僕は閉じた片目で
海を引き剥がし、
青の翡翠の深海を
手に入れたんだ
風から風へ色を贈り
東から西へ光を沈め
海から海へ船を済した
君は乾いた片眼で
空を引き剥がし、
灰色の ....
ヘロイン売りの男のオーディション。
シェークスピアのように理解不能だ。
愛している、と言うコトバはジョークだ。
ところでゴダールのリバイバル上映時間は何時からだ?
飲み物はコーラで良い ....
その橋
みらぼーの下
をながれる
らせーぬ
二人のあい
を思い出すのか
苦しむたびに
おとずれた
喜びみたく
陽よしずめなれよ鐘
それでもまだ
ここにいるし
手に手をと ....
腹の肉 尻の肉
ぶよぶよと揺れる肉
だらりとたれる肉
肉はどんどん増殖し
私の心を包み込み
内臓を圧迫し
そしてついには
心臓をも締め上げる
そして私は
ただの肉の塊に成り果 ....
でもそれは、
あ、という言葉ともつぶやきとも知れない
といきするしろいすいじょうきの
連結に
わたしは路上をしゅぽしゅぽと
滑走する
屋根つもる
雪たちに挨拶する
敬礼をびしっとか ....
お喋りふえる昼下がり
乳母車がやってきた
子鬼百匹のせてきて
笛太鼓が踊り狂う
電柱そばの主婦三人
近所の浮気を暴露した
音楽隊のエレキギター
イクラデモ言エチャウワ
私ノコト ....
オリエンタレ・ベイスンから
いくつかの高地(テラ)と海(マーレ)を越え
ようやくこの海にたどり着く
小さな銀色の船を岸に寄せるけど
この岩だらけの灰色の海には水が一滴もない
すぐそばにアルタ ....
夕陽の(目)が覗いている
冬の桜の樹の
曲がった枝の、隙間から。
張り巡らされた根の、喰い込んだ
芝生の周囲に
誰が蒔いていったのか
白い御飯粒を啄ばむ
雀等が、音符に ....
受精を告げる鳥が啼かなくなったとき、朝が訪れなくなった。近いうちに頭が痛くなるだろう。血管が拡がって炎症が起こり、締めつける。腸がび爛するほどに募る思いでも受け入れてもらえないものは受け入れてもらえな ....
ひかりとかげ
ひかりとか げ
ひかりと かげ
ひかれ 私は蜥蜴
ひかれ げげげ
ひかれ かげで
銀色の緑が 芽吹く
しろい陶器のような世界
真綿にくるまれて ....
祈る、という作業を
私は避けている
たとえば
あなたの幸せを
祈る
そのとき
私は無力で
ただの石ころ
捨てられたガム
「君を想うと
やわらかな 気持ちになれるんだ」 ....
「ほらまた闇が、」
背に生ったライムを捥ぎとり陽を弾く
背骨をつたって腿を濡らし爪先から滴った半透明の真実
どこにも堕ちない
どこにも堕ちない
黙すことで裏切って ....
自分自身を型にはめようとしているのかな
知らず知らずのうちに
「ねばらない」
そんな思いに捉われてしまう
誰かにそそのかされている訳でも
強いられている訳でもないんだけどね
つまる ....
―離して
耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた
―僕がいると
余計に泣かしてしまうから
犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
....
神田の内外分ける橋
昌平橋の欄干から
覗く水面は神田川
ゆらゆら揺れる神田川
二人並んで水面を見つめ
僕は君につぶやいた
僕らはどこに行くのだろうか
君は何も答えずに
そのまま水面 ....
僕は雪ん子 寒がりです
生まれた雲の下をしんしん走ると
すぐ鼻が赤くなります
雪に足跡つけていいですか
振り返れば消えてるのを
何度も見ましたから
口をアングリ開けて
待ってますね
....
わたしらしいわたしは
ほんとはね
わたしだけが知らなかったの
空からおはじきが降った日
小さなうさぎが
震えていました
太陽の光を反射して
おはじきはキラキラと
七色に輝き
まるで
世界中の命のようです
皆は我先にと
おはじきを一つ受け ....
あなたに似た重みが左腕にあります。
抱きしめられないのは身体がないから。
二月の雪を待つベランダから一月の雪に砂糖をふりかける。
スプーンで掬うことに泣いてしまうひとがいるな ....
優れた詩に出会うというのは、そうそうあることではない。
それはインターネットの世界も同じことで、ここ現代詩フォーラムにおいても、文句なしに優れた書き手といえる者は全体の1%にも満たないのではな ....
すごく鬱陶しそうに言われた。
「私たち疲れてるんだから、それぐらいしてよ」
だから鍋の中のシチューを温めた。
べつに、なんともおもわなかった。
ちょっとぬるかったかな、とか意識の遠くの ....
私の背中に包丁を入れてください
あーそこそこ
丁度かゆかったんです
そのまま まっぷたつに
お願いします
キャベツというのは
幾重にも丸まって
ドカンといるでしょ?
自分が大きくな ....
あきれるくらいに騒がしい日々
今日もだるい体を無理矢理起こした
歴史の教科書は重くて
過去の寸劇をかきしるしていた
落とし穴を掘っては自分がはまるのを繰り返していた
更新 ....
{引用=決して君には映らないのに
何故君は私に映るのだろう}
林檎の皮を剥こうとも君ほどの素顔はない
時の奥にみる廃虚のように
冬の底に横たわるマグマのように
不謹慎ながら、なんて君の炎 ....
もう壊れてしまったから
捨ててしまうのですか?
ぼくの紡いだ時間の縦糸が
ぷっつりと切れてしまいました
重たい
川に入ると
そのままでは浮かんでこれない
瀬
壊れ物だけが集まる遊園 ....
こぼれたミルクは飾りボタンの溝を泳いで
くるくると光を跳ね返していた
いつまでたっても混ざり合うことはなく
胸を埋めるような匂いが辺りに漂い
大気ばかりが乳白色に濁っていた
窓の向こ ....
言葉足らずだと
「何言ってるか分からないよ」と
柔らかくなる目と真っ直ぐな背中を
変なことを言うと
「え、どういうこと?」と
上がる眉毛とかしげる首を
夕日がきれいというと
「ほ ....
たばこのヤニで煤けたリビングの壁に一箇所
まるで雪景色を穿ったような真新しい壁紙が気になる
あのひとがわざわざ買ってきては飾っていた
贔屓にしてる野球チームのカレンダー
縦じまのユニフォー ....
わたしは勿論あのひとを
大切に大切におもっているが
もしかしたら実は
あふれこぼれんばかりの
「愛したい!」という
エネルギーのかたまりを
ぶつけられる相手ならば
....
雪を見ていた
精確なことを言えば
友からの雪景色の写メを見ていた
あいつのまえに存在した景色が
写メで切り取られて
雪景色の写メが送信されてきた
俺は心のちからを総動員して
....
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