*化石
ならない電話をのみこんで
渦まくコードの
耳から漏れる
おとのかたまりを見つめてた。
*氷菓
たて波の断面のように
歯こぼれしていた、
底冷えのあさ
薄切りの ....
安易なキボウが、風に消える
この糞ったれな世界にて
ぼくは今迄よりも必死に
「ほんとうの答」を探し始めた
古書を開いて捲るほど
文字の無い空白の頁の
左側には、十字架にかけ ....
恐くなってしまったんだよ
手に入るなんて思っていなかったん
だから
難しいことなど一つも考えず
ただ 魂が引っぱられてた
心配だったんだよ
先の事なんてちっとも考 ....
あなたの心根を信じたい
無関心にも似たそらが
わたしを信じてくれているように
あなたにも
わたしの心根を信じてもらいたい
執着にも似たあいが
いまもあなたを信じてい ....
やはり感傷的なものはだめなのかなと夕焼けを見ながら思う。感傷だけでは心を引き止めることはできないのかもしれない。強い細部があるからこそ感傷に強度が生まれるのだろう。綿密に書き込まれた現実がなければリア ....
笑う笑う 彼ら笑う
我が子の手足をバリバリと
食らう母親擁護して
笑う笑う 彼ら笑う
餌食らうだけの物言わぬ
片端にされた子らを見て
笑う笑う 彼ら笑う
善意の行い ....
わたしは秋に還る
いつから此処を
ふるさとと呼ぶようになったのだろうか
紅葉した楓の葉を見て
ああ やっと きたのだね
忙しかった夏の終わり
(それはあまりに急ぎ過ぎて)
....
冷たいゆびで
摘まんだ雪は
わずかにかなしい方へと傾斜し
山裾の町は
湖の名前で呼ぶと
青い空の下で黙って
わたしの声を聞いている
凍った坂の途中から
見渡すと
連なる峰の稜 ....
上り列車の中を
下り列車が通過していく
線路脇の草むらでは
無縁仏となった墓石が
角を丸くし
魂と呼ばれるものの多くは
眠たい真昼の
些細な手違い
ひと夏を
鳴くことで生 ....
日常の道を歩むほど
いろいろな幻影達の呼声が
背後から
細長い腕を伸ばして
追いかけて来る
僕は振り返らずに、往くだろう。
無心に腕を、振り切って。
マッチ一本の夢を、胸 ....
自分自身を型にはめようとしているのかな
知らず知らずのうちに
「ねばらない」
そんな思いに捉われてしまう
誰かにそそのかされている訳でも
強いられている訳でもないんだけどね
つまる ....
宇宙を模写する
思考を模写する
気持ちを模写する
他者を模写する
意識を模写する
無意識を模写する
刹那を模写する
呪文を模写する
それを貼り合わせて
....
優れた詩に出会うというのは、そうそうあることではない。
それはインターネットの世界も同じことで、ここ現代詩フォーラムにおいても、文句なしに優れた書き手といえる者は全体の1%にも満たないのではな ....
8mmフィルムに映し出された青い空を
精液で汚して
町の中をまわる電車に
逃げ込みました
逃げ込んだ先は年老いた少年の
末期でした
野良犬は小便を垂らして
猫たちは決して譲らず
許 ....
{引用=決して君には映らないのに
何故君は私に映るのだろう}
林檎の皮を剥こうとも君ほどの素顔はない
時の奥にみる廃虚のように
冬の底に横たわるマグマのように
不謹慎ながら、なんて君の炎 ....
モノトーンの本棚に
黄色いちょうちょ
アルマジロはフランス産
きのこの鍵
ポケットにがま口
ゆりかごにコルセット
リンゴ チョコ コーヒー ドゥナツ
ピクニクラララン
にわか雨で ....
1.
泣かない 泣かない NaNaちゃん
泣かない 泣かない NaNaちゃん
NaNaちゃん NaNaちゃん
泣かない 泣かない NaNaちゃん
悲しいときには いつも
空を見上げて ....
指のさき
雪がひとひら、消えました
わたしの熱を、あら熱を
かくまうように
消えました
うなずくべきことなど
何もないけれど、
わたしは確かに
うなずきました
す ....
新しい駅ができたり
引越ししたりして通らなくなった道
そんな道の道端に咲いていた花々を
覚えている
ひとんちの玄関先のプランターのシラン
マリゴールド、勿忘草
線路わき法面斜面のカリン ....
昨日テレビで
熊田Yが
俺を好きだと言った
口は動いてなかったけど
ダイレクトにわかった
彼女の気持ち
朝早く街に出て
足早に急いでいると
自転車にのぼりを立てた
作業服のおっさ ....
(※今から書くことは、かなり飛躍した考えで、矛盾に満ちている。私自身、今から書くことを本気で考えているわけではない。本気で書いているとしたら、あまりにも宗教じみてもいる。なぜ書いているのかというと、ふ ....
祈りの詩
遠くへ向かう 船を見送って
僕は一人 海を見ていた
ほんの少しだけ 涙を流した後
紛らわすように 歌を歌ってたんだ
無邪気な祈り 持ててはしゃいでたっけ?
檻 ....
髪かわかしたら?
髪かわかしたらメールしますね、って
きみの髪が一万光年の長さだったら
ぼくはもう宇宙にはいないかも知れない
たばこのヤニで煤けたリビングの壁に一箇所
まるで雪景色を穿ったような真新しい壁紙が気になる
あのひとがわざわざ買ってきては飾っていた
贔屓にしてる野球チームのカレンダー
縦じまのユニフォー ....
{引用=
ごめんねとさよならばかりを繰り返し わたしの傍で疲れて眠る
なんでかな、沼のような沈黙は 全部わたしのせいだと思う
20センチ高いとこから見られると おなかのう ....
星の数だけ浮かんだそれぞれ孤独なロダンと
それぞれ頭の中で試されるモダニズム
泣きべそをかいた子供が唯一カギを持つこの城で
誰も知らない自分だけの
誰も知らない自分だけの
宇宙へと旅立ちます ....
星が流れる夜明け前
二人は無口になって
遥かな水平線みつめてた
流星尾を引いて空を行く
永遠を信じてここまで来たけれど
夜明けのファンタジア
教えておくれ
二人の夜はいつ明ける
海 ....
何にもない
空に
雲一つ
ポカリ
長閑だ
クスクス
洗濯物が
話する。
笑顔で
笑う。
何にもいらない
雲一つ
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
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