思い出だけで終わらないために
日々は刻まれて
小さく、はらりと落ちていきそうなものが
私の中で対流している

一番最後の麦藁帽子が
夏の見える丘の、少し西の辺りを
沈んでいった日のことを ....
真昼の公園で木漏れ陽を浴びて 
癒える筈のない悲しみのことを考えていた 
ときおり吹き抜ける風はすこし熱を帯びて
客待ち顔のアイスクリーム売りの老婆の 
麦藁帽子を踊るように撫でてゆく 
 ....
さちからウマレタト笑みが言ったか

ぬかるみにゴミつけたままのゴムで縛った水鞠が
息の年老いたぬるい尾ひれで浮かんでいる

縮こまるよりだるい薄さだ
ついたてのはじまりは気管支の中の蒸 ....
夏の気配と湿気とが
充満するこの部屋で、
私は思う
六月は麻痺している、と。
ベッドの上で横になっていると、
爪先や指先や腹筋、
恥骨までもが渇いた息吹に
やられてしまう。
どうしよう ....
嵐の夜、だったらしい
水底を叩くように
爪先立ちで歩く恋だったらしい
苦しくない呼吸で、まだ淡い空を見ていた

今、街は静かに水没して
新しい水面を探している
六月の底辺は、眼鏡なしで目 ....
包まれてたキャラメルが
ほそりと ついた雨に溶け

羽をぬらさず 輪を作る
水溜りの 空しか知らない
日暮に

欠けていく暖かな日溜りでも
分け入る 胸に くきりとついたなら
 ....
6月4日リアルタイム会議室Aにて。
{dl}
{dt}遊羽 [1:32:31]{dd}けんご→遊羽→片野→oldsoup→あをの→焼石→翔太郎(敬称略)

{dt}けんご [2:05:39]{ ....
とうとう動かなくなってしまった
トパーズ色した わたしの鍵
普段持ち歩いているバッグの中で
かさこそ這いまわりながら
わたしの吐き出す
あのひとへの恨みとか辛みとか
どうしようもない思いを ....
 あなたの瞳に映っている森が

 あまりにも美しく澄んでいたから

 僕はあなたの瞳を押し開いて

 中へ入っていった

 あなたは目の前にいた僕を見失って

 慌てふためいている ....
お人形と
お気に入りの
絵本を
雲間で
読み終り

障子に透ける
西日の淡く
映るところへ
夢想の焦点残照と
お散歩?
お部屋をくるぐる旋回
お話をお人形のお早うへ

あな ....
水底に置かれて
屈折した空を見上げては
ただの黒い点となって
あぶくを吐きつづける私は

その蒼に抱かれながら
浄化という名のもとに
この躰を満たしながら
還りましょう 雨に

 ....
の丘に
咲いたダリアの一輪の
唇の頬のうなじの太ももの蹄鉄の
隠された場所の

の丘に
びっしりと生えそろう数億のダリアの一輪の
唇の頬のうなじの太ももの
暴かれた場所の

の丘
 ....
散り散りと 舞い降りたのは
白い蝶々

風の中に 突っ立っている
加減のわからない 眼に

身ひとつで 超える
天辺から 乞うてくる

切れたものは また生まれて
避けたものは つ ....
それ、心に決めた日よりも言葉に似て
擦れ違う日々の基準が誰かの
足音に少しずつ詰め寄られて
僕らは合わせた手の、窓ガラスに触れた
薄い汚れ
それでも風は透明になれる
それでも風はどこか透明 ....
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
今夜 私には 
逢いにゆく人がいない 

孤独な夜の散歩者は
アスファルトに響く雨唄と 
ビニール傘に滴る雨垂れの 
二重奏に身を浸しながら 
果て無い雨の夜道を{ルビ彷徨=さまよ}う  ....
夜に、わたしは 
はしたないほど口を開けますから 
どうぞそこから私の中に 
入っておいでなさい
 
内側から私を喰い尽くして 
やがて空洞になった私の躰は 
それでもまだぬるま湯ほ ....
笑ってたんだ
笑ってたんだ
きっと
あったかい土に抱かれて
優しい雨に愛されて
まだ見ぬ地上の風に憧れて
君たち 泥んこぼうず達は
笑って
幸せに
暮らしてたんだ
そして 素直に育 ....
どうしよう なきそうだ

