お月さまみたいだ
昼間もうっすらと感じています
夜は突き刺さるように感じています
これ以上書いたら
また嫌われるようなことして
困らせるからやめるね
ここまでなら大 ....
時計の針がチクチク鳴っていて
私の脈が皮膚を打つのがそれよりも少しだけ早いのが心配だった
{引用=ある晩黒い大きな家の影に
キレイな光ったものが落ちていた
むこうの街かどで青いガスの眼が一 ....
{引用=
光沢をみせる
明かりが窓からもれ出ています
街辻に面した旧い教会は、十字をかかげ
黒い街灯は、とがったその四角い頭をおもたそうに
旧さの中に時を埋めてしまう
子どもがくれた葉 ....
抱きしめて存在を確かめる
あなたを温かいと感じたとき
私はきっと冷たくて
私を温かいと感じるとき
あなたはきっとこごえて
ふたりは
春と秋を重ねて
交互にめぐる季節
あなたに暖められな ....
お嬢さん、ハンカチ落としませんでしたか
なんか懐かしいよね
それから腕時計しているくせに
いま何時?とちゃっかり左手首隠しつつ尋ねてみれば
そうねだいだいね♪
あの頃のあなた ....
・
は記号ではなく
・
は詩だ
よく尖った鉛筆で
白紙に
・
を打つ
この奇跡を
この大事件を詩と言わずして
いったいなにが、詩であるという ....
Moonlight
さっきまで聴いていた君の声
月に浚われた気がして・・・
確かめたくて
電話してみたけど
月まで電波は届かなかったみたいだね
Moonlight
いつ ....
熱帯夜みたいなきみの瞳はもの悲しくて
ひとつぶの砂も巻き上げることはなかった
湿らせたのはほんのわずかな空間だけで
振り返った背中の先には象のおりと高らかな歓声
きみのその長い首を支え ....
台風の季節は
内川の水かさが増えて
びゅんびゅん橋が流されていく
毎年流されていく
助手席に深く座って
国道11号線のヘッドライトを目で追う
期待や倦怠で満ちた車内を
MJQ ....
ぼくは裸にもどります
着ているものを脱いで記号にもどります
記号は誰かに気付いてもらうために
信号になります
見つけてくれるまで発信し続けます
金属と石に惹かれる女たちは
アイスラ ....
何もない時間に魔法をかけたい。何もない時間を破壊する方法を教えて欲しかった。そうすることが、金を稼ぐことにつながるのではないかと思った。けれど、物をたべることばかりに続いていく。そうすることばかりが確 ....
鳴らないチャイムを待ち続け
今日も1日が過ぎて行った
明日の僕に手渡す物は
多すぎて目眩がした
足も耳も目も鼻も手も全てのパーツは
一つも合うものがなかった
中古と ....
本のホムンクルスは、ほらね
上手に採集して飼育すれば
こんな風に育ちますよ
今日は
素敵な
夏休み
こんな日には
水遊び
今日は
素敵な
日曜日
天気も
良いさ
夏の午後
おいで
遊ぼうよ
素敵な
休日
みんなで
騒ごう
....
来年も再来年も
あいにきてね
例のごとくうまく
伝えきれなかったけれど
涙が出るほどうれしかったの
こういう時にちゃんと
涙が流せればとおもう
わたしはもっと
あらわせる人になりた ....
豊洲から有明へ
ゆりかもめ沿いに
豊洲駅を東へ歩く
すぐに現れるガス資料館を抜けると
広大な空き地が広がる
新開地とはこんな
空っぽの場所を指すのだろうか
遠景は遠すぎるが故 ....
重く雲のたれこめた山脈(やまなみ)
一様に霧が立ち籠め、雑多な植物が生い茂り
山脈を覆い隠しながら、絶壁の海岸まで続き
一様にそれらが続く島並(しまなみ)
青い島の中央 ぱっくりと開いた裂 ....
伝書鳩がやってきて、クルックと一言
窓辺でギターを弾かないでください
そこから落ちるなんてもってのほか
宙に浮く、それは林檎の役目でしょう
風に揺られて雨に打たれて
ある時ぽとりと落ちる ....
私は東京の人になった
東京の人は傘をさす
おちてくるものから身をかくし
熱の拡散を厭うている
私は東京の人になった
どこへ行ってもだいたい
東京の人だと思っていたが
ここ ....
鏡に映る、私という人にはすでに
数十億年のいのちの記憶があり
数え切れない先祖達の声があり
鏡に映る、私という人にはすでに
宇宙の初めの爆発と
宇宙の終りの暗闇が
今も密か ....
左肩を左壁に押しつけて
くたばってしまえ
打ち寄せて来いと
うたいつづけているのだ
左肩の血で壁に絵を
描いているのだ
猫のように餅のように
鳴いているのだ
....
受精を告げる鳥が啼かなくなったとき、朝が訪れなくなった。近いうちに頭が痛くなるだろう。血管が拡がって炎症が起こり、締めつける。腸がび爛するほどに募る思いでも受け入れてもらえないものは受け入れてもらえな ....
からん、と通る 落ちる
瓶の口の正円 艶やかな曲線の裸体を抜けて
からん、と{ルビ生=な}る
手足の生えた魂のような両手をひろげて
隙間なく横たわる 底
から見える瓶の口の正円
の正体は ....
連続するシグナルが流れ込み
激しく流れ込み
とりとめのない水圧に
胸を押される
匂いのない夕暮れが満ち
眼球の裏側に満ち
屹立する剥製のように
赤光を反射させる
{引用=
僕 ....
水栽培のヒヤシンス
薄緑の蕾をたわわに付けた
水栽培のヒヤシンス
このままでは綺麗に咲いてしまう
そこで僕は
ちょっと意地悪になって
花瓶の中に
水銀を入れて ....
透明は無ではないのでしょうか
無というと暗闇のような気もしますが
無よりも無なのが透明なのではないでしょうか
透明とは無をも包む存在に思えるのです
最愛を失ったこの胸の穴ぼこが ....
ひかりが冬の風をほどいていた
物かげをみつめながら
たばこの灰を風にながしていた
ふくらはぎには陽があたっている
車にもどることにした
後輪の日なたに雀が
ちょうど ....
うしろの青銅人間。やわらかい喪服の沈香。崩落と流氷、ぬいだ後の膜、爪に凭れる泡と土もすみやかに認知している、間延び。靭帯。香は甘くなり照らす、廃棄物としての玉足の回路。事象が帽子を投げたところから針の ....
ぼくは少年のころ
特別な存在だった
月光が家の前の袋小路を照らすころに
宇宙から迎えの使者がくるはずだった
トイレの中の窓がまぶしく光る夜
ぼくは何事かと小窓をあける
袋小路に円筒の光 ....
鳥の
木々の
呼び声の
数だけきみはそこにいて
移ろうものは移ろいながら
鍵穴の数だけ鍵があるように
いつもおんなじきみを恋うから
きみはすこうしさみしくなるんだ
あま ....
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