晴れた春の日に
幼いぼくは
緩やかな坂をのぼる

菜の花がまばらに咲いている空き地に
白く小さなものたちが
浮いたり沈んだりしている

菜の花に止まっている
蝶の羽に手をのばす
指 ....
平明な
言葉で
書くことに
勤めてみよう



さらさらと
あほらしいことを
書いてみよう



見る人が見れば
笑うようなものを
書いてみよう



コー ....
 
 
61
 
窓口で明日のことを聞く
明後日のことはわからないと言う
 
犬の尻尾を握ったまま
数日が過ぎた
 
公印の刷り込まれた
きれいな色の証明書が届く
 
 
 ....
燃えている
空が、燃えている
夜になる
僕が、夜になる

燃えている
空が、燃えている
消えていく
僕が、消えていく
{引用=


一年と半年住んでいる七畳の部屋から
331歩
その角を曲がる瞬間にはいつだって
轢かれることを夢みてる

交わることのない飛行機雲
沈丁花の押しつけがましい匂い
片耳 ....
君は僕に喉が渇いているのか、と聞いた。
乾いている、と応えると
君は持っていた一杯の水を
砂の上へとすべて零した。
形を崩して落ちてゆく様を綺麗だと思った。
潤っていく砂はまるでそこだけ生ま ....
科学者風の初老の男に案内され僕は

たわいない冗談もいいながら気軽に

バイオハザードのそれかと思うくらい

深い地下まで降りて行く。

科学者風が見せてくれたのは

マグロ大の深 ....
{引用=
眼球の筋肉が弛緩して光を巧く捉えられない
ぼやけた視界を懸命に凝らして
壁つたいに歩いてゆけば出口に辿り着くと呟いてみる
規則性を見出そうとする心には不安があるのかな
皺を寄せた眉 ....
空が
穏やかに弛んだ


おしゃべりなプリムラの
寄せ植えの鉢に
束の間の雨を降らせながら
君は眩しそうに微笑んだ
「は」のつく名前を持った
風の中で


時が
朗らかに ....
つぶやく、と、言葉が
僕をポケットにする
だから何でも入るし
ピアノだって上手に弾ける
ピアノを弾くと父はだんだん丸くなり
丸くなった背中を母が高く馬跳びする
着地したところはす ....
手をのばせばつかめそうで
指のあいだからこぼれ落ちてゆくもの
きらきらと きらきらと
それは光っている 踊っている


   *


春の訪れ、光まぶしいこの水辺
まだ若い水草がさ ....
与えていたものが奪わざるを得なくなった時
疲れきった略奪者は晴れ空の下で力無くしなだれる

奪われたものは声高に嘆き
足並みの揃わぬ涙は花を咲かすほどでもなく
今では何を望んでいたのかもわか ....
見えない冷たさ
夜の手のひら
わたしわたされ
ひらめく見えなさ


指に映る指の影
花でくるみ ひとつ剥がし
鳴る夜の外
夜の外


やわらかな針
風 ....
止まない雨だった

優しいままでいられるほど嘘つきではないから
まだあまり汚れていない窓ガラスに向かって
冷たい視線を送り込む
反射した感情の行方を知っているくせに
しばらくそこに立ち止ま ....
航海が始まったときからつけられている日誌は、船の最も深い部分にある巨大な書庫の奥に置かれ、背表紙は日付の古いものから順番に棚に並んでいるが、本棚に収まりきらず木の床に投げ捨てられているものもあった。床 .... どんな歎きでも持っておいで

どんな挫折でも持っておいで

私は今、魔法の杖を手にしたの

私は今、魔性の悪癖を備えたの


どんな悲劇でも構わないから

どんな叫びでも構わない ....
白い壁を見よ

神秘のベールを纏う白い肌の君よ
徐々にはだけてゆく官能を追う
我らすべて君の虜、白い肌を這う尺取虫
全貌を望み君の乳房で眠る、あるいは
君に裏切られたものは落下して大地に横 ....
ワイパーを動かすとフロントガラスに

茶色い泥まじりの水滴

風が吹きつづけた後の生あたたかい雨粒

ちょっともの憂くも

塵を洗い流してくれるだろう思いながら

12月の雨のこと ....
横断歩道で飛び跳ねていたら
ユーウツに
アタマシバカレタ

歩道橋の上から
唾を垂らせば
いかめしい車達の頭に
反旗の鉄槌が下る

もうそろそろ青虫がサナギに成る時間だ

春のワ ....
月の光がやさしく降りそそぐ夜明け前
星のカケラのように
ぼた雪ふたつ みっつ
急な斜面の屋根の上
ひとつ転がり
ふたつ弾んで
みっつ溶けて泡になる

月の光に吸い込まれ
色を音を時さ ....
忙しい日々のレールを脱線するように 
不意に訪れた長い休暇 
病室のベッドに横たわる僕は 
窓外に立つ 
独りの樹の葉群を躍らせる 
風、を視ていた。 

( きらきらと、協奏曲の奏でる ....
 
