雨が降っていた
暗い門の下で
男が三人いて
僕がその一人だった
門の先に続くのは
センチメンタルな山道だ

雨が小降りになってきたので僕は歩き出す
男が「大丈夫かなあ」と言っている
 ....
皮膚が邪魔だ
熱だけが祭りのようで
街灯までが青白く貫く

ああ、皮膚が邪魔だ
この世界と私を
容赦なく隔てる

この外套を捨て去ってしまえば
多少は見苦しい液体を
ばら蒔くかも知 ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
わたしは宇宙人を見つけた
自分でそう言っていたから
たぶん宇宙人なんだと思う

宇宙人はロックバーのトイレで煙草を吸っていた
フロアが混みすぎていたからだと思う
ずいぶん痩せているから
 ....
身体の自由を奪われることと引き換えに
過去の重荷をどこかへ置き忘れて
少しづつ解き放たれていく

その手を見ればわかる
長い年月を耐えて踏んばって
あなたは生きてきたのだから
ちょっ ....
ふりつづく雨の
ほんのわずかな晴れ間に
少しの希望が見えたなら
それにすがってみようと思う

生きつづけるなら
あきらめも肝心
妥協だってしてやる

けれどまだまだ
何かが ....
えいえんについてかんがえるたび
きまって
とほうもなくながいでんしゃ
がおもいうかぶ
くらやみをきりさいて
でんしゃはひたすらはしりつづけていて
いくつ
とびらをあけても
つぎのしゃり ....
ひどく目立たない黄色のレンガ道を行くと
夏休みの少し手前に古い送電鉄塔が見える
陽炎虫が大発生した年の真夏のある日
一人の男の子がその鉄塔の下で感電死した
鉄塔からぶら下がっている電線に触れた ....
なつくさを

くさかりしながら

じぶんのこころも

ちょっとかりこんで

さわさわと整える

刈ったぶぶんは

お日様に干して

お月様の光も吸わせて

冬に着るふと ....
紫陽花を見て

死のうとしていた

そんな時

僕は君に会った


君は悲しみをしっていて

苦しみも知っていて

僕と同じだった


月日は流れて

紫陽花を思い ....
お母さんミサイル (ミサイルをお母さんでくるんで軽く火を通したもの)



少女 (南から吹いてくる季節風のこと)



街 (顕微鏡に形が似ている)



青空 (比較的重量 ....
駅前のタクシープールに
老いた男と猫が
向かい合わせに座っている

餌の缶詰を猫が喰い
空き缶は物乞いの貯金箱となる

毛刈り前の羊のような
油色の毛を
肢体しならせ
舐める猫
 ....
おばあさん たべねば だめだ

見舞いにきた人が
そう 励ましてから
おばあさんの 体調は悪化した

食べれねぐなったがら もうだめだ
と 急に思いつめたらしい

看護婦さんがみかね ....
いつのことだったか
おーきな木に寄りそって
声もなく泣いたのは

知ることのできた空は
果てを知らずに膨らむ奥行
しっとり流し目をすると
逃げ迷う合せ鏡の黒髪

時が来れば尽きる
 ....
午後の生ぬるい図書館で 退屈と眠気のあいだを 振り子のように行き来しながら

頭の中では 隣に座った 白いブラウスの女のことを考えている

読んでいるわけでもない太宰治のページの端を 人差し指 ....
堕ちる 堕ちる 堕ちる どこまでなんて知らない
視界は真っ暗ってわけじゃなくて
パチンコ屋のネオンやらスナックの看板やら
妙に見慣れた景色や知人の顔が通り過ぎる
おおい ウォッカ・ライ ....
遠くの丘の教会の厳かな鐘の音が届く


私は
{ルビ如雨露=じょうろ}を止めて
目を閉じた

愛の門出のサインであろうか
永き眠りのサインであろうか

私がこの手に
掴め ....
君は脱ぐ
同時に着る
どんなに脱いでも
君は君の核心から遠ざかっていく
まばゆい光の中
生まれたての姿になり
男たちの暗い瞳でできたプールを泳ぐ
淵に腰掛けていた男たちは
 ....
「メタン・ショック」

