多く掴もうとして
硬くなってしまった
てのひらの
欲張りな力を
少しずつ緩めてみよう
うっかり掴み損ねたものは
そのまま放っておけばいい
本当に必要な ....
しをかいてはいけない
おしりをかいてはいけないのと
いっしょで
かゆいからといって
かいてはいけない
そこにてが
とどいてはいけないのです。
雨が降る
黒い雨が降る
*
夢の島
誰が名づけたのだろう
ぐぐったところで明確な由来などでてきやしないこの島で
静かに眠り続ける一艘の船
東西冷戦の最中
高 ....
朝
青空のなかに
すべて
揃っているのに
一つだけ欠けている
つぎの朝のために
ぼくは
生きてゆける
つち
などではない
いのちなのだ
ひとすくいの
つちを
すくうために
きみはいのちに
きがづいた
鈍色の空 見上げ
翔びたいって 想ってた
この空の向こうに 君が
居る気がして ただ ただ
窓の向こう 青と白
そこに君が 居るはず なくて
幻想を見つめて 在るはずもない影 追い ....
私は見つめた
考えているとき 私は
私の体を世界全体として強く見た
きっと それは 見えない 感覚だ
異国に旅立とう いつも
伸ばしていく 私は この指先だ
語ろう 私のことを
....
ころんとひとつ
生まれたときも
生きてるときも
ころんとひとつ
ほっといてくれ
なんていうなよ
ころんとひとつ
あつまれひとつ
みんなはひとつ
皆 求めていた
この時間
たおやかな時間
ほっとする空間
言の葉を発することを
開店したばかりの
明るいガラス張りの
こじんまりとした
ポエトリーカフェ ....
日が沈むと駅は
生きるものの
蒸れた匂いで一杯になる
人々はそぞろ歩き
鴉が飛んでゆく
何もかもが
草臥れてしまったようで
それでいて
....
きみはキッチンに立って
フライパンで喋りはじめる
押したり引いたり
きみが規則正しく振るたびに
フライパンが言葉を紡ぎだす
それは、
「美味しいですよ」とか
「残さず食べてね」とか
そ ....
戦争映画ってやつは
こんなことと比べると
ずいぶんと甘ずっぱい天災のように思えた
しがみついていた
地上には
その果てまでゆかなくても
幸福がある
夜道には玉 ....
頭が痛かった
酒を飲んだからか
ひと駅わざとゆきすぎて
寒夜の家路をえらんだからか
たいせつな存在が嗚咽していた
ほそい声で頭が痛いと伝えていた
だからだろうか
....
かきよせて
こねても
もとにはもどらない
投げて
吹いて
蹴飛ばして
それよりこうしよう
みんなで結ぼう
ゆっくり結ぼう
岡ちゃんはフラれた昨日をネタにしてジョークジョークと高笑う
ねじり鉢巻キマってんのにモテねぇじゃんか
あらよっ もいっちょ
ソビエト連邦崩壊しても
コンベアの冷凍サーモン高々と積みあげ
平和 ....
対岸で春が見ている
情熱を忘れた冬芽に間違った血の寄り添う温もり
時に収まるのを拒んでいる川面の波紋はオルガニスト
名残りと熱りを追いかける
その数字の大河でさえまたオルガニスト
寄り添 ....
白く染め上げられた
気持ちの上を
時には弾むように
時には踏みしめるように
右に左に歩いてみる
たまに後ろを
振り返ってみると
そこには
ぼくが無神経に動き回った
そのことを ....
いっせいに
電気がきえたので
きょうは
星がみえた
痛みは
たくさんあるけれど
間違いは
ひとつもない
かなしむひとには
....
悲しいひとがいたら
そのひとを
大切に思うまわりのひとも
きっと悲しいだろう
楽しいひとがいたら
そのひとを
大切に思うまわりのひとも
きっと楽しいだろう
....
一念発起とがんばってみるのは
容易いけれど
がんばり続けることは
なぜか難しい
*
それって三日坊主
だよね
悔いてはみるのだけど
いつだって
他のひとの視線が気 ....
もうすぐ桜が咲こうとしている
もうすぐ梅が散ろうとしている
木蓮が音をたてようとしている
花が街道を染めようとしている
自然は柔らかく生ききっている
希望にゆるがず生きき ....
だれのものでもない
できた橋を
わたる
生き物には足があるようだ
二本あればわたれるようだ
いままでどおりなら
唄い酒場のような居場所があり
(どこか)わたってきたところ ....
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