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水時計は五色、
薄紅、薄青、亜麻色、鈍色、萌黄、
途方もなく贅沢な時計、

薄紅ならば奥方さま、
薄青ならば二の奥さま、
亜麻色ならば三の奥さま、
鈍色ならばあたし、
萌黄ならばあなた ....
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした

花はバラ色
空は空色
木々は緑

図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
 ....
堕ちる 堕ちる 堕ちる どこまでなんて知らない
視界は真っ暗ってわけじゃなくて
パチンコ屋のネオンやらスナックの看板やら
妙に見慣れた景色や知人の顔が通り過ぎる
おおい ウォッカ・ライ ....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}


夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
どうしましょう
幸せなのです
幸せでたまらんのです
涙も出ます

それは煙草の煙のせいかな

とにかくとてつもなく幸せなのです
不思議な気分です
ほしいものがありません
必要なも ....
焚き火の火を見つめながら
煙草を吸っているから
涙もくしゃみも煙のせいにできる

焚き付けの新聞紙にはテロのニュース
世の中のもめごとみんな燃やしてすっきり
なんてわけにはいかないけど
 ....
一日に一回
空は夕焼けに染まる。
晴れていたなら、だけど。もちろん。

夕暮れてゆく世界は私の手の中にあって
私は一杯のコーヒーを飲み干すみたいに
簡単に
それを飲み干す。

でも確 ....
これは私のための祈りであって、あなたのためのものではない。

山を歩く。桐の花がそろそろ終わりで、空色だった花は汚れた茶色に変わっている。そのかわり茨が満開だ。真っ白な花は鮮やかな美しさを持たない ....
我輩は狛犬である。
うん。

口元はきりりと締まっているのである。
うん。
だらしなく口あけた相棒とは違うのである。
うん。
だが百年に一度くらい口あけて吠えたいのである。
うん。
 ....
初夏の夜、首が痛くなるほどに
高い空を見上げて、
あれがかんむり座だよと、
いつかそう教えたのに、

あなたは忘れてしまった。
七つの星でできた王冠を、
あっさりと投げて捨て ....
猫が空風の空き地を歩いている。空耳。夕暮れのネックレスはもうすっかりラピスラズリの感触だ。味わったはずのコーヒーの苦みは、いまやどこにいってしまったのだろう? 透明な連鎖。青ざめたトルソが、臍のあたり .... 今日は風が強くて
ほとんどどうしていいかわからないくらいだけど
一年いちどのしらさぎの日
休んでるわけにはいかないから
カイとわたしとふたりして
言葉にならないもの抱えて出かける公会堂の庭
 ....
掌に乗る
生命の記憶の
なんと軽いこと
海の底に潜む深海魚が
巨大な目で
わずかな光をとらえるように
目をこらしていましょう

そうすれば
この暗闇に
光を見いだせるはず

貴方の隣にいると
いつも泡のように
綺麗な言 ....
血が出るまで掻きむしるかさかさの肌は
乾燥した高地のミイラより無様だ
ミイラになっても美女は美女
みずみずしくてもブスはブス
こたつに半身潜り込んで
少しずつ消滅してゆくなら
どんなにかい ....
『11人いる!』(1975)の続編は、『東の地平・西の永遠』(1976)だということになっている。登場人物は同じだし、話は続いてるし、まあ間違いなく続編ではある。ではある。ではある。ではあるけどな、あ .... 水色のものしか口にしては駄目よ と
お姉さまは仰有いました
緑ではいけませんの と訊ねますと
緑は駄目 薄紫なら構いません と
お姉さまはお笑いになりました

わたくしは紫色のキ ....
ほら今日もラインは元気に流れてくる
あなたよりあたしより元気に
たぶんこの工場の中でダントツ元気に

あたしは箱を広げる
あたしは箱に折り目をつける
あたしは箱を組み立てる
あたしは箱に ....
男には三種類のタイプがあって
ひとりはイブに惚れる
もうひとりはマリアに惚れる
残るひとりはリリスに惚れる

というのを私は15歳のとき何かで読んだのだが
そのときすでにじゃあ私はダメだと ....
奪われたものは奪われたままに夜は消え
春をいろどる明るい粉は素知らぬ素振りでダンスする
海はかたちあるものを映すことができずただ光を反射し
あまりに眩しいので虫たちはみな死に残るのは切り絵だけ
 ....
そら、なのか
から、なのか
どっちでもいいけど
「宙」と書いて「そら」と読ませるよりも
「空」と書いてなんと読むのかわからない
そんな曖昧さがわたしはすき

