何も残せないと分かっていたとしても
踏み出すべき一歩はあるはずと
遠い雲に問いかけてみる
僕が目指すべき地はまだあるのか
戸惑いながら歩いていく
朝に夕に
呼び掛ける人の声の暖かさ ....
実家の外に片付けられていた
三十年近く前 他界した祖母の鉢植えの鉢達
捨てようと思っているが
欲しいか と母に聞かれ
年々 花作りに目覚めていく夫へ
古いものだが 洗って綺麗にすれば
買わ ....
せっかく森を着せてあげたのだから
木漏れ日のように微笑みなさい
せっかく草原を着せてあげたのだから
そよ風のような声で話しなさい
あなたはアミメキリンであり
トムソンガゼルであり
....
綺麗ごとが染みに見えてしまうのならば
綺麗なもので世界中を埋め尽くせばいい
それが当たり前になるように
両手を広げられることを
抱きしめるべきものがあることを
美しいものを認めるこ ....
流れ往く雲に
人を見て
自分を見て
気がつくと
薄い天幕を破って透過する粒子が
浅い深呼吸を促す
何てことのない
モールの吹き抜け
何てことのない
ありふれた日常
....
死ぬのが怖いなんて錯覚だ
誰かに死なれることの方が
よっぽど怖いじゃない
ブランコに腰をおろした
背もたれのない背によりかかり
ブランコはあたしごとひっくり返る
....
闇のなかを 群れがすぎる
音は光り 見えなくなる
低い午後に
指ひとつ残る
二色の霧
陽の渦の橋
冷えた片目
手のひらに隠す
白い花の背
浴びては ....
僕は右に少し傾いている
君は左に少し傾いている
まったく逆に傾いているのに
傾き具合はほとんど同じだから
二人が向い合せになると
正確に見つめ合ってしまうけれど
僕は君の傾き方 ....
昼下がり
太陽の下
ボケーっと
口を開ける
昨日の苦しみを
降ろして
明日の楽しみに
スイッチを入れる
水槽の中の魚
ゆったり泳いでいる
人間をせせら笑って
それでも君は ....
今生は空虚すぎて
箱庭の内から出る事さえ
何か意味が有るのかと
問いたくなる青空
底は何処までも深く
青が淡く深く時を刻む
流れる時間の虚しさを
どう遣って伝えれば
届くのかと
....
ボクがペンで前に書いてフラれたラブレターを
えんぴつくんに見せると
ぜんぜんダメだね
なってないね と言われる
それがこれだ
「 ....
青空が、うかんで消えた吐息の記念に
ぼくは、ヴァーミリオンのツツジを植えた。
妻は、ヴァーミリオンが大好きなおんなだけれど
それを見て黙ってしまった。
妻の魅力的な尻のほんの一部にオム ....
090423
懐中時計をポケットにしまう
ジーパンのポケットにしまう
海の中には
海坊主がいて
溺れた人を
丸呑みにするのだと
笑いながら時計を見て ....
友と杯を交し
日々の想いを
語らう夜に
酔いどれて独り
家路を辿る
夜の道すがら
何ヶ月も同じ場所に坐り
路傍の石と化した
家無き人の
汚 ....
詩なんか
書かなきゃいいのに
また携帯カチャカチャ鳴らしてる
疲れてるし
変にお腹痛いし
ストレスだらけで何も出来ない私は
やっぱりカチャカ ....
友よ
あなたの痛み
こころで
だきしめよう
同じ重さで
ループする太陽の軌道
五月に向かう風の匂い
確かな休日の矯声
時間の緩やかに流れる昼下がりは
過去へ
或いは、未来へ
どこかからか
パレードのやって来そうな不思議さを備えて
....
夜に灯る
淡き桜の薫り火が
水面に咲けど風に散りゆく
介護疲れの自殺
心が痛い
助けてやりたい
心が優しい
デイサービス
老健
ショートステイ
家政婦
アドバイス
したかった。
真面目な性格、
我慢の女だった。
震源地も定かではない
取るに足らない心の揺らぎを
マイナス思考回路で増幅させ
大津波が来ると身体じゅうに触れ回る
さっそく駆け出していく
おっちょこちょいの鼓動と呼吸
長期休暇をと ....
我が君は歩くファンタジィーと呼ばれつつ
零れる瞳に白い雲映る
作りたし幾何のごとく美しい
ファンタジィー学 君とのおしゃべり
人間の縫い ....
朝目覚めた蝶は
自分の羽根を見ない
ただ羽ばたくだけ
華麗な花々
つるつるした葉っぱ
きれいな雨水
存在をしたい
羽音が聞こえる
なんてきれいな蝶だろ ....
夕暮れ
橙
さびしんぼう
だあれもいない公園で
影踏み
かけっこ
かくれんぼう
風といっしょに遊ぼうよ
いつも泣いてる
あの子とふたり
遊びにおいで
またおいで
....
ふきっさらしのこころ
きみのしろいからだ
ぼくをとおせんぼする
珈琲にさそってみる
いたいけなオスになる
みんなのしあわせを
かんがえる立場なのに
新緑は幽霊 ....
毒舌とか
滑舌とか
ここは百舌のフォーラム
あちこちに
トカゲやらカエルやら
ひからびた速贄がいっぱい
縄張りの主張というわけでもないんだよね
なんのための串刺しなんだか
いざ ....
{引用=――にんげんは
抽象する動物なんだな
(北村太郎「悪の花 2」) }
鳥の目醒めがあって
それから少し遅れて
人間の目醒めがあって
それからだいぶ遅れて
私の目醒 ....
わかんない。
好きって気持ちどこに置いてきたんだろう。
どこへ行ってしまったんだろう。
いまは、考えると火が灯ったみたいに暖かくなる。だけどそれもほんのちょっとだけ。
前みたく火力強く ....
ココア姫マショマロ枕抱いてねる優しい人になれますように
サイダーの中に無数の星がある消えないうちにお願いしよう
黄金のリンゴジュースが飲みたくて急いで帰る夏から秋へ
....
僕等はいつ死んだのだろう
今命有りこの世界でくらす
人間は実は一度しんでいる
母親の体内から生まれ
この世の中に産声を上げた瞬間に
その生命は一度死に
....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした
水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
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