ぶちあたる。
とにかくぶちあたる。
光ってはいるけれど
安っぽい弾丸。

蛍光灯の傘にぶつかる。
窓にぶつかる。
壁にぶつかる。
いちいち音を立てる。

緑金色の背中は
あれでな ....
                  「メリーゴーラウンド」 1

  トマト

四角いトマトを
作るようなものなのかもね

パイプ椅子からひょいと降り立って
彼女は器用に微笑んだ
制 ....
夢のような色合いの
からっぽの貝がら

心のような色合いの
砕けてしまった貝がら

チクリと指に花を咲かす


害のない言葉など
ないと知りながら
きれいな言葉を
使いたかった ....
人の向こう側に横たわる人よ
横たわる人を跨ぐ人よ
潰された眼は見ていただろうか

白く透ける少女の抜け殻を
地下水脈の夜光虫を
皮膜に隠された結晶体を

地は焦げるほどではなく ....
このままどこかに行ってしまおうか

帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった

今、僕らは三人になって車も一回 ....
さけた ひびき
さらす ふたば

つち の はじらい
かぜ の ふくいき

まかれた からだ
ゆらしてる
いつもあのひとのことを考えているわけではないから
たまには大目に見てやってほしい

外は爽やかに水色の夏の朝
汗で酸っぱいTシャツを脱ぎ捨てて窓辺に立っても
田舎の農道に車一台通るでもなく
 ....
夏休みの宿題は終わったのと
かあさんは訊ねる
私はもう学校卒業したんだよと
何度説明しても

かあさんは言う
おまえはやく宿題をやんなさい
ツクツクホウシが鳴く前に
とっとと宿題を終わ ....
たましいに といかける
ほんのちょこっとした ぎもんを けずってみる
けずりきる ようすなんて みじんもない
いちばん このからだに かんじて
いちばん わかりやすい はずなのに
すこし ....
田舎から出てきたばかり
まだ都会に慣れていない
デートの仕方も知らず
ま、若いからあっちのパワーだけは全開

お金も持ってないし
住んでるところも地味
ついでに見た目も地味
でもよく見 ....
横たわった端整な顔が
眠っている 女だ

前景に
積もる砂粒がせり上がって
早く厚く 
それを埋めていく

呼吸のように耳へと覆い被さる風
急速に埋め尽くされていく 砂

もはや ....
おーい
と呼ぶ声に
波線を見ています
空の上
海の下
その間の曖昧な辺りで


いつだったか春の衣装だった頃
それでは暑すぎると文句を言った頃
山沿いの海沿いのラジオも響かない場所 ....
道の向こうからは祭囃子が聞こえる

もうすぐここまできてすべてを包むだろう

幾分細くなり白くなった腕を少し持ち上げて手持ち花火に火をつけた

光が私を照らす

いつの間に私の腕はこん ....
小さい自分を笑い飛ばしたくて
いつもの場所 いつもの格好
首をガクリと落とした
そう いつもの暗澹な自分の出来上がり

そうしたら お前さんが見えたんだ
いつもの場所 いつもの格好
首を ....
鈍行列車で消火活動に行きましょう
なんて、いかしたメールが
彼女から届いた
僕といえば魂は確かにあるはずなのに
それを入れる器が見つからなくて
朝からオロオロしっぱなしだ
入道雲の ....
ぽつんと うかぶつき
くもが つきを おいこしてゆく
ふかいあいいろの じょうくうは あらし

いっしゅん さえぎる

ひかり

かげ

かげ

かげ

おいこしてゆく
 ....
足音 は
ほっておくとどんどん先に進んで
呼び止められると不満を洩らす
体 は
手足を動かすことに夢中で
なにを訊かれても聞こえないふりをする
心臓 は
なにかあるたびペースを乱して
 ....
においには
名前がないから
きみに伝えることは難しいねぇ
切なさにも
名前がないから
言葉にすることは大変だねぇ

