潮の流れをぬうように 群れなす背黒 秋のうお ひと竿

ふねより なにより 活きに優る二の 腕にきかせて ふた竿

秋 味を 竿に捕らえて 父 にんまり

笑み 食卓へ み竿の 飽き ....
学生時代に旅した外国で
たくさん手紙を書いた
両親や兄弟や友人へ

砂漠に近い
ひどく乾燥した扇状地の街
ボロっちいホテルの一室で
二度とはき出せないような
甘い寂しさの詰まった手紙を ....
くだ のばし
風 渡る
皮膚

二枚に 別れた 
黒 と 黄色

とじれば

の 上
辞書は本当は辞書になんか
なりたくなかったんだよ
本当は絵本になりたかったのさ

だから、辞書は本棚で寝ている間
書かれているすべての文字を
手荷物預かり所に預けて
夢の中で
 ....
午前3時33分33秒になったら
こっそりと本棚から
辞書を取り出してごらん
 
99頁と100頁の間に
もう1頁できていて
そこにはとても大切なことが
書いてあるから
 
で ....
画用紙に書いた思い出を
消しゴムで消してゆく
書き込む時と
同じくらいにていねいに

そしてうすくけばだった
画用紙を抱えたままで
真っ白になりました、と

少しだけ泣いた
  
 ....
二階建て文化住宅の
一階の端に住んでいた
雨の日は軒下で遊ぶ

家中の傘を持ち出して
白い塗装の 錆びきってぼろぼろの
鉄階段を カツンカツンとのぼっていく

赤い無地の
カサカサ音 ....
口裂け女の噂を広めた女性は口が裂けていた

公衆電話はワープ装置としても使われている

ティッシュペーパーの72組目は他と質が違う

夜が訪れると同時に太陽は体育座りをして行儀よく次の ....
   
光沢するチラシの千箇寺
一種類一枚ずつ折り込んで
束ねて舐める唇に ぴとり 貼りつく 


拭えない合成洗剤と摩擦熱
指紋と一緒に綴じて 
継続。
継続。

虚構が隣に  ....
父さんの革靴に
小さな足 入れて
かかと 引きずりながら
なんだか 笑いながら
庭を歩いていた 私

大きくなることに憧れて
本格的な靴に憧れて
小さな足
かぱかぱの空間

なん ....
9に
縦の線を引いたら
猫になった
こちらを見た



水のかたち
火のかたち
草のかたち
さざめく背



冷たい朝の送信
少し遅れる返信
遠くの遠くの声
 ....
まっすぐ歩いていくと靴屋さんがあるんだ
途中で絶対に曲がっちゃだめだよ
前だけみて歩くんだ
靴屋さんに着いたらその横の遊歩道にはいる
ここはむかし川だったみたいだね
人がふたりならんだらそれ ....
黄色い坂道
黒いランドセルの頭に
おばあちゃんの
左手が降りた
フォトグラフ
右手の杖を描けない
ようにして
腓の裏へまわす
そのひとみ
山並みのように
たくましく やさしい
な ....
冬は太陽が低くて
オープンキッチンのカウンターは
暖まっていて

太陽から連なる
六角の連凧が
ブラインド越しに差し込んでいて
左目を射抜かれてしまう



カップの中のアー ....
君の周りに人が群がっているのは、

君のその、聞き癖のせいだ。

君はつまらない政治の話でも、

オタクの漫画の話でも、

それが世界一面白い話でもあるかの様に興奮して聞いている。
 ....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
たとえば 
わたしが沈むとき
くるくるとつむじをなでる
てのひら
がほしいのです

たとえば
わたしがつまづくとき
ついとおでこを押える
てのひら
がほしいのです

たとえば
 ....
確かめる方法はないけれど
ここに記しておけば
君がいつの日か
読んでくれるかもしれないから


ぼくは君が好きです。
仲間の中には
いろんなこと 言う奴もいるけど
ぼくの一番の親友も ....
市電のレールは暁に根負けし
夏のそれとは違って
鰈のように臥している
遠くまで伸びる 秋色
同じ窓から、庭先の蘭も
肩を落としているのが見えた。
あぁ、
そんなこと忘れるくらい
片 ....
あんたの短歌はフルーチェの匂いがするね愛しいだけさ


