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【マルボロ】

かあさん あのね わたしがうまれた世界って
本当の本当は しろい正方形だったのでしょう
そこはとても清らかな場所だったのでしょう?

エタノールで消毒した 清らかな ....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
山奥の針葉樹林で生まれた
朝露のひとしずくは
無数のひとしずくと共に
苔や羊歯の間を縫って
ひたすら傾斜に従う流れになった

渓谷では
無邪気にはしゃいで
いたずらに透き通って
 ....
朝起きて 台所のブラインドを開けると
猫が 物陰に隠れて
つたの絡まる切られた木の上の方を見ている
そこには ヒキナギのつがいが
巣をはぐくんでいるのだ
が いつもはもう チチチとさえずるの ....
駆け上がったスケールの天辺で
頭にティアラを乗せられた途端
3オクターブ下の森へと転がり落ちた
黒鍵に打たれた身体に赤い痣が散る
地面に投げ出された
ティアラの真直ぐで静謐な輝きは
脆い影 ....
俊太郎の詩集を読んだ
俊太郎の詩集を読んで
なにか気のきいたことを書いてやろうとおもったのだけれど
なんの感興も泡沫のようにはたちのぼってこなかった


きのう
街の昔の写真 ....
くるしいような くるおしいような
指先からしびれ
舌先へとつたう
緩く脆い天上からの糸に
ほの青いひかりを重ね
雨と名前をつけた

歓喜のような 
音と冷たさに
髪をつたう 
いと ....
春に迷い込んだ赤とんぼが
ゼンマイをキリキリとうたわせた
ブリキのおもちゃのその中の
ブリキでできた心臓の

あんまりとんぼが赤かったから
ブリキはとんぼに恋をした
おもちゃであ ....
生意気な
口が
ひとりでに
言葉を
吐いたので

取り返しのつかない言葉だったりするので

煙突の上で
とにかく待った
雨が降る
六月には街では
雨を受け入れる用意 ....
かえろうよ
そう言って風は積雪の氷をはがし
小さな白い頬を撫でた

一瓶の底に這う旅
握りしめる緑の葉づれ
きこえて 忘れて

かえれないよ
そう言って風は積雪の氷を埋めて
小さな ....
そうして
列車は燃え上がる火山の山腹を廻り
向かい合って座っていた僕たちの
車窓から美しく災害が眺められた
列車のドアから乗客たちが飛び降りていった
飛び降りては降りそそぐ炎のように水鳥を抱 ....
わたしは秋に還る

いつから此処を
ふるさとと呼ぶようになったのだろうか

紅葉した楓の葉を見て
ああ やっと きたのだね

忙しかった夏の終わり
(それはあまりに急ぎ過ぎて)
 ....
なしという続きのために
削られても消えない
かけらが つながらない線に渡る
後ろ指にかけられた
時計のガラスが見送る
つむれば目が見ていく 心細い幸せ
畳みに けばだつ痛みに
染み込んで ....
五時に会社を出て車で演奏会場に向かう
吹奏音楽団に入った甥のデビュー
トロンボーン奏者として舞台に立つのだ
まだ高校生だし来春からは社会人
でも誰も止める事ができなかったデビュー
ひとめ見た ....
人の言葉を話さないと
人間あつかいされない
じっと警戒して息をひそめていると
けもののように狩りだされる
人ならば人の言葉を話してみろと
けだものの牙が服の下で闇を集める
それは罠になり穴 ....
歯が痛くて痛み止めを飲んだ
いつも飲みなれている市販の薬
しかし 全然きかない
夜中にあまりの痛さにとうとう
救急医療に電話をしてみる
ええ もっと強い薬を出すことはできます
ああ でも歯 ....
わける血のない石くれ
落ちるものは流れ
焼けたものは渇き
散ったものは滑り
登ったものは尽きる

かざした手からそっと
見続ける月の こうこうと湧く光り
だしてくれとどこかで
牙をむ ....
あやめ祭りが開催されるという
そんなにあらたまって見に行かなくても
家にある花で充分だというと
それは外の世界を知らないからだと夫が言う

紅葉も 山に暮らして二十年近くになり
台所の窓か ....
実家の外に片付けられていた
三十年近く前 他界した祖母の鉢植えの鉢達
捨てようと思っているが
欲しいか と母に聞かれ
年々 花作りに目覚めていく夫へ
古いものだが 洗って綺麗にすれば
買わ ....
冬の寒さと共に降り積もった雪が
通り道から寄せられて 
田畑や山のすそに高く圧せられている

春の陽射しは明るく雪に反射して
溶けて滲んだ水の粒がキラキラ
やがて沁み込んで行く雫が
空の ....
骨を飲み込んだ壁の絵は
歩けるようになった
かすかに影をいだいて
陽をひきずり
音を避けて
草の渡れぬ反対側へ
道に線をのせた

ぽとり と雨が
さほど濡れない
ひさしのついた壁の ....
{画像=080907104708.jpg}

神社の縁の下は雨宿りの場所で
みんなの隠れ場所だ
賽銭箱の階段の脇から入って
宝物を蜘蛛の巣の奥に隠した
捨て犬も捨て猫も一緒に連れ込んだ
 ....
紙に書く言葉を選び
心の住む所を明かす
季節の中 暦に書ききれない
熱と冷気がある

何度も歩いた生家前の道
しだいにその回数が追いつく
婚家前の道

道すがら挨拶をかわした人々
 ....
何か おみやげを買っていくか?

駅の通り 大型スーパー五階
食事をすませても 汽車の時刻まで間がある

うん

家族連れ 二人連れ 休日の店内は
活気に満ちていた

何を買う ....
快速にのって先頭の時間が
紙の奥に消えていく

反対側に満ちる水滴は
音をたてずに指をぬらし

ひとおもいに 破けない陽射しに
汽笛の発車する叫びだけ
むしりとられる花びらに
とどめ ....
気に入っているお店のお惣菜コーナーから
たこ焼き 十個で298円を購入する
マヨネーズ 紅しょうが つまようじ付き

大型スーパーの駐車場は広い
混み合うお店のすぐ前から ....
おばちゃん お花綺麗だね
小さな甥の手をつなぎ散歩をすると
道端の花にみとれて
顔を近づけては嬉しそうで
お歌を歌いながら林檎畑を歩くのは
葉っぱ一枚震えるのにも 笑みがこぼれた
 ....
たんぼの土手に立つと
風が強くあたる

しろかきが終わり 
水の上に浮いている 
稲わらをとって
土手に集める
もうすぐ田植え
晴天の太陽が たんぼの水に輝く

強い風は水の上をう ....
某公園の池
15?先に浮く物体を指差し
「あ、白い水鳥。なんて鳥だろうね?」
「あれ、レジ袋だよ」

ここでまた一つ
小さな夢は潰された

学校帰りの道すがら
物体の手前3?
(あ ....
太陽があびせている熱
銀色の洗濯棒が
真直ぐに立って 受けている

沢からくる水をためた近く

水面に 銀色の棒と
棒にあたっている光が映っている

そそがれる水の力で
波がおこり ....
乾 加津也さんの自由詩おすすめリスト(4819)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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