 
交差点の真ん中に
ダチョウが一頭立っている
たくさんの車や騒音に驚きもせず
ただ悠然としている

身長二メートル数十センチ
人より背は高いけれど
人がつくった周りの建物は ....
{引用=
誰も知れない部屋に
愛しい疲れて飽いた私のプシケ
その瞳の黄金の闇に恋をしてから
どうにも朝が眩しくて

指先に掴めない月光を纏わせて
草原で花冠を編む
春雨のような声で静寂 ....
A201号教室の
錆びたドアが閉ざされた
入ってったのは
元女優の議員達だ

外に聞こえないと思って
いい気になってんじゃねえ
俺の糸電話あんたらの
タンポンのひもに繋がってんだぞ
 ....
小さな後悔を
ひとつずつ折りたたみながら
冷たい雨の中を歩く

しつこい雨音を
ことごとく無視しながら
答えをクシャクシャに丸める

痩せた街路樹は
桜並木になろうとして
つれ ....
2010年
わたしの21回目の春で
年が明けてからどうにか
一粒の睡眠薬と二粒の精神安定剤を飲まないままに
すこしずつ
からだのなかに春が沁みていく

2010年
きみに出逢ってから八 ....
みぎてだけが冷たくてすこししめっていて
どうして?
雪でもふってるの

ゆうぐれとあさやけがわかちあえる世界
越境するのは鳥たちで
ひとびとはただ
紫いろの宇宙をながめていた

 ....
 
 
僕の中で爆発する
バクとハツ
バクは奇蹄目バク科バク属に含まれる哺乳類の総称である
ハツは架空の人物、性別は女、推定年齢七十歳前後
幼少の頃、本家から分家に養女に出される
分家の ....
その日、誰かの足の裏を見つけた
それは画家の自画像のように剥き出しで
裸足であることがこんなにも美しいという衝動
初めて僕の中に生まれたのかもしれない
それは、離れない

空気が重なった力 ....
                 100305

食卓から
塩が消えて
船縁が遠くなり
気勢が上がらない
塩分が否定されたのだ

全自動デジタル炊飯器の
お世話になってから
竈の火 ....
夏嶋 真子さんのおすすめリスト(2197)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
初めての狩り- 殿岡秀秋自由詩310-3-14
平明な言葉で・あなたのための花束・西洋美学史講義B- 真島正人自由詩8*10-3-14
「その海から」(61〜70)- たもつ自由詩510-3-14
_- sh自由詩5*10-3-13
332歩目- あぐり自由詩4*10-3-13
そして君から九番目の詩- 瑠王自由詩5*10-3-12
地下水脈のさかな- フミタケ自由詩710-3-12
乱視- 高梁サト ...自由詩13*10-3-11
はる- nonya自由詩6*10-3-11
ポケット- たもつ自由詩1010-3-11
水を渡る- 石瀬琳々自由詩7*10-3-11
who's_gonna_love_me_most?- 瑠王携帯写真+ ...5*10-3-11
冬と名- 木立 悟自由詩710-3-10
同心円状のバルコニー- 中原 那 ...自由詩1410-3-9
- 鈴木陽自由詩210-3-9
ジイシキ虹色症候群- 邦秋自由詩1*10-3-8
白い壁を見よ- 瑠王自由詩5*10-3-8
泥まじりの雨滴- フミタケ自由詩3*10-3-8
春・雑感- within自由詩12*10-3-8
ぼた雪- ルナ自由詩610-3-8
海の音楽_- 服部 剛自由詩910-3-7
帰宅- たもつ自由詩610-3-7
真夜中のロンド- 高梁サト ...自由詩12*10-3-7
コードレス- ハイドパ ...自由詩5*10-3-6
桜前線- nonya自由詩15*10-3-6
沁みていく春- あぐり自由詩7*10-3-6
冬を更迭する- コーリャ自由詩410-3-6
爆発- たもつ自由詩810-3-5
重なった力の上を連続してゆく- 瑠王自由詩6*10-3-5
5%のダイエット- あおば自由詩3*10-3-5

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