真白なTシャツで作ったフラッグを振る死んでも名前は同じでいたい


眠れないのは誰のせい深夜音楽番組を片っ端から惚れる土曜日

 ....
微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失 ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする

抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ

産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした

今も少し
する
 ....
いちょうのにおいをかぎわけるころに
どちらからともなく手をつないだゆうぐれ
言葉を待っているでもなく
色づいた葉が落ちていくのが
コマ送りのように目に焼きついて

図書館前の噴水は
夏を ....
正月中の 夜行列車は満席
故郷から 帰郷帰りの人々

暗い駅から ひとり 
座れないので
戸口のすぐ前に陣どる
会社は あさってから

荷物はひとつ
一晩中 立つのか
 ....
イカロスときみに呼ばれた五月から芽吹きだしてる背中のつばさ


滑走路駆けるあなたを追い駆けて追い駆けられて閉じてゆく恋


鋼鉄の翼たたまず夜を待ちどこへ飛び立つ思春期の冬


無 ....
目が覚めたら
隣の布団は空だった
一階の天井と二階の畳
布団と枕
の むこうから
聴こえてる今日
ああ
私がいなくても
今日は勝手に始まっている
このまますうっと消えてしまったら
 ....
カララン

思ったより大きな音がはじけて

丸い木製のテーブルから
黒いプラスチックの灰皿が
まだらクリームいろ模様のゆかに
落下したそのとき

あっ
と言ってふしめになったその ....
煙ばかりを相手に
暮らしてきた人生だったと
したたかに酔ったオヤジが
丸卓袱台のそばで
腕枕しながら
ゆらりゆらり
語っている

現職のころオヤジは
仕事から帰ると真っ先に
風呂場 ....
雨が垂直に
突きささったまま
凍りついた
野の どこかに

愛のひとは
ふしあわせだ
与えるばかりで
奪われない

そんな物語の
かいてある石版が
埋まっている
らしい
ふき消して 

かんづめの
まるいぎざぎざ に
暗闇 うつす

切り続け やめた場所
ぱくりと 走り去った
鈍い 刃

なんだって
かまわない
元気かときかれれば
元気だ ....
千月 話子さんのおすすめリスト(2082)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
それぞれの_秋- ひより自由詩8*04-10-10
あのポスト- たりぽん ...自由詩20*04-10-10
- 砂木自由詩8*04-10-10
辞書をめぐるお話_第2話- たもつ自由詩1404-10-8
辞書をめぐるお話_第1話- たもつ自由詩15*04-10-8
もう一度- umineko自由詩1204-10-8
思い起こさせるもの(1)- 385自由詩6*04-10-8
- 桜 葉一自由詩1404-10-8
チラシ_- 湾鶴自由詩704-10-8
- さち自由詩14*04-10-7
9の猫- 木立 悟未詩・独白504-10-7
最後のデート- 吉原 麻自由詩7*04-10-7
伝承- バンブー ...自由詩604-10-6
日曜朝、七色カフェにて- 石畑由紀 ...自由詩8*04-10-6
君の秘密- 月山一天自由詩7*04-10-6
誓い- たもつ自由詩1804-10-6
てのひら、そのとなり- 望月 ゆ ...自由詩1104-10-6
手紙- さち自由詩4*04-10-5
処分- 湾鶴自由詩604-10-5
十年後から- ピッピ短歌1104-10-4
忘れられた女- たもつ自由詩1504-10-4
かわいい匂い- チアーヌ自由詩7304-10-4
秋の日の感傷- 岡村明子自由詩7*04-10-4
ずうずうしかったような- 砂木自由詩11*04-10-3
ICARUS,FLYMETOTHEMOON- 本木はじ ...短歌1104-10-3
無題- さち自由詩5*04-10-3
勝負のしゅんかん- 吉原 麻自由詩2*04-10-2
丸卓袱台- 草野大悟自由詩6*04-10-2
愛のひとは- みつべえ自由詩704-10-2
ゆびきった- 砂木自由詩8*04-10-1

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70