それぞれの詩人にはそれぞれの言葉の個人史がある。詩の中で用いる言葉は、かつてどこかで自分が書いた別の詩の中でも固有の位置を占めていたものである。例えば「水」という言葉をかつて別の作品で用いたとする。 ....

初めての旅をした
魅力に富んだ表紙のついた 本の
扉を開けるように
それは 始まったわけではなかった

足を引き摺り ひと気のない
トンネルを歩くように
それは まだ終わらない ....
あなたの傘は
少し小さく
私は少し
はみ出してしまう

私は誰かの
傘を求める
心地よい
雨音を聞く

あなたの傘は
同じ角度で
いつでも
そこに咲いている

私は ....
大陸より大きな曇が
森のなかの
ただひとつ倒れた樹を見つめる
川に映る 自身を見つめる


横切る音が雨になり
小さなものを剥がす音が光になる
誰もいない国を過ぎる時
 ....
二階の窓からみてる
箱にとらののらねこがうずまってねてる
ちいさい海が砂時計のまんなかみたいにきらきらしてる
沢で茶色いのらいぬがしんだときく
もう少し毎日の学習を解いていたい

晩ごはん ....


足音がする
 足音だけが 
北側の
庭の隅を過ぎる

犬が吠えたてる
 犬が頻りに
遠くの犬もつられて
吠える


枕もとの時計は
まだ
静かだ


浴室を出 ....
{引用=先生が選んでくれた歌抱きしめて灯りを消してみたいと思う} さくらの花びらのみしりとひらくときの
衣擦れみたいなわずかな音をたべる春待ちたちはやさしい
わきあがるように生まれては こすれるみたいに消えていく

意味のないやさしさはごちそうだ
生温 ....
こんやねむると
ころされる
しにたくないし
ねむりたい
雨上がりの今朝








出窓にノートを置いて書き物をしていたら






お隣に広がるガレージと倉庫では




レ ....
その魂の美しさは通貨になる
ふかい森の奥でみどりいろに光る怪獣の眼と
契約して明るい場所まで走っていける
花嫁よ
ウェディングドレスが泥を食っても
きみはずっときれいだ
肉のわたしは獲 ....
この光につつまれた道のひとつひとつにプラスチックや鉄や木で出来た城が建っていて







赤や青や緑や鮮やかなイエロウの大きな大きな看板のそれぞれに ....
リトル・ミイは誰にもおじぎをしない

でもありがとうは言う
ずいぶん砕けた言い方だけど


リトル・ミイがおなかがすいたと言う時は

それは本当に真剣におなかが ....
自動販売機の横にはたいてい美しい女神が立っていて

ジュースを買うたび僕に微笑みかけてくれる

僕は物心ついてからいつも

彼女たちに惹かれてきたし

 ....
もう旅はしたくない、と思った


サンクチュアリ
蓮のかおりがすこし漂っている


誰かがさしのべる手のひらは
あたえられる権利のように
まぶしく見える


でも ....
『ここは狼だから会話するだけ無駄だ』まで言われてもヘラヘラ笑ってるくせに





『人狼ゲーム』という言い回しが異様に琴線で



『人狼。な ....
ジャッキーは俺に勝てると思ってる
2組で一番足が速いのはどっちか
きっちり分からせてやるひつようがある





ジャッキーは俺に勝ったと思ってる
 ....
マリーゴールドの香りが染み込んで大気を少し重たくする

ひらく花びらのかずとアスファルトに落としてきた恋のかず

麦わら帽子が風で飛んでいった先にトンボがふわり秋の気配

君と手を繋ぐと空 ....
ほんっとバカだったよな
羨ましいくらい自由で
でもなにかを抱えてて
時おり寂しい一面を覗かせてた
そういうところに弱かったんだ
遊んでいるようにみせて
誰より努力してて気づかせなくて
 ....
その日の朝はうすくかなしい匂いがしていた
すがすがしいの意味を考えていた
不安なような
もはや何もかもどうでもいいような
けれど水を飲まなければいけない気がして
うすぐらいキッチンで ....
その猫の名前はジョンといった


まるで犬のような珍しい名 ....
初夏の風が
私の皮膚を剥がして
新しいわたしが現れる

つまらない
音や物を振り払って
白い光に溶けていく

それはまさに
ブラックホールに
飛び込むように
冷たくて端的 ....
かわいいという言葉に
すべてを込めて

足の指の間に入った砂
刺さる貝殻の破片
血が出ない程度の痛み

靴からこぼれ落ちてくる
あなたはいつのこと思い出すの
海とかうってつけの題材で ....
どうか
ワールド エンド フィリフヨンカ
と発音してください

トーベ・ヤンソンの
『ムーミン谷の仲間たち』
という短編集の中に
『この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ』
と ....
雨は世界のかなしみなのだと
あなたは言った

何処かの誰かの何かがこぼれ
気化したあとに上昇し

消化しようと昇華する

雨は世界のかなしみなのだと
あなたは言った

晴れて ....
何が好きですか

あなたは
何が好きですか

野菜は何が好きですか?
私は毎日トマトが食べたい

アイスクリームの味は
何が好きですか?
私は濃いビターチョコが好き

 ....
今ここにモーターがひとつある








オレのモーターだ



 ....
はじめに鳴り響いたのは赤ん坊の鳴き声だった


ギャアギャアと泣く赤ん坊を抱きながら困り顔の母親がふたり


辻の西と東からやって来て


 ....
勝てない
その勝負には勝てない
自分より劣っているから安らぐ
その気持ちには勝てない

劣っている人に寄り添って
生意気な態度を取られて腹立たしく思っても
やっぱり劣っているから
泣 ....
エリナは九月の終わりに堕胎した



父親はケンジだ二人とも学生で他 ....
mizunomadokaさんのおすすめリスト(2011)
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