ちりんこ するこの こころは こわい
てたりと すわって ここのつ やっつ
なきまね ちびちび うそなき つもり
ぺたりと ころがり ごろんこ ごろん
ちいさな こゆびで かわした こ ....
花曇りの空に舞う胡蝶の
その透きとおった翅を
欲しいと思う
やわらかく笑う
ということを覚えたのは
いつの頃だったろう
新しいピンヒールが
足に馴染まなくて
ア ....
雨を避けながら私は歩いている
傘に守られて私は歩いている
円形の
ぽっかり浮かぶその空間で
私は世界を眺めている
雨粒が傘の端から端から
あふれるように流れている
それは本来私の上に ....
みずくぐり の 破線
ついた先に
からひく みつる 淵
蛍光灯 の 粉
から うまれた
眠る
石 の 蝶
そっと
たずな を
もてば
つらつら
頬を
....
濡れはじめた空が
歌をくりかえすのに
私はピアノを弾けないでいる
雲が沈み雨音が遠くなり
やがて射しこむだろう光に
伸びた髪をさらす
地上が反転する雫のなかで溺れる
鳥の影が風に波打つ
....
重爆撃機 が 胎児 を 投下する。
絨毯爆撃 される 肉塊 は、
思い思い の 姿勢 で 重力 に 従い
従順 に 自然落下 する。
透き通る 空間 に 散りばめられた 有機物 の 群れ。
....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}
きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて
ずっとつながっていました
峠を越えるの ....
な
ん
だっ
て てる
なんだっ まがっ た に
てこう のむまっすぐ ....
淡いピンクのチューリップがいけられた
硝子の花瓶のそばに
罅の入った銀色の金属製の心臓が
取り外されて置いてあった
彼はその代わりに
肋骨の中に脈動変光星をひとつ
納めようとしていた
昨 ....
旅行から帰ったら
あなたと
さくら見たいです
あなたのメールに
胸が詰まる
そう
そうだね
はなびらが
はらはら落ちる川沿いは
きっとまだ
風も冷たく
見上げた角度に ....
春風がごうごうぴゅーとやってきた激しいような優しいような
雨降りの急行列車に花びらが季節はゆっくりゆっくり過ぎて
北からの夜行列車はトンネル出すれ違ったよ桜前線
....
(夏)
波音の届きそうにない
部屋でただ
いき過ぎるのを待ってる
テレビにはめ込まれた
冷たいガラスの匂いだけが
わたしに似ている
(秋)
言葉になり損ねて ....
仕掛けのない心の中
もう 桜の噂
だまされちゃいけないよ
おわってなんかいないよ
水色の空 曇らせて
吹き やまない雪
綺麗な花 なんだよ
薄桃色の
枝の名前に はら ....
君の固く閉ざした唇が
すこし緩んだから
僕の眉間も緩んだ
緩んだ口元から
笑みがこぼれたから
僕の目尻も下がった
こぼれた笑みが
そこら中に溢れ始め
眩しさに笑った
....
あなたへ届かぬ手紙の行方をたずね
風の舞う街へと旅立つ
(緑色のインクで書いた
(お別れの手紙なのに
幾艘もの小舟を乗り継ぐのは
わたくしの至らなさと諦めてみても
何故にあなた ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
その手 静かに
ティーカップに添えられ
石のように
また
白い風のように
{引用=
午後の日差しが軽くなったと感じる。
....
あなたと結婚しました
やさしいあなたと結婚しました
スーツの似合わないあなたと
缶コーヒーが似合うあなたと
いっしょにハンバーガーをパクつける
あなたと結婚しました
あなたを産み育てた故郷 ....
鍵のかかった時計の針から
音だけしている
止める事で
生かされるものに
従った
まざらない光だと
闇に ゆだねた
けれど 痛みは
あなたの
手におえないだけの
窓まで ....
太陽のしずく
果てしない海
{引用=
港では妻が夫の帰りを待ちわびていた。
妻は夫のために編んでいる、縄模様の
セータ ....
花色を
包むような霧雨の
白く
ここはまだ、冬の肺か
冷たい呼吸の薄い圧で
梅が散り
色は
夢でしたか
混迷を招く為の五感なら
あ、
あ、
快く陥り
....
東京が、間違えている
霞む家並みと赤い夜の下
眠れない腕の中に同じような灯りを抱いて
夢を、覚めない
点から散らばる線に乗せて
人と人とが離れていったころ
夕暮れを繰り返すビルの窓から ....
(割れ落ちた心の軋みより流れ出す)
せせらぎの音に我身を任せ
消え入りそうな意識の果てに
あなたの額より滴る汗の熱さを慕う
さよならってどこまでも悲しいのね
狂おしさは許されぬ愛 ....
わたしの私語の中に
あなたはいた
白い百合の花が
畑のようにどこまでも続き
そのようにあなたは
私語の中で
匂っている
しーっ
誰かがわたしの唇に
指を立てる
少し湿った感触で ....
つみかさなっている遠さの てっぺんに憧れ
冷え切った形の流動する 煙仕掛けのからだ
あら、今日もあいさつをしている朝焼け
分解の森でうすわらい 月の咆哮の真空放電にしびれる華 ....
あのレストランの前を通り過ぎるといつも
寂しげな人影が窓の向こうに立っている
何年も前、飲み会を終えた夜
あなたはいつまでも電車を降りず
家路に着こうとしていた私は仕方なく
....
五つの星は夜生まれた
けれどその話はまた今度
青い とつぶやくと
その唇の形から魚だった時代のことが思い出される
泡は真珠とまんまるな月との間に生まれた
苦しくなって止めてしまう
....
詩集にするために
詩を集めて
何になるんだ
って あなた
詩集になるんですよ
あんまり驚いたので
だって あまり変な事いうものだから
そんなことして どうなるんだって ....
花はそのままで美しい
草木もそのままで美しい
根も葉も茎も枝も美しい
葉が還る土も美しい
あれらは光の受け手である
ケイソウはそのままで美しい
渦鞭毛藻類もそのままで美しい ....
あなたの姿を まぶたの裏側に
赤い 糸 で繋ぎとめ
下の名前を そっと 呟いてみる
あなたへの 気持ちを 確めたところで
ぬかるむ春の気配に取り残された針金細工
忘れ ....
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