きみに寄り添う
石川敬大




 うらぎりの雲がうかぶ
 青空のした
 ぼくは
 ぼくを問いただしていた
 オマエハ ナニヲ シテイルノカ
 と。

 おおきな地異が
 おおきな波が
 きみから
 大切なひとを奪ってしまった

 ゆらゆらゆれる陽炎みたいにさまよいあるき
 生と死とを縫いあわせた
 死んだように静まった町をふりかえる
 そして立ちつくして掌をあわせる


 きみ


 うしなったものを
 わすれてしまうほどうしないつくして
 とつぜん涙があふれ
 とまらなくなってしまった


 きみ


 空しさのぬかるみに足をとられて
 なにも手につかない
 胸が苦しく切ない
 うらぎりの青空のした
 ぼくは
 ぼくを問いただしていた
 オマエハ ココデ ナニヲ シテイルノカ
 と。

 コトバを紡ぐことしかできない
 ぼくは願う
 鬼哭のおもいを封じこめて沈みこむ
 きみに
 寄り添うひと肌の
 コトバの織物でありたい、と。






自由詩 きみに寄り添う Copyright 石川敬大 2011-03-17 10:06:33
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