神経に優しい蒼い紫陽花は銀の破線を浴びて艶めく
二重三重山際かさなり緑なす比叡の山は今日も確かに
湖は遠ざかりゆく車上にありやや涼し大津の街は
昼食の時となりたり京に来て茶箱弁当という物を食ぶ
空曇り風は吹きて段上り息つきては ....
春の田んぼ
ミジンコ百万匹
夏の牧場
たい肥積み上がり
秋の終わり
もみ殻焼く匂い
そして冬
降り込められた
あなたとわたしの時の匂い
いい香りじゃないけど
嫌いじゃない
....
二進法の
数え方をしっていますか
片手のひらをぱーに開いて
親指を折って1
親指を戻して人差し指を折って2
1、10、11、100、
101、110、111、・・・
二 ....
ピラミッドみたいな形の倒立を 目を皿にして隈なくみてる
血まみれの夕焼けぜんぶ呑み込んで(みない、いわない、きかない、しらない)
帰ろうとしている影が剥がされて/いつまでも帰ろうとしている ....
すがすがしい挨拶ばかり大陸棚
ベランダで行方不明になる半分
よく隠れ過ぎたあと泣きながら帰る
石を轢いても花を轢いても軌跡
ちちははの流れていった月経夜
....
owl city
という なまえの まちを
oil まみれ にしたら
そこから
killing が うまれ
かれ は はしる
平行線 の
となりを はしる
スピードを あげるのは
....
暗い、手の。しるべ。として。異教の言語を。抑圧された、あるいは、した。夜に。排卵する。血を争い、廃滅する。かけがえのない、すべての。些細な日常の、陥穽も。不可避に。わたしは、学習する。
※
....
えっ、ここなの?
翔太さんに背中押されるようにくぐった暖簾
彼とはじめてのデートだしお洒落なイタ飯屋さん期待してたのに
お母さん、ただいま!
彼の挨拶に笑顔で答える和服姿の女将さん ....
昼間の長さがピークに至ったので
誰も皆名残を惜しんで西の空を眺める
赤い夕焼けの感動は共有され
触発された誰かが振り返る
そんな流れに気づいて
慌てて家の窓に向かい
雨戸を開くと
空 ....
きみはよわいからといって星がはじけるみたいにほほえむひとだ。やさしくしたいのにできなくてなきながらじぶんをきずつけるひとだ。左のポケットのなかに、肺の底に、まぶたのうらに、螢石のようなきら ....
エメラルドグリーンの夜なまぬるい風がふたりを近付けている
陽炎を蝉が叫んで揺らめかす 入道雲が乗せてきた夏
わわわわと とおく、ちかくで鳴くかえる まっくらやみでわたしいまどこ
....
コスモスといえば秋風を思うだろう?初夏には咲いて揺れ始めている
ワスレグサ忘れていたい思い出があること思い出させないでよ
昨日見た四つ葉は今日はもう虫に喰われてとうに虫のものでした
....
コンタクトレンズを入れる君の傍で
シンクに水を溜める音が響いている
悲しければ、と呟けばそこに
光るものが、あっただろうか
歌え、と促す君の指に 撫でられるようにして浮遊する
....
雨の日にタマネギを食べる
茶色のかさかさした所をむくと
白い皮が つるり つやつや
曇る空模様に薄暗くなった台所で
食べられる月のように まな板にうかぶ
半分に切って ざくざくと刻むと
....
100619
きりきりと袋掛けする童かな
見てきたような景色を作ると
桃の季節が近づいて来る
蒸し暑い空のもと
白百合が鷹揚に咲き
散らかった ....
もめんの色
出会い
かりそめ
息をつく
蒸気をとおして
戻すつながり
熱さまし
衣ずれ
目的地
季節と、契る
ちらばった雲に
指をさして
電話が鳴った
君は「暇だから・・・」
と言った
白い雲が
空の端から
反対側の端に流れていったのだけ
覚えている
電話が鳴った
君はいつになく無口で
雨音が聞こえていた
....
【マルボロ】
かあさん あのね わたしがうまれた世界って
本当の本当は しろい正方形だったのでしょう
そこはとても清らかな場所だったのでしょう?
エタノールで消毒した 清らかな ....
木の上にもたれかかった
過ぎていく空気を手に入れる
ノートと消しゴムは教室だろう
教科書など 泣いているのかもしれない
うち捨てられた コウモリ傘に
灰色な 鳥の ....
100617
わうぅぅ〜うぅぅ〜んんと唸る音
暑い夜はかくべつじゃぞと
ところてんを売りさばく
音が売るのだ
吊られた音が
腹を鳴かすのじ ....
詩集『月に吠える』より「猫」
まつくろけの猫が二疋、
なやましいよるの屋根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『お ....
雪のひとひら 概念的な整理や体系化 は 作曲 を 伊豆諸島の鳥島や尖閣諸島の南小島で繁殖する 入り込んだ
古き時代 に バイオハザード を 災害救助犬の育成 に 政治的な ....
茫漠
すぎてゆくなかでの空気との距離が春をかえ
目をほそめるかれさえも浮遊されていた
宵に浸かってゆく丘に、しずかにおちる(あなたと)星が、
ぼくはまぶたをあけても見えなく ....
手つなぎ鬼
手はなし鬼
追う声を呑み
誰もみな鬼
明るい網戸
羽の失い虫
みどり飽和
みどり喰む虫
見つかりません
見つかりません
あなたは順路 ....
東 直子著『春風さんのリコーダー』(有)本阿弥書店
同『愛を想う』?ポプラ社
借りてきました。
『春風さんのリコーダー』は東 直子の第一歌集。この方、ファンも多いし、みなさんベタ褒めです。そ ....
お空を 雲が流れてゆく
わたくしは
けむりのとったんにとどまる
丸い果実にもやされた
乳房の曲線を
つめたく伝う
円柱の墓標は長く
石のままなのね
黒光りのかたさに 無表情の
ま ....
肩書きは「青い新宿回遊魚」まだあのひとはいますかここに
膝を抱き「東京事変」聴いていた人恋しくてベゴニアを買う
束縛を嫌いみずから糸切れば動けなくな ....
今はまだ誰のものでもない言葉
はつなつは命をすこし延滞する
母のおなかは折り鶴で満員です
陽だまりにゆりかご骨の色をして
仏飯に日の丸さして笑ってよ
遺影にと醜い写真差し ....
6月の空がジョウロを傾けた小鈴フルフル優しい水遣り
一語訂正しました。 優し → 優しい
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