君はミルクを温めていた
空白の時間を縫うように
冷えたキッチンをほんの少し
人の心に近づけようとするみたいに
昨日(一昨日かもしれない)、タクシーを盗ん ....
青空が美し過ぎて
心がそこに映し出される
予想以上に汚れていることを知る
僕はそれを凝視できない
美は写真のように真実を映す
曇り空は何も語らない
美し過ぎて
....
季節が変わっても
変わらないのは私だけで
いつまでも囚われている
もう目の前にいない人を
私を見ない人を
私を見ていたあなたを
ずっと傍に置いている
暖か ....
無機質なウタが好き
感情に蓋をした感情が
地球規模で叫んでいる
飛べないトリが好き
持て余した羽を
寂しそうにばたつかせている
無慈悲なヒトが好き
愛情に怯えている君を
愛 ....
身のまわりの色彩が不思議と淡くなる夜
胸のうちに浮かぶ
いくつかの
花の名
鍵盤をやわらかに歌わせる指たちの幻
夢のうちを
あるいは予感のうちを
あえかにかすめていった 星のよう ....
ちるりるはらら ちるりるはらら
小動物みたいに笑う
雲のように風のように溶けて流れる
そんなみんなの胸の内
涙落つる止め能はず
両の手のうえ細降る硝子の雪
肌に刺さら ....
住む人の居なくなった実家
風を通すために帰省して
東京に帰る日の昼食は
味噌ラーメンが美味しいと
親父が通っていた店で食べる
若いころ札幌で食べた
味噌ラーメンの味に魅せられた親父 ....
蟻のように働き
見返りは少なく
褒められもせず
当然だと言われ
義務だとも言われ
秋空に想いを馳せる暇も無く
夢を抱くゆとりも無い
掃き溜めのような飲み屋で愚 ....
嘘をついています じぶんに
焦るふりをして
焦らせています
困るふりをして
困らせています
嘘をついています あなたに
可愛いふりをして
可愛がられています
弱 ....
傷だらけ
僕のこころ
人生の主人公
誰ですか
傷だらけ
毒がまわる
人生の主人公
僕ですか
いくらねたって
みんながんばって
わるいひと ....
冬へと向かう足音は
あまりにも
確かで
冷たい冬の
【心臓】
を
手のひらの上に
浮かべてみた
それは明るく輝いていながら
とても凛とした
冷たさを持っていて
裸足の指先が凍 ....
小学生の時
わたしは薄水色だった
黄色のハンカチ
黄色の傘
黄色のお気に入りの服
だけど、わたしは
小学生の時
薄水色だった
黄色の長靴で
水溜まりに入るのが大好きだった
....
「詩人不在証明」
不在を、証明せよ、と、書き殴られた、黒板、放課後、幾つめかの、チャイム、掃除用具入れの、造形美、誰もいない、教室の、大気。
足元から伸びる影を追いかける、ような、 ....
あでやかな音楽は
チェロ バイオリンか
夕暮れの野焼き
朝の霧
まぶたにうかぶのはいつも故郷
ちらばった 氷の粒
ギターはあの人の奏で
似ている この曲
私は峠を越えていく
....
君
テーブルの上に
飲みかけのアールグレー
やりかけのジグソーパズル
僕
ソファーの上で
読みかけのミステリィ
書きかけのソネット
空
静かに晴れて
開けっぱなしの窓
....
胸を揉んでは中腹に滑っていき窪みに座って落ち着いた
すこしばかり汗が湿りにこすれたような塩たちの盆地を
また進んでいくくすんだクレバスに気をつけながら丘また丘
だが噴出する汗は毒か指紋は全くいう ....
私は自分と関係ない人の幸せを祝えるくらいおおらかではないけど、
何かを乗り切って美しくなった人の顔は見逃さない。
きみはこっそり人を愛す。
私はそれを知っている。
満月が
おおきくくちを開けて
新月になる
夜空をひとつ
噛み終えるまで
いくつもの時を食べつくし
それでもなお
夜はおとずれる
無数の星は彼らの目だ
今日もどこかで
....
夜と朝の間を行ったり来たり
熱を帯びたベットの上で
夢の浅瀬にまどろんでみる
永遠に似た瞬間は
今宵も続いていく
あなたの眼差しの奥には
思わず気圧されそうになるほどの
誠実さと優しさとが
ありありと描かれている
惚れ惚れしい風景のよう
柳は淑やかに陽光に凭れかかり
穏やかな心持ちでそよ風を浴びる
....
町をのぞけば 花のよな
空をあおげば 星のよな
きれいなものが溢れてる
だけど私はつまないし
だけど私は拾わない
そんなにたくさん持ってても
ちゃんとお手入れ出来ないし
歌も聴か ....
フォーカシング、そして放した
私のものじゃない
から 、別に失くしたりもしなかった
分厚い衛星の空には
不思議と温かな穴が開いていて
その向こう側に 掌を衝き出してみても
何にも触れない
....
ゆらいでる 炎のろうそく吹き消して
咲きっぱなしの百合の花、
舞台の上はもう降りた
ラムと合うのは冷たい過日、
レターセット ....
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった
ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
時は漂う何年前かのこと
ただ跨がった時代を生き
悲しくも苦しくもないような道を歩み
辱めを避け 懐古を好む
私は熱を帯びた鳥のように
配慮と対処を無駄のように施す
思えば皺の数か ....
徹夜でブドウ糖を齧りながら野球やりに行こうぜ磯野
安全な樹脂の開発を今すぐに止めて野球やりに行こうぜ磯野
素肌の潤いを保つ液体を路上に撒き散らしながら野球やりに行こうぜ磯野
出生の記録を保管して ....
当たりもしない宝くじを買う
予想通りはずれて事も無く毎日は過ぎていく
夢を見る
叶えるだけの気力も覚悟も無く無意識のうちに忘れていく
歳をとる
だんだんと自分の現在地がわかってくる
....
海岸線の弧が抉る
砂浜に埋まっている
息を
ひきとったはずの感傷が濃度を上げて
臭う潮風を
追放したい
繋がった手の
甲の皮膚から
繋がった肩に
鎮座するわたしの
頭 ....
溺れる姿に溺れているだけ
両の手足をへし折って
ひざ下の失望に溺れる
ぷかぷか浮き始めるその前に
そっと抱き上げ
かわりに暗く深い本音を沈めた
やさしい眼
やさしい耳
やさしい ....
恐る恐る結んだ声が
誰の目にも止まらなくてよかった
途切れそうなほど小さく続ける
名前のない歌
明日になったら忘れられる歌
身体の内側を洗うように
想いを言葉にぶちまけても
....
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