  世界の
  メタンガスの1割は
  牛のげっぷで出来ている

  君が泣いたら
  二酸化炭素は
  アサガオを揺らすだろうか

  ボ ....
ふらふらと酔っ払いの千鳥足
さみしがり屋のピエロは口笛吹いて
今宵も月夜の道を歩いています

膝を落とし 手を差しのべ 愛を乞う
寒がりな裸の心を胸に{ルビ潜=ひそ}めて

夜空 ....
ぬるい雨に圧され紫陽花の青い首が舗道へ垂れています
私は待っています
触れてくれるでしょう、荒れたアスファルトの
えぐれたままの古傷に溜まる暗い水に、柔らかく


あまりに ....
恋人は、詩を書く人と走る人

ふたりはお互いを知らない

わたしは詩を書く人と暮らしている

わたしは詩を書く人のために食事をつくる

詩を書く人はとてもきれいに日々を食べているので
 ....
わたしがきらきらの火花に歓声をあげているあいだ

そのひとは

灯かりのむこうの景色をみていたというのです
平坦な場所
何も いない

みていた空
置いてきぼり

かかわる 擦り傷
ぺろりと なめ

居場所は 
歩いたっきり

ひきさく 日常の中
道なりの 花 乞い

 ....
わたしが放課後こっそりえさをやっていた
あの河川敷の林の猫を
あなたがちいさな段ボールに詰めたとき
ほんとうはおどろいたし
とてもかなしかったのだけれど
それがあなたの愛し方だと知っていたの ....
上手く眠れないままの空が白み始める。轟音
で走り去る獣たちもわずかで、その咆哮にも
ためらいが見える。廃墟の影に潜む小人たち
は闇が消えていくに連れ恐る恐る顔を覗かせ
覗いた顔を逆に覗かれ ....
ああやっと見つけたお前はそんなところにいろ

ドアを開けたり閉めたりして
出たり入ったりしろ

振りほどいた手は振りほどきっぱなし

アクセルを踏んでブレーキ

両手でつかめるものは ....
ところで
夕暮れはもう間近に迫り
みんな精一杯に迷っているので
その足元を照らす明かりも
その足で踏みしめているものも
記憶は近さも見せないくらいに
空で燻るものだから
こうやって今日も ....
夥しい夥しい直射日光で
アスファルトの明度が振り切れ
真昼は真っ白い暴力だ
私は激しい夢うつつに陥り
液化してゆくアイスキャンディを見下ろしても
何を思えばいいのか何も何もわ ....
とても

普通の家庭の
冷蔵庫とは思えない

からっぽなのである

けして
キレイなのでもない

玉葱の皮が底にある

これがわたしと
言われたなら

納得する

夫 ....
千月 話子さんのおすすめリスト(2082)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨の山道- 渡邉建志自由詩10*05-7-24
この皮膚がなければ- たりぽん ...自由詩14*05-7-23
子供- たもつ自由詩38*05-7-23
わたしの宇宙人- チアーヌ自由詩1905-7-23
解放- 落合朱美自由詩20*05-7-23
晴れ間- 落合朱美自由詩12*05-7-23
えいえん- アンテ自由詩8*05-7-23
しっぽのある鉄塔- クリ自由詩14*05-7-23
くさかり- かぜきり自由詩11*05-7-22
★133_アジサイト、キミ- 貴水 水 ...自由詩10*05-7-22
お母さんミサイル他、- 捨て彦自由詩1105-7-22
老人と猫- kw自由詩9*05-7-22
きっと- 砂木自由詩31*05-7-22
白濁の樹- こしごえ自由詩10*05-7-21
ニンゲン失格- 大覚アキ ...自由詩1205-7-21
堕ちてゆく客体としての私- 佐々宝砂自由詩1005-7-21
狭き庭にも潤い溢れて- 千波 一 ...自由詩17*05-7-21
ストリッパー- たもつ自由詩2305-7-21
空想科学風物詩(1)- umineko自由詩7*05-7-21
月夜の散歩- 服部 剛自由詩16*05-7-21
雨季の信仰- A道化自由詩1005-7-20
詩を書く人と、走る人- コトリ自由詩18*05-7-20
花火- コトリ自由詩7*05-7-20
はずれる- 砂木自由詩13*05-7-20
はこねこ- コトリ自由詩14*05-7-20
天敵のいない八月- いとう未詩・独白14*05-7-20
忘れるな- ふるる自由詩8*05-7-19
水底の、走る船の- 霜天自由詩1205-7-19
激しい白昼夢- A道化自由詩13*05-7-19
冷蔵庫を開けて二日ほど悩む- 蒼木りん未詩・独白505-7-18

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