すべてのおすすめ
走り出す瞬間に 行き先を決めるのが
いつもの やり口
いいや 違う
行き先が 決まっているから
出発時間を 設定して
タイヤを 鳴らすんだ
駐車場いっぱいに 響く
きゅっ とした ....
愚かでみじめなトロージャンは
最後にた ....
今年も庭の柿がたくさん採れたから
喜ぶ顔思い浮かべて
孫のところに送ろうと思うの
若い頃のあなたは
荷造りが上手だったわね
どんな大きな荷物でも
まるで手品のように紐をかけた
でも、今は ....
冷えた空を溶かすような、ほんのり柔らかい日差しを浴びて、通りすがりの駅のホームは、閑散とした微睡みの中にいた。緩やかに電車は走り続け、人々の頭も規則的に、右に左に動いている。
夏の濃い緑の匂 ....
傘立てには どんな色の傘が 似合うだろう
アスファルトに咲く 傘の花なら
雨に 似合う色を 連想しがちだけれど
そもそも 雨に 似合う色が どんなものなのかが
分からない
雨のイメー ....
あなたは、オートサリンジャーに近寄っていくお姉ちゃんが言ったんだとおもってくださいよ。それから彼女はあらゆることに意味があります、なんて言ったんだけど、ぼくはお父さんのつま先からくさいをくさいして ....
ソーニャ・テエルク・ドウルネイ
あなたは回りますね
色とりどりに
撥ねますよね
色それぞれに
心のテクネー
おもちゃの科学
空間を飛んで
失われた時を求めて
ステップを踏まずに
....
いつの頃からか
崖の上から見下ろす
ささくれだった土の
触れると血が止まらなくなるような
眼前に広がる荒野の地表
反吐が出る光景を
瞬きもせずに見つめるのが
当たり前だと思っていた
震 ....
水が溶け合う
女は悲しげに海へ帰りました
貝殻を拾い上げ
訝しげそうにこう云います
「あなたの愛はもう飛び立ってしまったのかしら」
瞳をとじ 月夜を泳ぎ
白い箱舟 ....
「わたしはそのうち一秒と一秒のすき間に落ちてしまうかもしれない。」
「大丈夫だよ。一秒と一秒はしっかり手を繋ぎあっている。たとえもしも君がそのすき間につまづいてしまったとしても、またすぐに同 ....
もっと暗くなってから
ほんとうの話をしようよ
もっと明るくなってから
ほんとうの眠りにつこうよ
月はメルヘンを抱え込み過ぎて白くなる
太陽は輝きを求められ過ぎて冷た ....
ある男が公爵夫人のことをカスのゴミタメ クソクソゴミ人間と呼んだので訴えられた。
裁判長は男を有罪とし、今後公爵夫人をカスのゴミタメ クソクソゴミ人間と呼ばないように命令した。
男が聞いた。
....
何年も帰っていない故郷にいる
当然私の居場所は無く
家族はそれがもう当然のように
暮らしているから
私が帰ってきても気づかないようで
いつもの口癖のような言葉を
えんえんとお互い喋っている ....
神様に抗議したら
死神のライトバンが横付けして ....
・・・
徐々に拍手
やがて喝采
そんなふうにして雨が
ふりやまない
かなしくない
矢印が斜めに
さしこむ窓に涙
いえ、ここはみずのくに
・・・
そらに昇ってゆく人は ....
小さくなっていくこと
悲しいと思ったことはなくて
けれどいつか
君の小さな手で
拾ってもらえなくなるのだと思うと
それはとても悲しいことみたい
君はとても
ていねいな人で
きっちり ....
顎鬚をたくわえた男が
布を手に玉蜀黍を磨いている
小屋の外に置いた籐椅子に座り
一心不乱に
遥か上の方で青空が
ずっと前に動きを止めたことを
....
僕は皮膚の内側が
赤く錆び
その欠片が1つ落ちるまでは何もしないでいたい
そうしたら
透明になってゆく血液と漣の色を覚えて
ひたすら画家になった
気分で文字をカサカサと描いてみる
....
川には黒い雨が降り
それが川底に溜まった黒い川からは
瘴気が漂い
人が欲望のままに踊ったために
生み出された毒が
吹き出す
毒を吸って育った少年たちは
こっそりと蟲を殺す
昔、まだ ....
結婚式に出席した
貸切の二次会会場の
一般客席で
若い家族がパスタを食べていた
みな同じパスタを
食べていた
これからいかなる時も
永遠の愛を誓います
盛り ....
自分が自分に戻るために
自分が作った王国を出て行く
そこには真夜中でも
一緒に起きていてくれる駱駝がいて
醜い蛙との生活のことは忘れられる
闊達な老人が
優先席の前で苦虫を潰している
....
羽
日曜日は嫌いだった 友達に会えないから
あのコに会えないから そんなこどもだった
昨日までの知らん顔が 今日にはもう友達で
明日にはもう親友で そんな無邪気なこどもだった
....
しずかに、
嘘へと
そっと染みたいのなら
おしずかに、
優しさは
まもられるもの、です
まもらなければ
すぐにも途絶える
希少な形なのです
傷の起源、 ....
洞窟の中は星が咲き乱れる秋だった。
呼吸を止めて止めて止めて、それでも息を飲んだ。
鳥が一羽また一羽と、架かっていく。破裂を含むように、孕むように。
断層の線を睨んで、暗い夜に、昼に ....
【青い鳥】
涙はない 思えば おもうほど 青い空しか
浮かばない
人は かならずしも 真正面から むきあうことで
力を その胸に宿すのではなく
同じ方向に そっと居る
そ ....
春はGじゃん。卒業生の賞状筒携へてときめく去りぎは、風も温みて、
毛織物など{ルビ藍=いんぢご}の内にこそ重ぬれば綿の膝丈{ルビ袴=すかーと}ひらめきたる。
夏はのーすり。日頃の腕立てすれ ....
山本さんが一人でぽつんと
落ちていた
落ちちゃったの?と聞くと
落ちちゃったよ、と山本さんは笑った
重力には勝てないよ、と笑った
いつか勝てるといいね、と僕も笑った
秋の空は晴 ....
1)
庇には樋がなかった
コールタールの屋根をはげしく打って
雨は黒い路地に、まっすぐ流れおちた
ひくい窓を大きくあけて
わたしは雨の音を聴いたはずなのに
路地に敷きつめられたコー ....
確かな哺乳瓶の感触。
夜間ではない
それ以外の時間に発行される
私の所在証明書。
辺りの蕾からは
微かな予感の香り。
庭に放たれた獣と
ここにいる私との間には
不釣合いを陵駕す ....
裸で歩いてても怒られない部屋
人恋しくなるから お酒は きらい きらい きらい
誰かに触れてほしくなるなら 初めから終わってて
退廃的な歌におぼれれば 少し楽かな
みえない 感じない 何もない ....
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