つぶやく君の言葉
両手で すくって
ひとつひとつに付箋をつけてゆく
数字も混じっているね
拾って大切にとっておきたいけれども
写真には収めきれない すべて
汗がひざの裏をつたう ....
からだが どうん、まばたきしたときの
あのせかいが まっぷたつ から、ゆうぐれて
頭から 地球の中心に ぐん、と押されると
わたし、いつも きまって あやまってしまう
ごめんなさい、ごめんなさ ....
まとわりつく風に 色をのせる夢を見た
あの日 あまりに駆け回って
おかげで ぼくらはたくさん転んで
傷だらけになって 笑っていたけど
傷の消えた今 なぜか
あの日の笑顔に泣かされ ....
夕暮れに花を選べばひまわりが遠いどこかでうなだれている
草むらの茂みに隠れ咲いた花ひとりの兵士 目は閉じたまま
ゆっくりと開いてゆくの花びらがだからわたしは滅んでゆくの
....
敷かれて行く なごり葉
ほつれた 眼線 が吹く
いつとも いわない
いつかも しれない
点けられた なつ
すすき の 香り に
消されてく
十重 の 隙間 に
刷か ....
まだまだ不器用な
あいちゃんの手では
線香花火の玉が
もう少し
と思うところで
ふっ
と下に落ちる
もう少しで
ひとつの場面が見える
もう少し ....
おとうとの写真
って
いつも
いまいくつだろ、とおもう
ろうそくに
火をつけて
手をあわせて
いまいくつなの、と聞くと
それよりも
ねえちゃん、はだかだよと言う
....
1 夜の庭で
白い米を
黒ずんだ木の升で三合量る
最初のとぎ水は
庭に撒く
立秋を過ぎたので
コオロギが鳴いていて
いるか座が光っていて
だから私はしばらく庭にいた
....
屋上にスカート揺れてあとは空ばかりが残ってしまう学校
渡される廊下で後ろ振り返るきみによく似た少女が今も
出来すぎた出会いに怖れ隠せない手を繋ぐだけ見つめあうだけ
影追っ ....
女の人と女の人が会う時の
一瞬の刑務所
風船を割りたいんだ
少女が持つ赤いまるい風船じゃない
ガオレンジャーで配られる
青く反射して歯がむきだしに笑っている風船
きれいにする
き ....
遠い世界のてのひらで
君は自由と笑う
熱を逃がさないように
風に切られないように
この世界の足元に
君はそろりと帰る
次の予告もしないまま
無駄な言葉を恥じた ....
あまりに懇願されるので
試しに小指を与えてみた
男は急いで口に運び
コクリと飲み込むと
生あたたかい求愛がわたしに届く
唾液に光った男の喉をうっとりと通りぬける
わたしの小指
満たさ ....
魚津の水族館で
イシダイの一尾が輪っかを
するりと抜ける
そのとき
古い学習図鑑の白黒ページのイラスト
を思い出した
それが
かげろう
{引用=
蜃気楼の街
....
受け入れることはたやすい
おまけに気持ちいい
感謝までしてもらえる
でもみんな
みんな
置いていってはくれないの
わたしにはもう
何も残っていないのに
いくら扇いだところで
忘れることなどできないというのに
いつまでもうちわで扇いでいる
自分の周りだけ
他のところより夏めいていて
ほんのりとしょっぱい
何本平行線を引いても
必ずどこ ....
さよなら、のつぶやきは
はらはら おちる おちばに にていいる
ほんとうは のみこんだのは きせつだけじゃなくて
うつりゆく なつに ちょっとした せんぼうを おくる
わたしは くちも ....
つぶやきみたいなものです。
○私にとっての詩
私にとって詩は、言葉で表せないものを言葉で表してくれるありがたいもの。
表せないものってなんじゃ・・・小川に素足を浸した時の、「あの感じ ....
こんばんは
泊めてください
って
うちは旅館じゃ
ないんですけど
帰ってください
と言いつつ
かわいそうなので
戸を開けると
彼が入ってくる
なんでこのひと
毎日みた ....
手にさげた 月のふきだまり
つめ といだ 草のさざなみ
石の望み
動かない 空と
ながれはじめた 雲
ゆく 決別 の 時
夏バテしちゃって
ソーメンばっかり食べていて
しばらく米を食べてなくって
米びつの米はほっぽらかしで
へんだなあとは思っていた
締め切りの部屋に小さな蛾が群れ舞うから
妙だなあとは思っ ....
青白い殺虫灯に
まっさきに誘われて
バチバチと音を立てて
まっさきに死ぬ。
燃え上がる火を見つけると
後先知らず飛び込んで
一瞬火の粉を吹き上げて
あっというまに死ぬ。
光に惹 ....
わたしは
だれのものなのか
だれもおしえてくれなかったので
わたしは文字になりました
そうすると
色々なところで
わたしを使ってくれました
本の中にわたしが居たり
チラシの中に ....
垂直の空を
仰ぎ見る
ここは空の縁の終わらない場所
折り重なった雲と雲が
覆い被さってくる
雨
続きを
見たいと思っている
染み込んでいく雨粒と
あの雨の後の匂いの行方を
空へ ....
残暑見舞い申し上げます
少女だったあなたと出会ったときから
もう何回目かの夏が過ぎてゆきます
白い制服と 浅黒い笑顔
ぼんやりと胸に残っています
会わな ....
4歳のこどもを
正面から抱っこすると
つい4年ほど前には
お腹の中にいたことなど
信じられないほど大きい
わたしたちひとつだったはずなのに
分裂したね
さびしいけどもう元には戻れない ....
この真夜中の
この静けさに
チラチラと
狂気は降って
闇の秒の遅さと
生の流れの速さに
僕は怯える
明かりを付け
異国の古い
映画に紛れながらも
こ ....
ふおーん
警笛を置き去りにして
カーブに消えていく電車
踏切では遮断機が開くことを忘れて
取り残された人々
遠くでもう一度
ふおーん
ここはゆるやかに傾斜している世の中なので
くす ....
くちを とじて
めを とじて
みみを すまして
かんじる もの
うたたねのような
やわらかな
さいぼうとさいぼうを
すりぬけてゆくような
むげん
くちを ひらけば ....
国会図書館の蔵書を燃やしてしまえ
もっと分かるようになる
百年前の芸術なんて、
今生きている俺に一つも役に立たないじゃないか。
オレはボードレールとランボーと中也とキン ....
蝉が時雨れている8月の
呼吸がぴたりと止まる時がある
子供達は公園でぶら下がっていて
突然の静寂にゆれている
初めてついた嘘はどこへやったかと
懐かしい引き出しをひっくり返すと
初めて ....
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