魚は水に
鳥は空に
私はあなたに
それが本当の居場所なんです
風の強い日には
ため息、宙にばら撒いて
ただ遠くまで届けばいい
その胸潰れるまで
吐き出したムジカ
霧のように消えた
夏草色の景色
もう忘れようかな
黒い服に身を包み
光のように ....
今夜は満月だとニュースが伝えた。
風呂に入る頃にはそんなことは忘れていた。
ふと窓を見ると月光が曇り硝子の向こうに見えた。
何の気なしに窓を開けた。
しばらく月を見ていた。
十字架のような形 ....
好かれすぎるのも疲れます
ただただ、自分のために笑って
浮かないようにしてるだけなのに
あなたは私に依存してる
僕のことを見てくれるのは君だけだよ
そう言って近づいてきて
私の居場 ....
風がかたく
薄く鋭くなってゆき
それは南中する空のもと
形を変える猫の瞳に似ている
かれらの前には何人も
内に埋めた空しさを寂しさをゆがみを
誤魔化すことは叶わない
より一層 ....
君はいつもありとあらゆる隙間という隙間にいて
ひっそりと身を潜め、何か考え事をしていた
今日も朝食のパンを食べていると、冷蔵庫の横にある僅かな隙間にひっそりと存在していた
「おはよう、朝ごはんは ....
なんだろうね 人間て
こんなに頑張って こんなに努力して
それでもダメなときがあるんだよ
冷たくなった僕の頬を
熱い熱い涙がつたっていく
こういうのを不条理と人は言うけど
きっと誰かが ....
人間観察が大好きなあなた方なら風呂上がりに1度は
鏡に映る自らの裸体をその標的とし、弛んだ二の腕から諦めの早さを、
薄気味悪い作り笑顔から社交性の無さを見出し
遣る瀬なさを抱えながら決心を先延ば ....
潮の香りがする
ふつり、と
食い込む仕草を
男だという
それに合わせ
ざらついた表面が騒ぎ
私は
頬を赤くする
その一連 ....
珍しくもない空
ただの夕方
セーターを突き抜ける秋風
それが
あたしを揺らがせた
綺麗だと思ってしまった
頭上に掲げた携帯
切り取ってしまった
笑えるくらい
あた ....
スピード出して 夜の中
酔っているのは私だけ
遥かかなたの世界へようこそ
おかしな頭はそのまんま
昼間の光でこんにちは
未来を描くためだけに
壊したいから手を繋ぐ
黒か白 ....
どこへ行くの
と、聞くので
おれの中へ、おれ自身へ
と、答えたら
牛は
モウ〜とひと鳴きして
とてもつまらなさそうに
空へと消えていった
雨あがり風の履歴の騒がしさ
煙ゆく光を原に削る冬
ふたつ膝ふたつの光だきよせる
見えぬ背の見えぬ行方を描く鳥
器からしずく持ち去 ....
疲れの果てにあるはずの
深い眠りが閉ざされた
暗闇で放し飼いの、潜在的な――脅威
カーテンの向こう、いくつもの外壁を反射してくる性急な車のライトが、まるで
取り返しのつ ....
斜面を切り分けて
父の家が建つ
小さな
直方体を
重ねただけの
たぶん
遠い質量の
かたちのないたましいを
とどめおくために
ほっとした表情で
母は告げる
これで
....
正しいのかと問い続けて
二十一回目の秋を見た
中途半端な悲しみを捻り出して食べてみる
それは嘘になって
よこしまな水は皮膚の裏まで暗く染め抜く
あゝ追憶よ、汚さぬように汚してしまわぬよう ....
ときどき、別れを告げそうになる
あまりに離れた歳の差、自分の現在、過去を考えると
君には僕のすべてを、本当の姿を見せていない
もしそれを話したらすぐにも別れなければならない
たとえ君が寛容 ....
奪われないので
今日もひとり分を生きた
果てのない風船の暗闇で
惑星の君が手をふっている
伸びる道は無限に存在し
いつでも繋がっていると同時に
いつでも一定の隔たりがあり
謎 ....
穴のような家に一日潜んでから
日が暮れて
空気を吸いに外に出る
あてもなく街を歩き
喫茶店と本屋をはしごして
何をしたいということもない
そうして雨に降られて
人気の無い大通りを ....
うろこ雲の尻尾につかまって
東の空へ流れ去った君は
雨雲に紛れ込んで
細やかな涙を降らせた
柔らかな時の掌に撫でられて
色鮮やかに頬を染めた君は
頼りない指先に手折られて
夕餉の ....
君がいると知ってたら
よろこんで
迷い込みに行ったのに
強くなれなくたっていいじゃないか
弱虫のまんまだっていいじゃないか
みっともなく泣いてばかりいたって
いいじゃないか もう
貴方がいなくなってしまう
ただそれだけが怖くて眠れない夜
そ ....
昨日、暗くなってからした喧嘩は
今朝のうちに
昨日使った天ぷら油と
一緒に固めてしまうことにした
まだ熱いうちはなかなか固まらなかったけれど
なんとかゴミ出しの時間までに固まったので
きち ....
夏の雨が帰ってきた日
電車の行き交う河川敷で
嵐が運んできた枝で
薪には困らないなあ…って
ぼんやり過ぎ行く時間に蓋をして
現状のあまりのかなしさに
涙の雨も降らなかった日
写真にはやぎ ....
母は逃げ出した
母は我慢強いひとだ
景色を失ってもどこまでも失っても
触手のぬかるみをものともせず闊歩する
母はとても強いひとだ
母はわたしたちを愛している
母はわたしたちを置いていけるは ....
新しい報せとともに
伝えられた罪状
希望を記そう
涙につづろう
一緒に描いた未来と
ここにある現実
やはり2つは別物でしたか?
....
住んでいる町は田舎で
電車は一時間に一本あればよいくらいで
待合室があるのが不思議なくらいで
今日は一冊の小説を携えていて
外は雨が降っていたので
回数券を買った
駅の待合室で
携え ....
思い描いた
この空のむこう
今日から明日に
風を受け
行き着く先は
どこなんだろう
近づく距離だけ
未来が変わり
重なり合っては
波打つ心たち
何度も打ち寄せては
僕を連れ去って ....
夜顔の咲く
夕涼
あせのひくあおぐろい素顔
{引用=※ 夜顔=ヨルガオ。ヒルガオ科。}
水面に
拡がるカァテン
一つ
二つ
三つ
割れる
俺は今
間にあって
どうしたものか
思案する
俺の脚は
久し振りの故郷の質感に
くつろいでいる
俺の ....
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