「見」
見ているのに見えていない
僕の眼はたいてい当てにならない
1秒先の出口も1cm後ろの奈落さえ
感情の濃霧に包まれたら何も見えない
「嗅」
....
「もう、ここでお帰り」
路傍の花たちが押しとどめる
この道の遥か彼方、山懐に
確かに桃源郷はあるのだけれど
そこに赴いて何をするの?
昨日と同じ今日
今日と同じ明日
そんな安穏に包ま ....
スキップする/スキップして笑い/唄う
遠ざかってしまった青い空も雲の上には
きっと、まだ残っているのだろう
目に見えないからと諦めてしまうのは
いけないことではないのでしょうか
背伸びした位 ....
家の押し入れにしまってあった誇り被ったギターを
みつけだしてそこから僕の人生は決まった
一人もくもくとそのあまり音がよくない安物ギターを
朝から晩まで引き続けていた
将来はビッ ....
「すきなんだよ…」
蝉の声と重なってよく聴こえないよ、
ねぇ そんな顔をしないで
ブラウスの裾掴まれても困る
だってわたしは あのひとのもの
つい最近だけど かたおもいだけど
それでも ....
届かないと思っていた扉の取っ手は
いつの間にか腰の位置になっていた
背が伸びて視野が広がる
遮っていたものに追いつき追い越し
世界の大きさに少しずつゆびが触れる
もうすっかり ....
「隊では一、二を争いました。」
射撃の腕を買われ、十一年式軽機関銃の射手に選ばれたというその人は、嬉しそうに話していた。日本の銃器類は思っているよりも評判は良い。その人は「十一年式は三発ずつしか撃て ....
090820
再導入された
資本主義と
評価を得たが
貧乏暮らしが
良くなるわけではなくて
お金持ちが再評価されて
資本の形成が促 ....
はじめて日の出を見た
はじめての春がきて
はじめて二本足で立った
はじめて箸を持って
はじめて友達ができた
はじめてひとりで電車に乗った
はじめてのピアノは嫌いだっ ....
「移」
知らぬ間に忍び込んだ次の季節を
昨日より微かに老いた眼差しでやり過ごす
移ろっていく速度のやるせない違いに
胸の奥をさざめかせながら運ばれていく
....
憑依を着ることもある悪魔よ
進化して天使になれよ人どもよ
退化して臭い嗅ぐ毛物悪魔ども
美しく輝く
大きな瞳に
のみ込まれたい
泳ぐ道
聞こえる雑音
愛の歌
君が待ちわびる
命の名前は
間違いなく僕
ライバルは億単位
誰よりも速く
潜り込む
それは黒い鍵爪だった
重く垂れた空からスッと湿った宙を引っ掻いては
狡猾に隠れる
くり返される蹂躙
積乱雲はメデュ―サの含み笑いの唇をふちどり
うすく開いた
生々しいクレバスを曝け ....
花守る刺す飛ぶ火なる蜂であり
左腕 巻かれたる記章 包帯なり
魂の裸体しずかに座りおり
わたしが外から持ち帰った悲しみを
きざんで混ぜてふたりで分けて
あなたが少しだけ多めに食べてくれた昨日の夜
この平穏に嘘の匂いを加えて
壊しかけたのは
わたしたちの今日です
憶測に振り回さ ....
だきしめる
骨ごとだきしめる
フルパワーが続くまで
たましいがふれあっている
鈴のねがきこえる
宇宙からきこえている
じかんのまえで
ぼくらは迷える子羊だ
....
あの娘は色のない世界に住んでる
あの娘は色のない街を歩いてる
汚れた天使
僕の天使さん
今夜はどこにいるんだい?
電話もつながらず
どこで今日は涙を流すんだい?
あ ....
さっき彗星が流れていった
終わるんだってさ、夏が
蝉の輪唱が今でも耳に残るのに
青い鐘は鳴り始めて、夜は静か
月の灯篭が銀色
川辺の丘は金色に染まる、これから
真夏 ....
通った小学校で
よなか
久しぶりに仲間と
集まって
くっついて花火して
くだらない話を
おおきな声でして
きもちよくたくさん笑って
だいすきって
言い合いながら別れた
中学 ....
そよ風サラリ
夕飯マッタリ
仕事はハッタリ
帰ったらグッタリ
お茶はヒンヤリ
音楽はユッタリ
作詩はドッサリ
料理はアッサリ
散歩はノンビリ
勉強はバッチリ
海藻をチョッピ ....
空から生まれたのだと
思っていたけど、そうじゃない
樹木は土に根をはり
大地は果実や穀物を育む
あまねく生命たちは
地の底へ耳を傾けて
月夜を迎える
私はこの豊穣の大地から――― ....
尽きない悩み まだそこまで
力尽きるまではいかないね
ほら、太陽求める向日葵も
蜜を求める蝶も綺麗だから
わがまま言えるのか?
愛を独り占めしたい 欲張り放題
愛溢れるキミを愛した ....
いつもはわたしが列車を待っているのに
今日は列車がわたしを待っている
ホームにたどり着くと
列車たちは次々と
わたしの中に乗りこんでくる
発車を告げる音楽が鳴り止む
いつも列車 ....
? 公園
{引用=嗚呼、どこまでも芝生。だだっ広い自然公園。
青空には綿アメみたいな雲。
その下に一本の木。
その木から少し離れた所で、一人の男の子が黄色いカラーバットをブンブン素振りして ....
山腹から漂い降りる朝靄に
竹林に朝靄が
風に漂う朝靄の中
溌剌とし
凜とした景色を観る
竹林に偲べば
風に漂う朝靄の中
遠く霞み
曖昧な昨日を見る
竹林に及べば
風に漂 ....
秋風が浸みて骨が涼しくなる
大気の上澄みを透明に飲む
空気の秋を飲む毛細血管が開く
ばくだんの解体
まるで私の心をいじくりまわして
夜空の花火になるのに似ている
そしてあるいはハイウェイ
灰色の街の一本道を
バイクのように飛ばす鼓動
棘のある私の心
もう少しロマンチック ....
私の魂は私の体から抜けて深夜どこかへ行ってしまう
私の意識は朦朧としてくる
ねえどこに行ってるの
わかんないよ
どこで遊んでるの
私君のせいで記憶が断片的にしかない
私が何人もいるみたいな ....
蝉時雨が肌を刺す
てんでに湧き起こる
雲の峰の下
白き猫と対峙する
突然の珍客に身構えた
野生の瞳は鋭く
こちらを値踏みしている
ようだが
耳はフルフルと
右へ左へ落ち着かず ....
真昼のソファーで目を閉じると
いつだったか、夜を待った日の
高原の風を思い出します
肩の高さほどの草むらを抜けて
尾根にむかう踏跡をたどり
軽く息を切らしながら
ずっと星に近いところにたど ....
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