見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春

葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節

もう二度と会わない風が
 ....
 ま
  だ
   で
    き
     て
      な 
       い
        
切り刻め
春を
芽吹きを
生え初めたばかりのあわい下草を

切り裂け
よく研いだ鉈で
大地を
老いぼれた大樹を
枯れながらまだ生にしがみつく老骨を

一刀両断されたきみの住まいに ....
  (本日の天気・九官鳥曇り)

天気予報士が少しくぐもった声で言った
昨日の予報では
(スズメのち晴れ)
小さなさえずりは 集まって
高音と 空へ抜ける
清清しい朝に撒き餌して
集ま ....
悲劇とは

輪郭の無い新月の様

悲劇とは

無言に語る琴の調べ

悲劇とは・・・


悲しいけれど

とても悲しい事だけど

受け入れなければいけない事が多過ぎて

 ....
人は死んだらどうなるのか?


死んでからでも好きにするとよい。





だから、


俺は死んだらどうなるのか?











空気か、 
 ....
人の道は
けしてますぐではなく
それでもえんえんと続き
忘れた頃に
ふと千切れたまま
二度とはじまらないだろう
だが
人と人との道は連なり
たまに交じる
そのときに呼吸の音が
深く ....
 ララパイ。揺れる小船。
 あら、引き波が随分強いのね。
 これで、アメリカに行ける?


 スモーキン・ミズ。
 ここは湖ですよ。
 そんなに遠くへは行けません。


  ....
折りたたみ自転車が
折りたたまれていたのは
空いたばかりのトランクのなかで

トランクをバタムとしめると
あなたは取り乱しもせず
じぶんじしんを折りたたみ
わたしのバッグのなかにもぐりこ ....
パリのメトロは東京の地下鉄に繋がっている。

モンマルトルの丘を下りる。今日は、観光客相手の似顔絵業は休みにした。ぼくはパリに絵画を描きにきた。似顔絵のアルバイトのために来たわけではない。いつから ....
朱と漆が混じる頃 名もない丘の墓地
今日も訪れる 独りのピエロ
鈴の音を連れて つぼみを灯した 小さな花

街の明かりに 泪を湛えて 見上げた夜に溺れそうで
雲間から染みだした光に 思いを浸 ....
結局は受け身ならば、カバー布団と仲良くなり四つん這いになっても、うつ伏せになっても、外ん出て仰向けになってもダイジョブ。それどころか・・
頭痛い時は、ラブサイケデリコ。赤信号は無視。汚い手袋。そ ....
もう一度 始めからやり直そう
手当たり次第 袋に詰めて 処分

私の独断 何も聞こえない

これからは思い通りに
からっぽの部屋 からっぽの心

「何もかも やり直せる」
 ....
突然 短いうたが訪れるとき
ずっと長くつづくように感じ
いつもいつもひらかれてしまう


重く しっとりとした鉄が
手のひらの熱に戸惑うとき
いつのまにか撒き散らされた
石 ....
埋まらない心を鉛にする
傷口を君が優しく舐めて
そしてまた固まっていく


重い体はどうしたらいい
吐く息さえも固形であり
時に喉の奥で詰まってる


私が永遠に羊を数えて ....
1学期まで
おとなしかったあの子が
不埒な夏に
持っていかれる

朝一番のプール
塩素の匂いのする更衣室

ざわめきと
流れる髪
草が薫った
自転車置き場
夏の始まりは
たし ....
わたしをのがしてください
なつのよはあつくて
そのままわたしをとろかしてしまいます

わたしをのがしてください
ならないけいたいをさしこんで
せめてみたしたいからだのいちぶ

あなたは ....
 たとえば
 おおきな海があったとしたら
 底には何を置きましょう

 昨日忘れた風のうた
 話せなかったほんとうのこと
 のみ込んだ鉛の心


 たとえば
 そこにゆけたとし ....
  雨が降る日曜日の午後
  雨宿りをした金木犀の木の下で
  電線に連なって揺れる雫を見ていた
  耐えるように震えながら
  世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
  君はその小 ....
ひとつの胴体に馬の首と牛の頭。小屋を出たところで、馬の首は走ろうとする。牛の頭は立ち止まろうとする。からだがよじれて小屋の前で回転するばかり。

首は二つだが、胴体はひとつで牛のからだだ。四本 ....
水色の影を落とす
電信柱の
間を縫って
歩く
一歩前進ニ歩後退



赤く染まった
電信柱の
影を拾っては
投げ
歩く
一歩前進一歩後退



白く輝く
一番星の
 ....
目が覚めて
ほんとうにもう
あなたは行ってしまったのだと
動かしようのない事実を
確認したとき
悲しかった昨日の夜より
もっと 悲しくなった
 バスルームで遂げた自殺の
 記憶が
 洗面所の流しっぱなしの 水道から
 流れてくる


 畳まれた膝の空気
 見つめるガスコンロの炎と炎の間に
 両眼を投げ入れ ....
春になれば
全てがやさしく物音をたてる
物音は
ところどころにできた透き間を埋める

わたしは幾度となく
春の傾斜に耳を傾けてきた
わたしの骨は
せせらぎで作られている

ころがり ....
ある日どういうわけか引力が真横になって
ぼくは壁に頬を擦りながら世の中の右側で暮らしはじめた

世の中の右側はページを捲る神経が発達していたので
それに重力がかかるのは不便であったけれどわくわ ....
まるい果実を

鉛筆で描きたい

スケッチブックの白に

いくつもの線が集成して

球体が浮ぶ


昨日の夜は

濃い霧に街が包まれた

密やかな空気

街燈がぼんや ....
第四コーナーをまがると
運命が点灯する

自分探しの旅にでた若者達の
詰まるところ普通の範疇に収まる模様

天蓋桜の花びらの
四隅をしっかりと切り取る

三日月の刃先は
いつでも陽 ....
あなたと手をつないで
私が少し流れていきました

今までは1だったのに
あなたに少し流れて不安定になりました

つながって
感情が流れていきます

あなたの中に私を見るわけです

 ....
今日をキャラメルの日と制定します

晴天
ひるがえる白い洗濯物
何気ないラジオ放送から始まったキャラメルの日は
全国の老若男女を巻き込み
いまだかつてない展開をみせた
神棚には全てキャラ ....
雪の平原は
降りやまない
白い世界が
まなさきに広がっている

ほっぺはりんご
たったか たったか
かけだしていく
あなたのもとへ
たったか たったか
かけだしていく
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