HEDWIG

小さい自分を笑い飛ばしたくて
いつもの場所 いつもの格好
首をガクリと落とした
そう いつもの暗澹な自分の出来上がり

そうしたら お前さんが見えたんだ
いつもの場所 いつもの格好
首を落としたばっかりに
そう 何も変らず生きるお前さんさ

踏まれそうになったら
避け 止まり なお強く進んで行く姿
俺は心の中 言ってやったんだ
「そっちはお前さんの生きる場所じゃないよ」
踏まれそうになりながら
お前さんは 更に強く進んでいった
俺には こう聞こえたんだ
「それでも進むだけさ、知らない場所へ」

人込に構わず
土ではなくてオフィスに進んでいく姿
焼き付いて 焼き付いて
俺はお前さんに生きる誇りってのを
教えられた気がしたんだ

煙草の火を消して俺も仕事に戻るとするか


幾つもの弱音を吐き出したくて
いつもの場所 いつもの格好
首をガクリと落とした
そう いつもの滑稽な自分の出来上がり

そうしたら お前さんが其処に居たんだ
いつもの場所 いつもの格好
ひょっこり だけどしっかり人の顔見て
そう 何も変らず息するお前さんさ

踏まれる心配もないから
お前さんは立止まり続けてた
俺は心の中 言ってやったんだ
「よう、知らねー場所はどうだった?」
少し躊躇って前に進んで
お前さんは 声高に俺に言ったんだ
俺には 確かに聞こえたんだ
「何ともない場所さ、それが楽しかったけどな」

前に進んで
俺を超えてアスファルト進んでいく姿
焼き付いて 焼き付いて
俺はお前さんに生きる楽しさってのを
教えられた気がしたんだ

煙草の火を消して俺も仕事に戻るとするか
俺は小さくとも力強い姿に礼をして
弱音も愚考も捨て去って
ちょいと強気な顔を取り戻したのさ


「サンキュ」


自由詩Copyright HEDWIG 2004-08-02 13:58:18
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