気だるさに押されて足を進めた。
雪が降った道路は
ひとに轢かれ続けたから、
淀んで色を見出せなくなっている
震えた子供は一人では帰れない
しかし一人きりでも歩かなければ家には着け ....
よるのあいだ
またたくほしを見上げて
そのひとは言う
あいつらが
ここまでくるのに
どれだけのじかん
かかったかしらないけれど
ぼくらが
ここまでにくるのに
どれだけのじかん ....
あたしは
しがないサラリーマン家庭の
家族
毎日の献立に数円の違いを見出し
家計を切り詰め 朗読に当てる
でも楽しい 自由だからココロは
出あったのは ひとりの人間としてのキ ....
みんなで
海、行こう
今すぐ行こう
水中メガネなんて
海で買えばいいよ
母さんの
あの向日葵のボレロな
裾をめくって
叱られる前に
駆けぬけようぜ
追いかけて
波を追いか ....
テリーマンのものまねが得意です
貴乃花親方のものまねも得意です
でも俺は誰のまねもできません
誰のまねもしたくありません
誰にもまねできないものまねがしたいです
俺のものまねはしたかったらし ....
ね、ういろうさん
あんたちょっと歩くの速いよ
引っ張らないでくれる?
「お手をするかわり、おやつくださいな」
ね、ういろうさん
あんたちょっと拾い食いはやめなさい
あと、たまには吠 ....
奇跡は遠くなる
この殺伐とした風景のなか
干からびたカエルは何を思うか
ヒロインを決める為に行われたバトルロワイヤルは
誰独りとして生き残ることができなかったそうだ
恋愛 ....
隣に人間が寝ていて、息が湿っている
肌は暖かく、やはり湿っている
いったいどんな物語が、僕たちを語るのだろう
ページをめくり、終わりの行を先読みしたい衝動に駆られる
それは終わりを予告している ....
随筆を書いてみる。徒然なるままに、とりあえず書いてみようと思う。
私という人間は、今まで随筆というものを書いた事がない。学校の作文も、夏休みの宿題に付き物の日記も、そこに本当の私の心を書いた事な ....
もしも、もしもだよ
詩に学校みたいな”決まり”があったら、いまごろ
私はどんな詩を作っていただろうね
きっと作り方が”決められ”ていても
僕は作りたいのを止められないからさ ....
今腕とかなくなったらこまる
目が見えなくなったらこまるよ
足がなくなったらこまるよ
風邪ひいたよ
このまましんじゃうかも
そういえばろくなもの食べてないよ
朝は食パンもしくは食べない
昼 ....
裏切りというものは強すぎて熱すぎる光のようなものだと彼女は感じた。裏切りの光によって切り裂かれた後、その傷にはどうしようもなく重くて硬くて冷たい或る物質がまとわりついて、複雑に気まぐれに傷を啜り続け ....
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる
季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....
ただ
無駄にすぎてくような毎日
自分が自分であり続けることの恐ろしさ
過ぎていく
過ぎていく
時間が
そらはこんなに
心変わりするというのに
昨日の昼ご飯
道ばたに咲く花
バカ騒ぎのパーティー
思春期の悩みごと
原油の流出事故
通勤中の出来事
何でもかんでも飲み込まれていく
巨大な空間
記憶の引き出し ....
窓を開けて欲しい、と男は言った
壁しかない部屋だった
窓を開けた、とわたしは嘘をついた
男は両手を広げると
嘘の窓から青空へと飛び去った
ひとり残され
部屋を丁寧に折りたたみ
....
夕暮れ中央道にのり込んだ
明滅するテールランプが湿度ににじんで美しい
すべての初めては心を激しく呼んでくる
生きている
くるしいし高ぶるし泣きたくて笑いたい
センテンス
台 ....
何もない日々の
洞窟に生きる 夜を
何でもなくなって 疲れて 消えた
私の 幸せな私として
誰かの頭に 叫んでいる
私に何も思わない 私は
幸せに満ちた公園で
鳥となり 走り抜け ....
わたしのあたまの中に恋人がいて
日になんべんも死ぬ
わたしは足がおそいから
いつも置いていかれるんだ
都会の暮らしを
母は嫌った
あの時の母の歳に近づくほど
その気持ちが
わかり始めている
わたしは間違っていたのかもしれない
けれどすべては過程なのだ
あるべきところに
....
炎を植えてやる
お前がセックスを愛してるならググッて検索し
成る程こういう感じかって風俗に通い詰めて体得した
エロ ....
馬鹿だから
もうあんまり覚えていない
それはとても大事なことなのに
それが無いと生きられないような
とても大事なことなのに…
ゼエゼエ
ハァハァ
あの時の呼吸音
シトシト
ペタペ ....
正午の光が見える外
ゆらゆらと揺れる私を
あなたは見てくれている
狭いとは思わないけど
広いとも感じない
本当は海がいいんだろう?って言われても
だって意識がないんだもん
私がど ....
お願いだからどうか
どうか君の横で眠るその人を
起こさないように
声を立てないように
唇に指を当てて
僕はおびえた顔の君を眼で制する
そのまま動かないで
なにもしゃべらないで
....
検問で氏と所在を訊かれ
タクシーを降りあなたのところへ歩いた
白い蝶がうれしそうに僕にまとわりついて舞う
ふっと、あなたを思った。
はなの季節の狭間に整えられた樹木の枝葉
み ....
悲しい文字が
流れゆく紙面を
通り抜けて
たどり着いた
行き止まりの空は
崩れ落ちた
それでも
僕らは
滲んだ明日を
振り払らう
それでも
僕らは
希望を語る
ひとつ ....
ねぇ
他人の性格なんて
どうでもいいことだろ
ねぇ
他人の嗜好なんて
どうでもいいことだよ
吐き気をもよおす
毒まみれの言葉を
惜しみなく
次々と作り出す
....
天使と間違えられた悪魔が
今まさに翼を拡げて地上を去るところでした
人々の彼への愛は(またはその逆も)確かだったはず
なのに彼の血が自分達と違うのを見ると
一同揃って鍋に蓋を閉めました
....
雨が花の形を整えていく
わたしたちは共通の言葉で話し
共通の言葉で
触れるべき場所に触れる
民家の前にぽつりと置かれたバス停で
傘を差してバスを待つあの二人は
親と子なのだろ ....
光は屈折し
やがてその先端は
壁の末期へと続いていく
何かあってはいけないので
あなたは洗面所で
数を数えている
川幅の狭い橋を渡ってきた、と
わたしは告げ
手を握 ....
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