そら、だったのか ....
駅のホームに
オクラがひとつ
おはなしは
あなたが考えて

(夜勤前に愛野駅にて)
安心できる人に出会ったので、
すこし、うれしい。

あなたが今おもったような意味ではなくて。
私はその人を放っておける。
ほっといても心配しなくていい。
私がバカげたことをしても、きっと
 ....
1 夜の庭で

白い米を
黒ずんだ木の升で三合量る

最初のとぎ水は
庭に撒く

立秋を過ぎたので
コオロギが鳴いていて
いるか座が光っていて

だから私はしばらく庭にいた
 ....
夏バテしちゃって
ソーメンばっかり食べていて
しばらく米を食べてなくって
米びつの米はほっぽらかしで

へんだなあとは思っていた
締め切りの部屋に小さな蛾が群れ舞うから
妙だなあとは思っ ....
青白い殺虫灯に
まっさきに誘われて
バチバチと音を立てて
まっさきに死ぬ。

燃え上がる火を見つけると
後先知らず飛び込んで
一瞬火の粉を吹き上げて
あっというまに死ぬ。

光に惹 ....
ぶちあたる。
とにかくぶちあたる。
光ってはいるけれど
安っぽい弾丸。

蛍光灯の傘にぶつかる。
窓にぶつかる。
壁にぶつかる。
いちいち音を立てる。

緑金色の背中は
あれでな ....
いつもあのひとのことを考えているわけではないから
たまには大目に見てやってほしい

外は爽やかに水色の夏の朝
汗で酸っぱいTシャツを脱ぎ捨てて窓辺に立っても
田舎の農道に車一台通るでもなく
 ....
夏休みの宿題は終わったのと
かあさんは訊ねる
私はもう学校卒業したんだよと
何度説明しても

かあさんは言う
おまえはやく宿題をやんなさい
ツクツクホウシが鳴く前に
とっとと宿題を終わ ....
花壇のマリーゴールドは
みごとにおひさまの色
おひさまを
いっぱいに吸いこんで

ハナムグリのベッドは
おひさま色の花粉
ハナムグリのごちそうは
おひさま色の花粉

夜なんか知らな ....
千月 話子さんの佐々宝砂さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬のカナリア- 佐々宝砂自由詩6+06-2-17
だいだい色の童話集- 佐々宝砂自由詩12*05-7-31
堕ちてゆく客体としての私- 佐々宝砂自由詩1005-7-21
鏡を割りたくなるわけ- 佐々宝砂自由詩15*05-7-16
とーとつに幸せになってしまった- 佐々宝砂自由詩10*05-7-15
優しくなれると思ったこともあった- 佐々宝砂自由詩1605-7-13
PRESS_ENTER■- 佐々宝砂自由詩11*05-6-13
私のための祈り- 佐々宝砂自由詩605-5-17
あうんのうんのつぶやき- 佐々宝砂携帯写真+ ...905-5-15
かんむり座- 佐々宝砂自由詩2805-5-3
猫が空風の空き地を- 佐々宝砂自由詩1105-5-3
冬去しらさぎ- 佐々宝砂自由詩305-3-18
崖の下で- 佐々宝砂携帯写真+ ...11*05-2-18
希望について- 佐々宝砂自由詩8*05-1-11
がり_かりり- 佐々宝砂自由詩7*05-1-3
萩尾望都私論その4_十年目のスペースストリート- 佐々宝砂散文(批評 ...504-12-4
水色の贄- 佐々宝砂自由詩604-11-28
あなたは笑うか?- 佐々宝砂自由詩5*04-11-21
履歴書- 佐々宝砂自由詩804-11-16
キリエ- 佐々宝砂自由詩7*04-11-12
わたしがシャンブロウだったとき- 佐々宝砂自由詩1604-10-15
おはなし- 佐々宝砂携帯写真+ ...2104-9-30
安心できる人- 佐々宝砂自由詩704-9-20
単純な喜びについての単純な唄- 佐々宝砂自由詩904-8-14
コクガ(百蟲譜46)- 佐々宝砂自由詩7*04-8-10
ヒトリガ(百蟲譜45)- 佐々宝砂自由詩6*04-8-10
カナブン(百蟲譜33)- 佐々宝砂自由詩7*04-8-5
夏の朝、午前5時半、- 佐々宝砂自由詩604-8-4
ツクツクホウシ(百蟲譜31)- 佐々宝砂自由詩1304-8-4
ハナムグリ(百蟲譜25)- 佐々宝砂自由詩504-7-30

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