満たされた月が
静まる夜に息をかけ
澄みわたる気配は
、まるで水の中
地に影おく木々の枝先は
水草のように揺らめきたって
浮かびあがる山の稜線で
青さを図る
私は膝をかかえ
天を ....
あの日
君が来てから
僕はこの街が好きになった
どこよりも好きになった
君がいるからだよ
電話ボックスの中で膝を抱えていたね
名も知らぬ群青の子
あの人に前髪を触られたい
そうして
あの人は鶏頭の花に口を寄せるんだ
あたしは
まだよちよち泳ぎながら
アールとエル ....
まあるい卵にうさぎの眠り
たゆたう袖から
虎のまなざし
いつかは還る最果ての灯へ
のぼる姿を
手から
手に
浮かべた舟は遠ざけて
くれない川面に
こもりうた
幾 ....
本当はあれが欲しい
昔風の、赤いトースター
あれに、真っ白真四角の
スーパーのパンを入れて
しばらく待ってると
2枚一緒に
「パンッ!」と顔を出すのが
心憎いから
でも ....
友人からの年賀状には離婚したことが添えられていた
数年前、結婚の挨拶に来た二人
こんな美人お前にはもったいねえな、なんて
憎まれ口にもニコニコしていた二人
昨年もいろいろな人がこの世を ....
一人 は
まだ いい
独り は
有無を 言わせない
何でも消せる消しゴムがあったら
何を消しますか?
みんなに問いかけてみた
妹は“猫のひげ”と言った
理由はチクチクして痛いかららしい
僕にはなついてこないので解らないが
“痛いのな ....
地球からくろねこがだっしゅつしてあの娘に会いに行きます。くろねこのワルツです。
君がいなくなった部屋で僕は呼吸をする
君の香りが消える瞬間を見逃さないために
僕も世界もなんて平凡でつまらないんだろう
もっとずっと素敵なものだと思っ ....
最初の日曜日、世界は混沌とした闇の中にあって、まだ私の手の届く範囲内でした。
最初の夏、世界は混沌とした闇の中にあって、私はその世界で王様でした。
最初の冬、混沌とした世界は終わりを ....
兄ちゃんのヘタクソなギターを思い出す
12月、寒い夜
妹は彼氏が出来たとはしゃいでた
東京には空もないし、星も見えないぞ
父ちゃんは乱暴に俺の頭をはたき
戻ってくるなと言った ....
夜の声
星の涙
自分を照らす 白い月
優しい音
涙の川
溢れ出す愛情
届かないね
自分の想い
近づきたくても 逢えないよ
声だけの優しさ
そ ....
息子(小3)が「学校行きたくない」と言ったのが今年の7月始め。話を聞くと、「死ね」「この世からいなくなって」「うざい」等の言葉の暴力、身体の方はあざなどないけど、しょっちゅう蹴られたりこずかれたりする ....
今夜はひとり、僕の手を取る君は
楽しそうに自販機のコーヒーを買う
立体駐車場の屋上に君は車をおいたという
スロープを二人、手を繋ぎながら
(君の子供は眠っている頃)
誰にも照らし出さ ....
僕の恋人は
怠け者で自由奔放
色白で柔らかくて
瞳が蒼いんだ
笑うと目を細めるんだ
暖かいところがスキだから
僕の特等席をいつも取っちゃうんだ
でもね
....
今日につながる道は平坦じゃなかった
曲がりくねった道もあり
ぬかるんだ道もあった
黒い雲に隠れて見えない午後も
太陽は必ず裏切らず昇ってきてくれた
夜のジャングルにいた頃 ....
秋に装飾され始めた街角に立つ君は
凛々しく軽やかでその髪を風にまかせてる
ルージュもつけない唇は
すれ違う人々の視線から逃れられない
風が舞うとき
君まで舞いあがりそう ....
ナイチンゲール
あの人のためなら
ナイチンゲール
命など惜しくは無いわ
あの人に出会って心震えたの
高鳴る思いに初めて
人を愛すること知ったのよ
もしもあなたが望むなら
この胸 ....
生暖かな風が吹き抜けてゆく
ようやく緑の穂をつけた
オーチャード・グラスが
ざわざわとざわめく
雨が降る
雲はまだ薄く
北の空には光が残っている
ふいに、蕗の葉が大きく翻って
....
夕暮れに
あの子にハモニカ吹いたげよう
ひとりぼっちの街角に
ふたりぼっちの歌ひとつ
ゆれるゆれる影法師
街はなぜに泣いている
人恋しいと泣いている
夕暮れに
あの子は泣いていたん ....
ジャズ時雨
マウント・フジにも
日の染みて
降り続く雨の間
口ずさめる歌を唄う
それに惹かれてか小さい傘の訪問者
二本目の傘の大きさと色で
待っているのは会社帰りのパパ
大人にも子供にも犯罪者や
偽善者、病気持ちにも受験 ....
きれいに消し去って欲しい
あなたの腕で
わたし自身では消せなかった
こころのなかに棲みついたもの
胸騒ぎのようなもの
きっと消せる あなたなら
その腕でわたしを抱き上げて
森の奥深く連れ ....
ただひとり 生き延びた僕に、
残された海。
激しく、荒れ狂った夜は 引き潮に連れ去られ、
空と海とをわかつべく 曖昧な区切りは
さも穏やかに微笑んでいる。
磯際を覗くと、ウミスズメたちが ....
{引用=
ぼくはこの家でうまれた。赤い屋根の二階だての家だ。庭にはシュロの木がうえられてそだち、げんきに葉をのばしている。
朝、父さんがクルマにのってこの家を出てゆくと、母はきまって化粧をはじ ....
そのあと、
乾いたシーツの上に キミがいた。
あかく痛んだ髪が つかの間に そよぐ
涙さえ、冷えた笑い
すぎてゆく からだの 華奢な線。
――ほかに好きな人ができたの
そんな君たち ....
ぼくは詩を書きたい
人は生きる中で悩み
生き方を迷い
時には誤り
生きていることに疲れ
苦しく病み
生きていくことに
背負いつつも傷つき歩む
そうだとしても
無垢な人生よりか ....
夜が訪れたことに気づかないでいたら
いつが夜明けなのかわからなくなってしまった
区別がつかない 月は
欠けているのか 満ちていくのか
私の呼吸と 似ていた
{引用=お話と呼ばれる ....
一.
春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし
と
跳ねていく
抱きぐせがつくからだめよ
二.
ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とす ....
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