白磁の球体のただひとつの穴に
青磁の円錐の先端を突っ込んで
女性に見立てた
右手の親指と小指で円錐をはさみ
残りの指の腹で球体を愛撫した
触れるか触れないかの所で
....
ひとりでもつづけよう
体温になついている匂い
いま/きみ/とりどりのきみどりのなか
閉じているきみの内側が
きみだけのものにならないでほしい
黙っ/たままのミルク ....
大人になる
見えなかったものが
見えてくる
大人になる
見たくないものも
見えてくる
時の流れには逆らえず
嫌でも何でも
大人になる
ねえ お母さん
なんで私を育てたの?
育てられなかった実の娘の身代わりなの?
自分の老後の面倒をみてほしかったの?
ねえ お母さん
なんで私を育てたの?
あなたの笑顔が可愛かっ ....
いやになっちゃうわ
恋人と別れた後の帰宅途中
立ち寄ったブックストアで買い漁る
ファッション雑誌と少女漫画
恋占いの本だけ
あいだで隠すようにして
花が咲き散らばる
そんな一面な ....
あなたは 私の舟に乗り合わせた
黒髪を潮風に任せ
ペンタックスのディジタル一眼レフを 波間に向ける
あなたは 私を羨ましいと云う
潮風に身を任せ
北の海も 南の海も 旅ができ ....
駄目なお母さんでごめんね
いつも我侭言ってごめんね
でもね あなたがいるから
お母さんは生きていられるの
とっても とっても 辛くて
遠くへ行ってしまいたいと思った時も
あなたの笑顔が止め ....
Hug me.
Hug and kiss me.
Hug, kiss and love me.
Hug, kiss, love and feel me.
想いの
道のとちゅうを
あるき ....
ステージに立つ華やかなスーパースター
観客席の一番後ろから眺めていた
惜しみない声援 鳴り止まぬ拍手
段幕が下りた後も続いていた
誰もが認める素晴らしい才能
ほんの少しだけ分けてほしい
....
ぼくの部屋が
放課後の基地でした。
屋根裏部屋みたいになっていて
そこで
よく自分の声を録って
友達に聞かせていました。
毎日布団をベランダで
干していました。
ぼくはいつも
おねし ....
おもいで
10円玉を握りしめたいつかの少年が泣いていた
こんなにも近くにコンビニがあるのに
駄菓子屋という夢の国は遥か遠くで
疎開してしまって
コンクリートだらけの街並みはいつも ....
夜の冷たいベランダに出て、丸い月を眺
める。誰にも云えぬ悩みを白い吐息で呟
けば、胸底の容器に濁り積もった毒の塊
が、少しずつ、少しずつ、蒸発し、夜の
静寂に吸い込まれ、いくぶんか、胸の重
....
私ののどはちょっとおかしいのです
私の単純明快な言葉は
突然鈍行列車になってしまうのです
私は私を貫く影に
対抗する手段を持ちません
……ほんとうでしょうか
たぶん嘘ですね
私は、手段を ....
もう電柱の皮膚になった古いポスター
汚くて優しい町にみえる
かつて通学路だった道に ハートの落書
ブロック塀の透かしで途切れた 相合傘
あそこに住むおばさんが 恐いと駆けてく少年達
....
これだけなだらかな
流線型の谷を下るあいだに
私はすっかりと忘れてしまっていたのだ
これが谷であるということを
私は視覚的な美しさを楽しみ
そこにはすべてがこめられていると思い込んでいた
....
始まりも終わりも
どこかへ置いてきたような貴方は
歯を食いしばって生きる私を
遠くへ遠くへと
引きずり込もうとする
ああ また時間が去ってしまうよ!
いつも私の頬を引っかいて逃げるんだ ....
小さく芽吹いたポプラが
わたしの背を追い越して
空まで届かんと
生き急ぎます
ナナカマドをついばむカッコウが
雪に赤い跡を落とし
上昇気流にのって
翔けまわるのです
潰されたホ ....
これからいくつもの 時が流れるこの瞬間 何処まで君は 突き進む事が出来るか?? スタートラインに立って 心に決めた二文字 「挑戦」という言葉で一歩進んだ 世間は広い途方もなく これが俺 ....
はじける光を逃がしたくなくて
手のひらで両耳をきゅっとふさいだ
いくらあたたかな毛糸で肌を覆っても
手足は温度を忘れたかのように冷たい
冬は嫌いじゃないし寒さにも強いほうだけど
この ....
適切な一秒を
わたしにください
わずかに
ずれることもなく
適切な一秒をこの身にください
この目に
何かを映すなら
光か影のどちらかを
耳に何かを残すな ....
転んで擦りむいた
歩くたびに
ズキンズキンと
痛みが伝わる
小さな傷が
私は生きている
私は生きている
と叫んでいる
なぜか痛みが心地良い
どこかいとおしいその傷は
独り転 ....
もしも
翼があったら
大空
高く
飛んでみたい
もしも
翼があったら
自由に
空を飛んでみたい
鳥のように
人間も
自由に
空を飛べたら
どんなに素敵だろう
どんな ....
貴女の部屋に
転がり込みたい
貴女の色した
貴女の香りの
貴女の部屋に
転がり込んで
三面鏡なんかない
調味料すら揃っていない
お玉も私が買おうかな
フライパンも新しくしたほうがいい ....
ふと見上げると
高層マンションが視界に入る
真っ青な空に
突き刺さる白い壁
屋上に立つ自分の姿が見えた
ああ 飛んでしまいたい
あそこから飛んだら
気持ち良いだろうか
心が穏やかになれ ....
赤ん坊が泣く
抱き上げる
お腹がすいたと泣く
抱き上げる
眠たいと泣く
抱き上げる
えくぼを見せて泣く
抱き上げる
毎日 毎日
抱き続ける
柔らかな頬
ミルク ....
カーテンを閉め忘れたらゴリラに追跡されて仕舞った
ゴリラはウォークマンで掛かって居る音楽の内容を
遠隔探知出来るらしく私の興味関心をそそった
道路をゆっくり走って居たら
家の前の曲がり角で ....
コスモスがコスモス色に咲いてて
ススキがススキのように揺れてる
土曜の朝
私鉄沿線の住宅地を
ぼくとたあくんは歩く
めずらしく陽が射している
建物の影が舗道をおおって肌寒い
ぼく ....
雨の音に気づいて、
薄暗い転寝からわずかに目を醒まします
ひざのうえには猫がいました
雨は屋根から滑り落ち、壁をつたい、
床を這って、そして、
じわじわをわたしの胎内にしみこみます
ぴちょ ....
離れていても近くに感じる
会わなくてもいつも心にある
不思議な存在
いつも何処かが繋がっている
けれどベッタリと張り付くことはない
会った瞬間キラキラとした思いが弾ける
悲しみと絶 ....
橋渡しになればよかった
それを選択していれば
幸せだったはずだ
心は
壁を生んだ
壁は
火にくべられた
壁が崩れた
橋も焼け落ちた
誰もそれらに
触れることは出来なかった
深 ....
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