すごく大切なものを忘れてしまって
忘れてしまった悲しさだけが残っ ....
ゆっくりと水を一杯飲む
カーテンを閉めて
好きな音楽をかける
何をしてもいいし
何もしなくてもいい
鏡に映った自分を見る
左肩を撫でてみる
前髪をかきあげる
電話のベルを無視して
今 ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている


父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
倒れた自転車から音は聞こえない。

コインロッカーに花束を忘れてきた。

クレーン車の輪郭が闇に消える。

花壇の整列した花々で指先を切った。

低気圧、靴紐を揺らす。

埋められ ....
花壇のマリーゴールドは
みごとにおひさまの色
おひさまを
いっぱいに吸いこんで

ハナムグリのベッドは
おひさま色の花粉
ハナムグリのごちそうは
おひさま色の花粉

夜なんか知らな ....
おそらく きっと
一人で生きるために
生まれてきたんやろうと思う

卵の裏の膜は
楊枝をさすと
窓の桟の汚れが
よくおちます

埃が自分のお花なら
網戸の青いナイロンは
桜の葉の ....
C2のボトルが夜の始まりでダストボックスに蝉の抜け殻


「きょうだけはけものにさせて」「けものならすききらいなどないはずなのに」


まっしろなシーツの上の波が凪ぐ 引き攣る指が津波 ....
夕立でもぎ取れた蝉が
丁度今乾き切りました
私はアスファルトに足を揃えました
腹をかえし対の肢を合わせたその亡骸は
無音の言祝ぎでした


夕立のあと再び燃えていた日は、結局 ....
わたしは肋骨だ
              
肋骨はあなたを心から慕い

肋骨はあなたの心臓を守る

あなたの胸を打ち鳴らすものを

至近距離から呪いながら

肋骨はあなたの胸 ....
  
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな

親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔 
まだ見たことありません

のような午後の世界に

河川敷の花火
の音が聞こ ....
僕らは
月を見上げる

僕らは
月を見つめる

僕らは
月に惹かれる


だけど少し
その月は明るすぎる


涸れた海も
歪んだ丘も
ここからは見えない
 ....
あなたが
そらに
うたったうたは


かぜのなかに
あめのなかに
ひかりのなかに
ふくまれて


わたしのうえに
ふりました


どこにいたって
だれといた ....
魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました ....
千月 話子さんのおすすめリスト(2082)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カナブン(百蟲譜33)- 佐々宝砂自由詩7*04-8-5
トマト- アンテ自由詩8*04-8-5
海に花- 春日野佐 ...自由詩7*04-8-4
散水塔に虹- がらんど ...自由詩12*04-8-4
どこかに- たもつ自由詩3204-8-4
うぶ- 砂木自由詩8*04-8-4
夏の朝、午前5時半、- 佐々宝砂自由詩604-8-4
ツクツクホウシ(百蟲譜31)- 佐々宝砂自由詩1304-8-4
けずりかす- 玉兎自由詩7*04-8-3
子犬くん- チアーヌ自由詩704-8-3
目覚め- まつお未詩・独白504-8-3
波線- 霜天自由詩504-8-3
花火- ミズタマ自由詩3*04-8-3
- HEDWIG自由詩6*04-8-2
- たもつ自由詩804-8-2
つきのひかり- 玉兎自由詩4*04-8-2
自分- アンテ自由詩804-8-1
名付けられない雨のにおい_(詩)- クリ未詩・独白11*04-8-1
はだか- さち自由詩9*04-7-31
肉じゃが- 窪ワタル自由詩60*04-7-31
埋められた飛行機に乗っている- カンチェ ...自由詩14*04-7-30
ハナムグリ(百蟲譜25)- 佐々宝砂自由詩504-7-30
桜餅- 山内緋呂 ...未詩・独白5*04-7-29
小さな死- ピッピ短歌1004-7-29
忘刻- A道化自由詩1304-7-28
わたしは肋骨だ- RT自由詩9*04-7-28
花火の夜(江戸川)- AB(な ...自由詩2704-7-27
- 松本 涼自由詩3*04-7-27
そらうた- 松本 涼自由詩5*04-7-27
童話(手紙)- たもつ自由詩24*04-7-27

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70