空は青く澄み切っていた。叱られて泣いた。
そして涙に色があることを知った。
甘酸っぱいというのは嘘だ。
貧相の旅人のように生活をぐるぐると回っていた。
遠近法を駆使してみても、古着の記憶だ ....
開けた窓から
今朝も差し込む
眩い輝き
静かなささやきに
手を伸せば
置きっ放しの夢の種
芽がちょっぴり顔を出し
出合い頭で鼻をつつかれる
通りすがりの薫りが ....
「久しぶり」
「うん」
実家に帰ったら、従姉妹がいた。年下の俺は小さい頃から彼女と一緒に過ごしていた。毎年会っているものの、彼女の成長具合というか大人になる加減があきらかに ....
道端に 雪をかぶって
うち捨てられた人形は
さぞや寒かろ さみしかろ
あの日も
おなじくかがやいて
うなる風に 耳をすませたら
ぼくがぼくであるための
拍動の 確からしさが
....
{引用=
こんなにもかなしくさびしい目をした
青い犀は
かつてみたことがない
霜月はじめ
いや
ぎりぎり瀬戸際のこの師走のおわりの
月さえ凍える
しろい ....
SF作家や
だれかによって手渡された
未来のそばで
ぼくらは生きている
どこかがイビツでなにかが不適切なこの
だれかの未来は
あるいは
使用方法をあやまっ ....
されて
き
ちがい
ちがわない
どうにもここにも
きになる
(2010・12・27mixi)
一撃で嬢はマットに沈んだ
「き君、大丈夫か。」
「しゃ社長、た助けてください。」
「よっしゃぁー、と言いたいけど。
一つ聞かせて欲しい。」
じじいよ
ゴジャゴジャ言わず
早く助け ....
来年からの学費と生活費を捻出するため
隣町で道路工事のバイトをした
ギリギリ専門学校に受かり
あまりの嬉しさに
現代詩フォーラムで報告する
くらいの学力しか持ってない俺でも
家が土木建 ....
からっかぜ
おもむく
西から
からまりかえる
(2010・12・26mixi)
私はしまい過ぎて失くしてしまう
大切なものほど奥へ奥へ
しまい込んでしまう
いざ必要な時が来ると
どこにしまったかオロオロする
探さなければ間に合わない
記憶のかけらを
ひとつひ ....
橋をあるく
瑠璃いろの底は
すこし黄ばんで透明な水いろ
ぼくらは影絵かも知れない
なんの影で
だれが見る絵なのだろう
橋をあるく
ぼくらは瑠璃いろの影絵だ
....
窓がとぶ
屋根がとぶ
全裸のマネキンが宙をとぶ
狂った風が吹きやがる
傘がとぶ
帽子がとぶ
純白のパンティーが宙をとぶ
狂った風が吹きやがる
笑いやがれ、
笑いやがれ、
笑 ....
するからこい
(2010・12・25mixi)
金木犀の香りが鼻をくすぐって
また季節は繰り返す
押し込めた空気が徐々に流れだして
遠くの方で笑ってる
ひんやりして
嗅覚を奪っていく風が吹いたら
心は再生するかしら
止まったまま腐敗していく姿 ....
とまれない夜
(2010・12・24mixi)
青い空でした
どこまでも澄んでいました
こちらの方が戸惑うくらいに
名前がありませんでした
形がありませんでした
ありがとう、も
言うことができませんでした
ごめんなさい、と ....
確実に
接近する影が
日々
つれなさを増す
現状に虚無感。
至って普通の
諸々の生きざまに
心が
揺さぶられるのです。
虜にさせる術など
ありふれているだろうけど
所詮 ....
もう絶対二度と会わないから
未来永劫会わないから
たましいレベルで確信してる
俺のたいせつなひとを
たいせつにさせてくれないたましいに
用はないから
もう電話かけてこないでくれよ
冬の寒さに身を委ね
凍れる唇に物を言わせようと
北風の中歩き疲れて
坂道の途中
針の枝振りの銀杏並木を
ゆっくり北風に煽られながら
今年の冬も歩きづらく
また疲れて坂の途中
歩 ....
寒いから 鍋に水張り温めた
湯気が立ち登る前に 火を止めて
都合のいい熱さを手で底に注ぐ
粘着し、離れることを繰り返して
ほら、と壁に呟くようにする。
ここにいない
私はここにいない
振り回される師走の風の中
私はどこにもいない
騒がしい高齢社会の中
私はここにいない
意思も意見も持たないから
只のエゴだと言われ蔑む
....
.
旅立とう言葉の彼方へ
開け言葉の前への扉
目を瞑り 口を閉じよ
堆{ルビ=うずたか}く積まれたぼくら
の時代の言葉 先祖たちの
言葉の渦を踏み越えて――
.
言葉の煉瓦を積 ....
*
誰しもが寝静まる夜中にひとり風呂に浸かるわたし
それは
ぼんやりと黄色い灯りにきらきら輝く夢の粒をみるわたし
薄汚れた鏡に張りついた滴のわたしが不幸に見えるのは、もう一人の ....
まちつづけちまった
への口
みどりの窓口へ
(2010・12・15mixi)
隙間から押し寄せる波が
文庫本の栞を
何に使うのだろう
一枚さらって
もとの海に戻っていく
生き物の柔らかな陰影
そのようなものがあると
いつまでも
触れていたくなる
....
出会ったその時から
きみとぼくは
別れるのが当たり前で
目的地に向かう飛行機の中
引き返すことも出来ず
ただ
悲しみの待つ飛行場に着陸する時を
出来るだけ感じないように
ただ一 ....
めぐりながら彼女はじぶんの声を聞いていた
欲しいものはそこにあるのだろうか
ぼくはどきどきしながら周りをうろついた
そこにあるすべてが彼女を祝福していた
それを彼女はたぶん ....
ひとみを閉じていればいい
こころを閉じていればいい
電車が通過する前の
空気と地面の振動が ....
雲ひとつない
晴れやかな笑顔の
青空を
穴の開いたスニーカーで
堂々と歩く
途中
見えない遮蔽物を越え
見えない恐怖心を捨て
先々で
訪れる景色
発生する出来事
すべてが ....
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