理髪店に備え付けられた
平方根の中で眠る犬
その耳に形のようなものがある
店主はただ黙々と
軟水で精製されたハサミを用いて
僕の髪を切り分けていく
その間、僕は不慣れな手つき ....
カモミール
マロウブルー
手で揉んで
匂いを嗅ぐ
それでハーブティーを作って
窓辺を覆いつくしている
観葉植物に
光が射している
光
時間は
チクタクと流れる
もので ....
トゥクトゥクの傍らで赤い夕日を待って
犬は
なにもしていない真昼
なにをしているのだろう、そこで
みずからの首に首輪をつけ
ひもをつないで
犬って
なにも ....
赤と黄と朝焼け雲とくちびるを二人前ずつ欲しいのですが
こころもとなくなったから異国語を呟いてみる(気付かないでね)
ため息の量が午後だけ足りません枯葉の側に落ちてませんか
....
ゆうぐれに
さみしくなったり
あるいていて
ふと生活のにおいに
あしをとめたり
ゆっくりとしか
すすめないこと
くやしくなったり
生きるとゆうことが
どれだけ不安でも ....
三年前の誕生日なら覚えている。
好きな女にメールをもらったから。
帰ったらプレゼントのキリンの置物が届いていた。
でも友達づきあいのつもりらしかった。
まぎらわしいことはやめてほしかった。
....
公衆電話のはこのなか
ひざを抱えることすら出来ず
ただ泣いている
どんな理由があって
どんな喪失があって
泣いてるんだったっけ
どんな不条理があって
どんな口実があって
泣 ....
そうやって忘れてしまうがいいさ
生きていて恥ずかしかったことなど
そうやって忘れてしまうがいいさ
生きていて辛かったことなど
そうやって忘れてしまうがいいさ
生きていて苦しかったことなど
....
虹
何時?
ニ時
嘘つき
色彩配列
センスねぇっス
雨上がりだから良しとしまっす
明日何時に起きれるかな?
明日起きたらわかるでしょ
しよう
しよう
わかるで ....
もうふた月ほどたつだろうか。わたしは毎日、すこしずつ家財を捨てている。家財、といっても、どれもさまつな――そのほとんどは夫と共有して、それなりの思い出がつまっているのだろうが、もはやさまつとしかいい ....
ハイボールやらハイライトやら
煙や灰や血や感情や
散らばってハイハイハイ
この世界は構成されてんだ
それと欲と欲と良く
それを構成するのは傘の下。
なんかの下でこっそり咲いた向日葵はも ....
俺思うんだ
死神って奴は男だろうか
女だろうか
一度パンツ脱がせてみてやりたいな
まあるいきれいなお尻でも
真ん中にかわいいちょうちんぶらぶらさせてても興奮するんじゃないかって ....
ぶぅーんと飛んでは
やれ忙しい
やれ忙しい
ごちそうにとまって
人間の様子を窺う
やれ忙しい
隣の部屋には
もっと美味しいものがありますぜ
ぶうんと飛んできたお仲間に
耳打ちされ ....
またあの子
そうか 小学校が休みだから
女の子はもじもじしている
暑い昼に お母さんと道で弁当なんてという顔をしている
頬に浮かぶその汗を無理やり拭いている
わたしが来ても顔色一つ変えな ....
午前0時
時計が動き出し
違う誰かになって行く
影を置き忘れて
朝を待ち
昼になり
夜になる
目が冴える
鳥達が目覚め
パンを食べ
ジュースを飲む
目の下に隈ができる。
....
今朝、ベランダの鉢植えから
見たこともない形をした花が
頭を覗かせていて
わたしは
この町に越してから
数ヶ月ぶり、に
カーテンを開いた
カラーボックスの大半 ....
不必要な話はしない
ぼくたちにはもうあまり時間がない
飾りもときには必要だけれど
いまはそういうときじゃない
死んだ蝉が生き返ることはない
でも地面の下では
蝉の幼虫たちが生きていて
....
どうしようもないことばかり口にしてしまう
虫の声さえ聞こえない熱帯夜
最終電車もとっくに過ぎていってしまったのに
私は今夜も寝付けずに
見えない星を探しながら考えてしまう
私はこの世に生まれ ....
木が勢いよく枝をひろげ
葉がさらさらと風にそよいでいる
ココがわたしの入口です
日に焼けた古本の匂いが
若き父のひたむきさをつれてくる
ココがわたしの入口です
決し ....
現在と
過去と
未来は
点のようでいて
じつは
球体の円周のよう
ではないだろうか
過去には生きられないが
過去は現在に続き
現在は
未来とつながっている
今を
....
いま
空は
無色透明の雨
宙を切って黙礼をする
中性の直線
― 今日はこれといってなにも無い日ね
黙りこくる空
青ざめる
― お花がきれいね
(いつでもいまである)
どくだみは縁の ....
もうすぐ キミの誕生日
あたしはその日 ひとりキミの誕生を
祝います
プレゼント選びは苦手だから
小さなショートケーキとビールでね
タイムの香りにつつまれて
キミの写真を横に
....
我が街の風景をスナップショットして歩く
日差しが夏仕様に変わり容赦なく照りつけ
避けるように自宅にこもる冷房を効かせて
イチゴシロップのかき氷を食べ腹をこわす
そんな情けない夏の始まりはリ ....
いつも 持ち歩いてる
小さな ピンクの手帖
パラパラとここ数ヶ月の
過去を繰る
ほろっ
ほろり
涙がこぼれた
キミへの想いが
細かい字であふれている
うれしかった ....
夕焼け色の空を見て
君は癒されるでしょうか
あの日、
海で見た
あの空のように
終わり行く一日を
溶かすように
僕らは終わったのでした
愛しています
と呟くたびに
コップの中の ....
私の率いる言葉の群れは
かなり暴力的らしい
運良く怪我をさせずにすめば
糖尿病にするら ....
よそ行きの気持ちを全部詰めたから
カバンがとても重たくなった
どこからかきれいな歌聞こえたから
旅の予定をそっちへ向ける
青地図に行程表を書きこんだ
知らない街をたどる点線
....
悲しい歌ばかり歌っていた
ひかりもなかった
影もなかった
本質ってなんだろう
悲しい歌ばかり歌っていた
人間に進化した猿とそうではなかった猿
その違いは森からでたか ....
一定、一定の過去を創りだす
わたしの
しんぞうのうらがわの、
思想力と安楽死を求めてる、
わかく
やわらかく
なまぬるいそんざいかん
…
宇宙葬に関わっては、
いまだ周囲 ....
その子は
”太陽のようこちゃん”と
呼ばれて 育った
あぁ 自分は太陽みたい
なんだな
と ぼやんとおもいながら
思春期を過ぎ
闇の部分をココロに
かかえはじめた
....
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