いままで あまえていた 

ははの 

せなかから

すべりおちてしまった みたいだ

あんまり

ちいさくなっていたから

なでてあげようとした ....
もう嫌だガーターベルト殴り捨てひじょうかいだん3段目飛ぶ



ザラザラの苺飴玉もらったら舐めたらいまから忘れてやるから



イバラ姫口をつぐんだきれえな娘バスはアラシの真ん中を行く ....
 *

朝起きて色を塗る
テーブルの上にある
野菜ジュースの中を
遠くまで行くことは
とても難しい

 *

虹を壊し
虹に壊されながら
走る子どもたちの足音が
回覧板でまわ ....
湿気のあがる
風の強さに 
飛ばされそうな肩
足を止めて

古いままの 山道にも
じゃりが くだかれてて

こぼれていかないように
角と角の淵に
つま先 入り込ませ

明るい  ....
昼間だどー
母さんが 声を張り上げて呼ぶ

私は はしごの五段目に上がったまま
はーい と こたえる

もう少しで この枝が終わるからね
小さな蕾を摘んで 大きな花を残す
良い林檎を  ....
一人で行った交通科学館からの帰り道
環状線で小学生の僕は
財布を落とした

鶴橋駅の連絡改札は
近鉄線の切符が必要で
連絡切符を買っていなかった僕は
家に帰れない

途方に暮れる僕に ....
人を愛するということに
流儀や作法があるのなら
どうか教えてほしい

風がそよぐ 
けれどそれは
私をいたずらに惑わせて 
答えなど示すはずもなく
通り過ぎるだけの風 

やが ....
発車ベルが鳴ると
髪の毛が風に笑ったね
誤算だったね
脚の長い女の子の
脚が長くてきれいだったね
「栞」を「おしり」と読んで
男の子がはしゃいでいたね
それはきっと僕だったね
 ....
   
{引用=  あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
  越えられない高さに、すこし安心した}   





砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
名の無き道に
いつかふたりで
残した足跡を辿る

 咲いた椿を
 ひと目見たくて

斜陽にそっと
伸ばした指先

 溢れた椿に
 躊躇うばかり

枝先から
落ちた瞬間
名 ....
色とりどりの花片の散り敷かれた舗道は
華やかな体面をたもちながら
苛立ちを隠しきれずに風を待つ

永遠に灰色であることはささやかな安穏
たとえ幾千もの足に踏み入られても

艶麗である ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
千月 話子さんのおすすめリスト(2082)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
曳航- 霜天自由詩1306-6-11
夏至点- 落合朱美自由詩37*06-6-8
影杖- 砂木自由詩8*06-6-8
思考停止。- 葛西佑也自由詩17*06-6-7
誕生日- 霜天自由詩1506-6-7
ゆうらん- 砂木自由詩12*06-6-5
突発即興詩会ログ- 片野晃司自由詩15*06-6-4
エフィメラ(或いは邂逅)- 恋月 ぴ ...自由詩27*06-6-1
深く森の中へ- 杉菜 晃自由詩12*06-5-31
お二人- こしごえ自由詩13*06-5-31
夕顔- 落合朱美自由詩31*06-5-29
の丘- ふるる自由詩33+*06-5-29
含まれている- 砂木自由詩7*06-5-28
遠心- 霜天自由詩806-5-28
E_minor_7th(きざし)- 恋月 ぴ ...自由詩45*06-5-27
夜の散歩者_〜_反射鏡を探して_〜- 服部 剛自由詩24*06-5-26
いかまほしきは- 落合朱美自由詩42*06-5-23
新じゃが- さち自由詩18*06-5-23
せなかをみつめる- さち自由詩10*06-5-23
モザイクラブ- ふるる短歌10*06-5-23
朝起きて無題- たもつ自由詩1306-5-23
つた_うるし- 砂木自由詩10*06-5-21
うまれたわけ- 砂木自由詩10*06-5-19
駅・鶴橋- たりぽん ...自由詩17*06-5-18
立葵- 落合朱美自由詩18*06-5-17
(´・ω・`)- たもつ自由詩18*06-5-17
不感症の夜に- 望月 ゆ ...自由詩63+*06-5-17
椿道- LEO自由詩12*06-5-17
花散る里- 落合朱美自由詩15*06-5-14
きずな(母の日に思いを寄せて)- 恋月 ぴ ...自由詩33*06-5-14

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