うすあおい膜をつき破って
枕木の連なるほうへ舵を取る
砂のような雨が降りやんだとき
手に残ったほのかな苦みを
ずっと知っていた気がして

はす向かいの家の窓がひらいている
しめきったカー ....
自由をとんでいた翼が
はねをすぼめ
きゅうに
従順をはばたこうとするころ

鬼は
だれもいない
うす桃色の桜のかげで
ほねを囓っている

食い散らかされた青空のかなた
はらはらと ....
おめでとう! 春になりましたよ!

何となく気持ちいいのはそのせい

雪もすっかりとけて

自転車もスイスイ

寝る前も少し暖かいんです!



目を閉じていると

暗い夜 ....
ぼくが平凡に飽いて 随分と時が経つ

青空は決して 
何処までも 広がってはいない
何処にでも 広がってはいない
その空の下に 血が流れる戦地に於いて
青は益々 その純度を輝かせる
 ....
眠りによりそう
咲きおくれた百合の白い想い
写真のなかにおさまったあなたは、
昔見せた笑顔のままで
私をみつめる


じゅうぶんに苦しんだのですから
もう休んでもよいのです
生き ....
唇は ほどよく濡れ

指先は ぬくもりを感じ

果ては 穏やかな吐息




 
私は人を信じました
猜疑心の布に幾度も包まれようと
その度に他人事の宇宙が
その手で結びを解いてくれたから

あと何回私は始まるのでしょう
もしこの薄い皮膜の内側に
たったひとりの自分が ....
あるひきみは
ねむらないことにした

さみしくなったら
おいでよ
いつでもきみを
なぐさめてあげるから
と、いって

なぐさめられるりゆうなど
そのときぼくにはなかった ....
たった一つの言葉が言いたくて
書き始めた詩が
僕の手を離れて宙に浮かぶ

こんな筈では無かったと
何回も書き足して
つなぎ止めようとしたが
ますます詩は僕の部屋中に拡散し
言いたかった ....
いそぎあしに みちをゆきすぎる
すべてのひとに はなたばをおくりたい
やまあいからこぼれでるあさひの
まっさらなきらめきを
くたびれてすわりこんだきみにも
あかく あかく
さしのべられるひ ....
 こわれてゆく街のなかで
 こわれてゆく耳になって
 ぼくは
 通りすぎてゆく乾いた硬い音をきいていた
 ビル風に
 靴とアスファルトの
 靴とデパート通路のリノリュームの
 靴 ....
心やさしき ひとよ

心強き ひとよ

人々の痛みがわかりすぎるから
その胸を絶えず悩ませ

希望を
明日を

指し示してくれている

勇気ある ひとよ
真のリーダーたる ひ ....
岡ちゃんはフラれた昨日をネタにしてジョークジョークと高笑う
ねじり鉢巻キマってんのにモテねぇじゃんか
あらよっ もいっちょ
ソビエト連邦崩壊しても
コンベアの冷凍サーモン高々と積みあげ
平和 ....
その泡は未来を保証するものではなく
ただ覚悟を映すもので

眠りから覚めたとき
えがいた夢から突き飛ばされた

触れられぬ茨に
落ちた涙は意味をなさない

溶けるまぼろしは
 ....
雨がふっていたので、
街に人がいなかった。
もういなかった。

くもが波のようにうねり、
静かに雨が。
ぼくはあのひとと歩いた。
本屋さんのおもてにも青いビニールシート。
ときどき ....
  おっぱいは最後がいい
  まずはくちびるからがいい
  それからうなじの匂いを嗅いで
  おなかの温度に埋もれるのがいい
  おっぱいは最後がいい
  まるでそこに興味がないよう ....
 
愛ってやつは

○だったり□だったり、ときに△だったり

そんなもんだろ、なぁ



 
涙の筋 渇ききるまで隣に居て
赤いブランコ 後ろ向きの君
軋む金具を見やる
明日に僕等を描くのはもうやめよう
笑いあった毎日に寄り添わず
二人の距離 さめてゆくだけなら
引きとめはしないか ....
小さな傷には小さなばんそうこうを
大きな傷には大きなばんそうこうを
深い傷には情けないほど無力だけれど
ポケットに入れておいても邪魔にはならないはずさ
自分に使ってもいいさ
誰かにあげてもい ....
透明な絵本を
じっと見ている子供がいて
クレヨンを持って
かがやいた笑顔をみせる
 (これは何色なの?
としきりに尋ねてくるので
答えに困って
好きな色で塗ってごらんと
うなず ....
ていでんのよる
きみとみていた

あのよぞらを
わすれない

ほしでみたされていく
あのよぞらを

いきのびて
みていたよるを





せいぎのみかたは ....
 

鉄鉱石の中にある海を
小魚が泳いでいく
夜の明けない方に向かって

今日は海が重すぎるから
いつまでたっても
カモメは空を飛べない

そしてわたしは
シャボン玉の作り方を
 ....
それはもうどこまでもはてなく

雪の原なのか それとも 雲海なのか

もう わたしの目には、区別がなくて

光をもとめれば

中空にむかうほどに 罪をとう青天は

くるしいほどに  ....
 これは小説とだれかが言えば小説になり、これは詩だと言えば詩になるなどと戯けたことが通用したのでは裏社会の論理と同じではないか。唯一神の御託宣じゃあるまいし、そんな無名性の内にあるだれかの主観だけで、 .... 雲ひとつなかった

青い空に

裸の木々の先端たちが

根のようにのびていた


空を吸って根を地球にのばしてゆく

地球という孤島に、空という孤独に、


雲ひとつなかっ ....
どこまでも続こうとする坂道
喘ぎながら

繰り返される独り言のような呪文
聞きながら

やみくもにしがみついたあなたの背中
眠ったふりしながら

安いおしろいに混じった汗の匂い
嗅 ....
ばらばらでしょ?
顔も声も
ことばも胸も
こころも

仲良くなりたい
私がいて
出し抜きたい
自分がいる

愛を語る
私のそばで
いつでも
愛を疑って

そのうち
虎に ....
青い球体に手を突き刺して
あなたを引き抜きたい
白い球体はゆっくり東から西へ
いつもより明るい夜を巡っていく
孤独なんて簡単に乗り越えられる
と思っていたのに、私はもう潰れてしまい
そうに ....
行っておいで

彼女は言った

でていけば
また
帰ってこられるんだから
乾いた大地に
夏の厳しい日差し
しおれてしまった花に
水をひとしずく下さい

*

空っぽになった部屋で
なくした希望を探す
仕方がないと言いながら
耳障りなため息を吐く

* ....
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