あの頃、君に告げられなかったことを今


 ***


ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ



ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
さくら かんざし
あかねの 鼻緒

ねむりの いわおに 
腰かけ
仰ぐ 


ちり ち り りん
金魚の尾ひれが 
風鈴を蹴る

ちり ち り りん
黄色の帯と 
左手 
 ....
あなたの温かみと重みが
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に

支える四本の脚
と呼ばれている、それは
わたしの言葉
 ....
なんとなく気分のいい日には

枝を揺らす風だとか
キラキラした川面だとかを
鼻歌にして口ずさむ

そうやって

枝を揺らす風はやさしいなぁ
キラキラした川面はきれいだなぁ  ....
川縁の草いきれの中を
ひた走った記憶は
あるいは夢かもしれず


はじめは
ひとすじの流れにすぎなかった
けれど運命は
生まれる前から決められていた

旅を重ねるごとに
強さを身 ....
せっかくのスカートが、なんて
君は
ふくれた顔で
片手にサンダル

フナムシも
フジツボも知らない
君は
おびえた顔で
片手にサンダル



ここは 
たまたまの国道沿い
 ....
「10月 」


少女だったころ
それは青空と同等で
わたしは生きる喜びを持っていた
埋もれていたものを
そのたび拾いあげても
掌から滑り落ちていく
昼間の悪魔は友人といい
夜中の ....
むらさきいろの透明グラスは
この指に
繊細な重みを
そっと教えており

うさぎのかたちの水色細工は
ちらり、と微笑み 
おやすみのふり


壁一面には
ランプの群れがお花のか ....
みんなヤサシイ
わたしにヤサシイ
タイリョウノオクスリ飲む
飲まれるタイリョウノオクスリ
サヨナラ今日こそサヨナラ
元気が出るとリストカット
ご飯を食べれば
オネーサン指とオニーサン指が ....
 切符を切るカチカチと

  ポイントを温めるランプの炎の

   二番ホームに雪を踏む

    信号の腕木があがる

凍える両手に息を吹きかけたあと、空を見上げて吐息

    ....
「薬を飲み忘れたわ!帰らないと」

マンボウを見に
水族館へ行こうと
誘ったのは彼女の方だったのに
家を出てすぐ言った

「どこが悪いの?」
「知らないわ、生まれてからずっと飲んで ....
給料日

給料日

今日は25日で

給料日

健康保険が

年金が

所得税が

昼飯代が

いくら引かれてるかなんて

どうでもいいのさ

金額さ

手 ....
    灰色のブリキとトタンでできたふたつの長屋にはさまれた一本道

    ところどころつぶれた家から見える海には朽ちた船が散らばり

    生きたかったのに生きられな ....
ブルー問ふ京の都の古家ぬけ落ち込むぼくに空指しながら


麗しき姿であれどきみに問ふ如何なる意図や人魚の胸像


高速の指の運びに混ぜられてゆく鍵盤ももはや灰色


「色たちが心中し ....
君の心の展示会覗きたくなり

電車に乗りました。





カッタンコットン・・・

揺られて逢いに行きます。

窓から見える景色もコマ送りに君に近づきます。




 ....
流しのはじっこで
トマトにかぶりつく

切って 盛り付ける前
誰もみてない 朝

どっからくるんだろう
この 破りたい
悲しみは

形よく そろえて
行儀よく いただいて
終わ ....
僕は奈良公園で鹿の角をにぎっていた


同じころ

父は帰りの電車のつり革をにぎり
母はスーパーで安売りの大根をにぎり
妹はベッドの上で携帯電話をにぎっていた

隣の部屋の夫 ....
奴は
山に登るのだ
そう言っては、ニコン党のくせに
私のオリンパスを借りに来る
高山植物を撮るのだという


いつも汚い日焼け顔をしわくちゃにして
稜線を越えていくホシカラスの夫婦
 ....
ほんとうに欲しいと思ったんだ
あの夜

だから
ここにいるだけで
しあわせ

夏が終っても
君が胸を泳ぐから
 

クロール


息つぎをせずに
どこ ....
その布の上にはきらきらしたかたまりが
透けながらならんでいて
あたしはときどき つまんで くちにいれます




がっこうからかえると また
本のあいだからピアノがはいだし ....
あれはいつのことだったか、間違いなく浮いていて、空。に、月の代わりに。ぼくらの夜はつややかな緑に照らされ、建物には鮮やかな縞模様の影ができる。アスファルトから植物が生えているようだった。自分がやさし .... 痛々しいほどの
朱をさらけだして
鶏頭が咲く

傷口は
季節が変わっても
じゅくじゅくと疼き

癒す言葉など
持ち合わせてはおらず
ただ唇を乞う

ツバメが
ひととき ....
思い出せる涙は
すべて

私のせいであるが故



思い出せる涙は

なんとか上手く 
こころに
収まる




思い出せぬ涙は

だれのせいであったか

どん ....
サフラン色の吐息をつめた
紙風船に
虚空の稚児は
灰色の笑みを浮かべている

道なりに歩いていると
小さな星がすすり泣いていたので
モザイク柄の
傘をさしてあげた

陰った景色は
 ....
ふと声をかけてみた
その外国人は
「ロマンスカー?」
と言って
少し笑った
新宿駅西口で

そうなんですよ日本には
ロマンスカーがあるんです
ロマンスカーはみんなを乗せて
ロマンス ....
線が
小さな点の集まりだと知ったのは
まだ恋なんて知らない
幼い頃のことでした

とぎれとぎれに
一つ一つの出会いがあるように思えても

振り返ればなぜか
すべてがつながっているよう ....
夜店で釣ってきた金魚を庭先で
バケツに放して
しゃがんで
じっと見入る
窓からのあかり
空からのあかり
遠くに響く祭り囃子
黒い自分の影

しゃがんで見ている子供の私
その一点の風 ....
僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番 ....
一篇の詩に洗われて生まれてきた

風のかおりにつつまれて
身をさらし風化して
たわむれの声を聞く

{ルビ盲=めしい}た愛を引きずって
無欲な耳は
{ルビ戯=そばえ}を咀しゃくする
 ....
すいかだった。

真っ二つに割られたすいかが、
テーブルの上に、
どでんと置かれている。

どこを見回しても、
スプーンがない。

仕方がないので、
そのま ....
千月 話子さんのおすすめリスト(2082)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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トマト星人- 砂木自由詩16*05-8-25
僕は奈良公園で鹿の角をにぎっていた- Monk自由詩19+05-8-25
奴への送らない手紙- たりぽん ...自由詩12+*05-8-24
クロール- umineko自由詩18*05-8-24
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思い出せる涙は- 千波 一 ...自由詩21*05-8-22
失恋- こしごえ自由詩29*05-8-22
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点と線(そして座標)- ベンジャ ...自由詩12*05-8-22
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すいか- たもつ自由詩20*05-8-21
詩子(うたこ)- こしごえ自由詩13*05-8-21
「_すいかぶり。_」- PULL.自由詩12*05-8-20

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