君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す


この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね


 ....
くりくり
くるくると透明が
世界を構築している夜でした
星空が邪険に
その様子を見下ろしていて

「真知子」

と呼ぶ声がしましたが
わたしの名前は真知子ではありませんでした
もう ....


鏡に沈む
愁いは波紋となって
私を揺らす

深さの計り知れない底から
ひきあげて
ひきあげて起し
唇に秘密を添えて
黒髪を噛み薄ら笑う
見苦しくはないかと

歪なのは私 ....
親父は定年退職し
母ちゃん専業主婦となり
息子のぼくは半人前

母ちゃん家計簿とにらめっこ
ばあちゃんが払う食費も1万ふえて
なんとかやりくりの日々であります

雨もりがあふれる床
 ....
今よりも夜が濃くて

あれは雨のにおい

ところどころ綻んだ焼き煉瓦の

ちいさな坑道に二人でうずくまっていた

ゆがんだ廃線のレールに

しじまを乗せた汽車を見送っていた

 ....
雨戸を開けたら
夜の一過性の麻酔が
今は静かに窓に張り付き
単なる水気となっていた
その硝子面を、つつ、と指で擦り取り
そこを覗けば、山茶花の
一塊の色彩の首だ

 ....
太陽の溶けた樹液が
母星を 取り込み

枝の上に 果実を成す

宇宙飛行機には 乗れないけど
かじりついたら

行っていない星はない

この実すべてになるために
巡りきた 
宇 ....
人と争うように働いて
話す気にもなれず
押し黙ったまま一日を終える

仕事帰りの公園のベンチ
あたたかいゆげで慰めてくれる
たこ焼を食べていると
目の前の通りを
なかなか客に呼び止めら ....
付け足されてゆくことがあって
それはとても
喜ばしい

差し引かれてしまうことがあって
それはとても
痛ましい


あなたの暮らしは
わたしの暮らしでもあり

わたしの途は ....
夕暮れのバス停で
バスを何本も見送りながら
いつまでも尽きない話をしていた

木枯らしに吹かれて
君が吐き出す白い息が
ダイヤモンドダストに見えた

教室も ....
ともすれば、その人の
冷たい朝なのかもしれない
天井はいつも通りにぴんと張り詰めている
とりあえずは、流行の
そこから外れた道の街路樹のなびく姿を真似て
まずは珈琲をすすることから始める
 ....
光の傷の足跡でした
小さくまぶしい姿でした
川はあふれ
流れはくちびるのかたちをして
水と土とを引き寄せるのでした


流れの音は
光の花の緑をしていて
過ぎてきたどこか ....
1.
ぼくは風邪をひいたので目を閉じる。まぶたは、いつもよりもなめらかに溶けていく。まつげの長さを、指のはらで確認する。ぼくは人よりもまつげが長いといわれるからだ。


2. ....
ぼうたかとび の
しなった 影に

のる 
リュックには

ゆで卵と
つまみだされた時の ための
パラレル シュート
 
たかい たかい
ほら 棒のてっぺんに 両足をつけて
 ....
わたしたち砂にまみれた膝をいとおしむ
わたしたち砂にまみれた膝をいとおしむ
わたしたち砂にまみれた膝をいとおしむ
これは骨のかけら
それとも砂糖つぶ

はちみつのようにとろりと濃い夜が明け ....
みず色の空に 浮かんだ
白い月

明けたばかりの朝
洗濯物を 干す

厚着をして でた外は
首もとから 冷えていく

夜を終えた 世界に
濡れた 竿から 雫が 落ちる

寒 ....
   
