イヤホン越しに
鼓膜を叩きつける
メロディーに
いつも
どこかで
渦巻く
この
どろっとした
まっくろい衝動を
代弁してもらうことで
フラストレーションを
発散させている ....
ねぇ、かあさん。わたしの初めての言葉って何?
「赤ちゃんのときの?
ぎゅって握った手を差し出して『うまー』って言ってにこにこって
笑うから、母さん、本当にうれしかった。」
うま?な ....
よいこともわるいこともあるけれど
よいことを見ていきたい
よいことをひとつでも多くしたい
できることはやりたい
もっとよろこびを もっとたのしみを もっとやすらぎを
....
乳白色の爪が引っ掻く
さきであずきがぱらぱらこぼれて
湿気た空気に波紋をなげかけ
私の鼓膜をふるわせました
窓の外では不安げな空が
徐々に緊張を解いてはいても
枝々の先は芯が堅くて ....
三日月のポーズで夜を待つ
指先から足先まで
血のめぐる音が聞こえる
無音の闇に呑み込まれぬよう
しなやかに たおやかに
三日月のポーズで夜を集める
U字磁石みたいに
N極とS極が ....
少年と手をつなぎながら
寒いねと言い合っていた
もうすぐ陽が落ちる帰り道
ふと手がほどかれる
目をやると
さっきまでつないでいた手に
綿毛になったたんぽぽ
この季節には珍しい
....
明日も明後日も
素晴らしい日になればいい
笑顔が集まり、心が満たされる
そんな日に
幸せの塊がいっぱい集まれば
未来はきっと
もっと素晴らしい日になるだろう
涙が出る程眩しい空の下の
君と猫をそっと盗み見ていた
暖かい街並みに似た君の笑顔
猫と僕は何も知らない振りして
気が狂う程優しい風の上で
最期の色をきっと今見ている
繋がらなくてもいい ....
どんなに忙しくても
心の余裕をなくしたくない。
爪をキレイにしたり、
耳で音を楽しんだり、
口元が緩むような物を食べたり、
日常においてマンネリ化するような、そういう ....
とくとくとく
ガラスコップ
なみなみ注いだ酒
口を最初に持っていく
そんな奴等が集まる暖簾下
肴は
からっからに渇ききった
それでも棄てきる事のできない夢の断片(かけ ....
火のついた命のみじかさを
知っている
あの人が煙と遊びながら
笑いとばす
わたしは、こうしてる間にも
どんどん灰になっていく
手の中で燃え尽きていく
その生き方に
自分もいつか ....
髪がざっくりと伸びてきてとても眠い
車中のキスはとても甘くて
大音量で天野月子が歌っている
どうしてもやらなければならない事を
とてもとても考える事を
とっても大事にする事
僕はま ....
気がついたら
そこは白い空間で、
やたらと清潔な場所だった
全てを白に変えていく
何かがあった
私はベッドに横たわり
息をしている
少し、壊れている
多分、もう
....
810210
動きの中に幽かな色がある
黒々と横たわる大海原に
一条のきらめきを感じて
振り仰ぐ東の空に
微かな朝の気配を感じる
....
野球場のフェンス越しに
鈍く湿った風
予感の匂いに満ちたアスファルト
屋上と屋根の向こう側
午後の光を遮断して
雨粒いっぱい雲が来る
金網をつかみ取り
いちもくさんに飛び降りる
私の制 ....
あなたがそばにいるだけで
まわりが海に変わる
ほんの少しだけ夜のような
ほんの少しだけミステリアスな海
このまま小さな魚になって
あなたのまわりを漂っていたい
あなたは私の梢を揺ら ....
いつかこんな日が
来ればいいと思っていた
待っていたよ
二人が結婚したいと
言ってくれる日を
随分とお転婆で
跳ねっ返りの娘が
いつしかおしとやかになり
君を連れ ....
高層ビルが建ったとか
そんなことで揺らぐ
モノでもなかった
それでも
"変わらない景色"さえ
風化されていたから
もたれる場所を見失った
....
キラキラした世界と サヨウナラ
ヒラヒラ浮いた僕と サヨウナラ
10年後まで生きていられる カナァ ?
飛んだり跳ねたりはもうできない
あなたが白いから
10年後ま ....
車道を行く
ひたすら行く
迎えは居ないが
歩く、ただただ道程をたどって
後頭部からカット・インしてくる
車両の音
踏み切りのベル
仕事帰りの会社員の独り言
二階から自販機に家族 ....
親子であったり
夫婦であったり
友であったり
天使たちの遊戯
声のない
音のない
天使たちの遊戯
しびとになって
このよをのぞいていた
光 ....
何故かあのひともそうだった
年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり
初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
時折見せる
あなたのかなしい微笑に
わたしは茜の放課後をみる
琥珀に澄んだ
あなたの真直ぐな瞳のなかに
わたしはゆらめくさかなの影をみる
あなたは そう いつもやさしい
....
騒ぐ鼓動が駄目だと叫んでも
はぐれた心 繋ぎとめておきたくて
涙を流してすがりついた
醜いその姿をはずかしむより
失うことを怖れて
私は空に手を伸ばす
掴んだ手の内が空っぽ ....
忙しい日々から逃れ
疲れた体を暖めようと
平日の{ルビ人気=ひとけ}少ない温泉で
頭の上にタオルをのせて
露天風呂に沈んでいた
ゆげの立ち昇る
水面に
現れては消えてゆ ....
信号待ちの車の中
ふいに
シチューの匂いが
忍び込んでくる
こんなに濃厚なシチューを作る
幸せな家はどんな家だろう
と思うけれど
走り出した車の中
すべては押し流され
....
彼が、胴体と精神を切り離したいと願っていた
つづけざまに失ったものが大きすぎたといっていた
そういう感情らしい勢いを大事にするタイプにはみえなかったので
金さえあればなんとでもなるのでしょう ....
道の途中うずくまってたんだ
横を通り過ぎる雑踏
遠くなる意識のなか助けを求めてたんだ
胸に渦を巻く葛藤
力無く手をのばして…
独り
戦う
怖くて
不安で
手をとって…
アスファ ....
こどものころ
公園は島だった
オレにとって
公園は島そのものだった
いくつもの島を
オレは巡るのだった
そのなかでも
雨の無人島がいちばん好きだった
遊 ....
湯船のふちまでお湯を張る
そっと揺らさぬように
しずかに身を沈めると
溢れ出たお湯が
洗面器をさらった
体の芯がやわらかくなるまで
ゆっくりと数をかぞえる
幼い頃
....
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