なな きり の むこう
ささ ゆめ も せいて
ほり ふかまる ゆびに
つげる さめた なつび
こしかけた おお いし
なぞられる ほし よる
かた に おちる ....
アタシ
女の子でよかった
こんな悲しい日でも
アタシのスカートはヒラヒラ詠う
こんな悲しい日でも
太陽が眩しいのと同じくらい
君に目が眩んで
他には何も見えてなかったの
....
朝の花瓶から落ちたばかりの
新しい百合の花の傍らに
朝の床にて閉じたばかりの
新しい蝶々を添えたらば
一滴も流れず
ふたつ
満ちた
何も願わない夏の朝
百合の花と蝶 ....
白いシーツにくるまって
裸の足を少しのぞかせながら
「帰るところがないのぉ」って
まるでローティーンの家出少女みたいな
口調でさ
そう言ってみな
きみの横に滑りこんだぼくは
不器用に ....
傲慢な蒼さに
突き刺されて肌が痛い
高揚とするのが
負けたようで憎い
潮が照り返す午後
子供は競う
空の青さは海を
上手に飼いならしている
渚は囁きを止めない
無意識 ....
拝啓、ムジーク。音楽的な夜が、ルララルラとやってきます。コルゲンのようなうずら卵のような、つるりと白く圧倒的にやわらかく飛び散りそうな、つきぬけてせつない月。ぼくらはぼくらなの ....
世界でたった一つの偶然
手にしました
もう二度とない
一度きりの偶然を
もう二度と訪れることのない
それは
色褪せることも
消えることもなく
私の中で輝いています
大切な
....
地下鉄の風に胸の内なぶられて
食物連鎖 取り残され 独り夕食
どこも痛まずに爪が伸びてゆく
今月も産まれない卵を産み落として
部屋 ....
この花は
この花は
もう
やはり
枯れてしまう
水やりを
忘れただけかな
わから ....
数学者は
0より小さい100の存在について考えながら
歯を磨き
大学前の坂道を登り
故郷の母親に手紙を書きます
今日は
0より小さい100の存在を確認するため
のみ市で
中 ....
それは目に見えない
見えないけれどある
確かにある
見知らぬ場所をお散歩中に
見つけた空き家
ぼろぼろの屋根の下から
黒猫が四匹
わたしを見つめ鳴く
知らない庭の
知らない犬 ....
いつだって繋ぎ目は曖昧だから
継ぎ接ぎは空にだってある
雲の
折り重なった影を
届かないその曲線をなぞったりする
ほんの些細なことが
いつまでも尖って痛いので
繰り返す垣根の下り ....
雨降りの校庭には
死んだ生徒の霊が出るから
連れて行かれないように
傘は深く差して
声を出してはいけない
理科室の前の廊下は
いつにも増して薄暗く
硝子棚の奥で
骨になった ....
はねられるときは
不意にやってくるから
はねられるときは
自由でありたいものだ
まずお気に入りの
ポシェットを身につけて
交差点を
まったくの無防備に
横切っていると
真横から
真 ....
今思えば
すべてのことは
半径二キロの輪の中で
起こっていた
その中は
やさしい
繭のなかのように
柔らかくて
はじめて刺繍糸を買いに行った日のこと
鮮やかに覚えてる
刺繍で風 ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
わたしはかつて
とてもあまくて湿った土から生えて
花を咲かせることをゆめみた
猫が足元におしっこして
とてもあたたかくてしあわせだった
ちがう土から生えてそだつわたしたちは
た ....
時計が遅れたり
進んだりするのを気にする人は
何よりも時間の大切さを
知っている人です
けれど
時計には時計のペースがあることを
忘れないでほしい
など
ホームの水飲み場で
あな ....
ポンジュースが出るという噂と、狂おしいほどいつも通りの日々。例えば、そんな愛媛で風景している校庭が、東京の夕暮れの向こうにある。午後、水飲み場で、挨拶は永遠にすれ違っていく。す ....
タナカさーん
カサヌキさーん
マエダさーん
少し間があって呼ばれました
ポエット さん?
やはり皆さんの視線が集まります
肩をすくめて受付に歩み寄ると薄ピンクの制服のお嬢さんが
保険証を ....
あの空の話
もう遠くなった映像の中では
坂道の向こうの太陽と
薄くなるグレーの空とが
混在していて
蝉時雨
引いては寄せて
寂しさを反芻している
知らない知らな ....
風鈴を木にくくり付け
鳴るのを待ちながら
昨日を振りかえる
TVをつっけぱなし
パジャマで
膝をかかえている
今日をみわたす
パンツがすこしくらいみえても
ひらひらのスカートが ....
卵をひとつ落として
夕焼けは夕焼けへと帰っていきます
さよならを言うのが嫌で
いつまでもふざけていたのは
言葉を越えられるものは
言葉ではないと
ある日ふと知ってしまったから
ちびた ....
こつこつ
とんとんとん
いしゃは
わたしのむねを
たたいて
ちょうしんきを
あてたりして
ふむふむ
わけしりがおで
カルテに
なにかを
かきこんでいる
わたしは ....
へっぽこ
かみさま
きょうも
あっちで
ごっつんこ
どうやら
あいさつしようと
してたみたい
でもでも
むこうも
こんにちわって
きたもんだから
あたまと
....
春が
わたしの中に入ると
増えます
やがて溢れ出して
玄関では靴が
遊びたそうにしています
星より遠いところで
唇が光った
君がまばたくと
古い世界は滅び新しい今がひらく
午前のテニスコートに飛び交う
黄色いボールは
それが僕のパッションなのでした
午後いや午前も
コルゲンのようなうずら卵のような
つるりと白く圧倒的にやわらかく飛び散りそうな
つきぬけてせつないぼくらなのです
ただポケットでヴァイブする神経が
吸い付くように研ぎ澄まされ ....
零れ夜の
ざわめき
ほっと
息をする
倦怠たちの
集い
さよなら街よ
さよなら時よ
僕はもう
眠ります
ただ
眠ります
夏の陰に
となりのとなりのとなりのへやの
めざましどけいがなりやまないので
ゆうがた六時半にそとにでた
まだ日はしずまず
ふだんよりずっと赤いかおで
西のやまの端にキスするようだった
あんがいあ ....
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