   冬の空に
   オリオンが南中する頃
   ベテルギウスは涙を零して
   名前が呼ばれるのを待っている


   冬の空の、暗い、
   まるで何も存在しないかのように ....
板壁に花の影が映っていた。
花は微かに揺れていた。
もうすぐ冬になり枯れてしまうから、
寂しくはないだろう。
古びた板壁も10年以内には崩れて無くなるだろう。
でも今はまだ花は咲いていて、影 ....
(ここでは宇宙をスプと言います)
最前列右の左のスプを見た見たもの全て衛星で死亡



(ここでは宇宙をンと言います)
ンの声がロケット破壊しつくしてβ・γ線上の{ルビAir=アリア}
 ....
ビニールの中
息で

つっぱらせた
よつ足 

窒息する前
吹き込んだものに

騙されて
かわされて

プシュー って
謎が とけても

ふくらんだ ほっぺに
 ....
視線をゆきます。

ひっそりとした
鋭角な色のない
告白にも似た存在の道

とぎすまされた意志の果てには重く輝く種子が宿る

涙で
洗われた深い瞳
そこに秘密を映す

答のない ....
さよなら
を言いそびれたから
本当は帰りたくなんてなかった
日比谷線が
たくさんのさよならを詰めて
こうこうと光っていく

あの向こうへ行きたいな
苦しくなんてないけれど



 ....
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた

雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている

物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた

栞を
 ....
目に見えない時を読めるようになったのは
あのひとと次の約束をするためだった


等間隔にきざまれた目もりを
瞬間の目印にして
大きな流れの中でも
わたしたちがまた、手をとりあえるよう ....
日曜日の早朝
誰も見向きしない時間
ひとけないスキアボーニ海岸通りで
僕は
見つかった
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会に

「見かけない顔だな。お前は誰だ?」
と言われたんだろ ....
メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです


書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
 小学校の、ニ、三年位の頃。どっちだったかすっかり忘れてしまったが、ある時担任の先生から、
「お母さん何の仕事しているの」
と言うような質問をされた。僕は当時から視力が悪く一番前の席順が定位置 ....
プレゼントの
箱のリボンを解くと
中には世界が入っていた
逆さまにして振り落とすと
すべてがからっぽになる

 落としたものはどこへ行きますか

一人の部屋で逆立ちをしていると
一日 ....
2個で150円、
の うたい文句につられて買ったそれは
避暑地の出来事のように
ふわふわと軽く
わたしを照らし
黄色く、寄りそうのでした


夏の酸味と
ひとくち目の
甘い、甘い、 ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける

楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
千月 話子さんのおすすめリスト(2082)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
落ち葉のプレリュード- 恋月 ぴ ...自由詩16*05-11-8
真知子- ピッピ自由詩805-11-7
鏡目録- こしごえ自由詩12*05-11-6
さといも家族- 服部 剛自由詩22*05-11-5
樹海- 相馬四弦自由詩7*05-11-4
覗き穴、にて- A道化自由詩1405-11-4
果ての果実- 砂木自由詩10*05-11-2
白いゆげ- 服部 剛自由詩23*05-11-1
プラスマイナス・ウィズ- 千波 一 ...自由詩13*05-11-1
夢の続き- 落合朱美自由詩17*05-11-1
領域、その人の- 霜天自由詩18+05-11-1
けだものと覆われた子- 木立 悟自由詩1305-10-31
目を閉じる_7篇- nm6自由詩1205-10-28
シュ_マッチ- 砂木自由詩6*05-10-27
Sugar_raised_ver.3.0- なを自由詩15+05-10-25
ほされた_かご- 砂木自由詩9*05-10-23
十一月のオリオン- 嘉野千尋自由詩21*05-10-22
花の影- チアーヌ自由詩605-10-20
ここでは宇宙を- ふるる短歌50*05-10-19
キリンの浮き輪- 砂木自由詩8*05-10-18
- こしごえ自由詩15*05-10-18
本当に出て行くのならばドアからでなくてもいい- ピッピ自由詩1205-10-17
煩う恋- 落合朱美自由詩18*05-10-15
サーモクライン- 望月 ゆ ...自由詩25*05-10-15
サン・ジョルジョの鐘楼- たかぼ自由詩705-10-14
星空の宛先- たりぽん ...自由詩20*05-10-10
ホステスの母- 日雇いく ...散文(批評 ...15*05-10-10
重心- 霜天自由詩605-10-10
グレープフルーツ- 望月 ゆ ...自由詩12*05-10-8
風葬- 落合朱美自由詩42*05-10-8

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