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私のDNAの塩基配列に
「ケ・セラ・セラ」という
遺伝子情報が組み込まれている
膨大な螺旋構造の宇宙には
母から降ってきた星屑が潜んでいる


突然の父の入院で
しばらくぶりに会った母 ....
チャペルの鐘の音 
ハレルヤのゴスペルの響き


祝福の音色を浴びてキラキラ輝くのは
淡いパステル色の金平糖
小さな羽根を羽ばたかせ
あなたのキューピッドが運んでくる。


甘い砂 ....
服部剛氏の第二詩集となる『Familia』を開くと、そこには温かな潮流が静かに流れていた。

服部剛という詩人は日常の何気ない風景の中から、その温かな視線で拾いあげてくるアングルが、
マザーテレ ....
電話のあなたの声がしゅるしゅるとしぼんでゆく
タイムリミットは15分

「ウルトラマンのカラータイマーみたいね」

3分の5倍あると思っても
沈んでいくあなたを掬いあげられないまま
電話 ....
すっかり生ぬるくなったビールの向こうに
睡蓮の花が物憂げな顔で座っている
白い陶器の肌が青ざめて
透き通った光沢を放っている

その清楚な肌に触れることを許した
借金まみれの男の手が離れそ ....
夜気に退屈をさらけ出すプラタナスが
細い小枝で編んだ投網で上弦の月を引っかけている
葉陰から木漏れ日のように明かりを点滅させて
モールス信号を送る橙色


きっと月の頬には痕が残るほど
 ....
ギリギリでバスに乗りこむと
最後部の片すみに
ちょこん とすわっていた
同じ塾の子たちと離れ
まわりを遮断するように
本を開いている


「よかった 帰りが一緒で」
となりにすわると ....
雑踏のあちこちに
発生する
ポップな電子音

それぞれの手のひらの中
ぽろぽろと
カラフルな想いをつかまえる

まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけた
ねじれた言葉が小窓にな ....
突然放りこまれてしまった


病院の待合室にすわらされ
時計の針が無表情にすすむのを
昼メロのデジャ・ヴのようにながめる


「ママ ごめんね」
かすれた声の一言で
キミは幕開けを ....
たっぷりとあふれんばかりに湛えて
こぼさないように歩く
ネットの海に棲む詩人が紡いでいる
いつまでも色褪せない
磨きこまれたナイフ
のような綴りに痺れ
少しでも掬い取ろうとつかんでも
手 ....
またもや不意打ちに
なげこまれたアクシデント
水面がざわざわ騒ぎだす
バリケードをはりめぐらせたつもりが
いつもほんの一瞬のスキをついて
とびこんでくる



ズン と重く腹にしずん ....
「ダックス!」
といきなりいわれた
ソファーでひっくり返って
ノビている姿が
ペットショップで見かけた
ミニチュア・ダックスにそっくりだという
あんなふうにやわらかい腹をムキダシで
無垢 ....
甘やかな
ひとさじの記憶を舐めたので
それにすがって
いまでも背負う
185センチをもてあます
トンガッテ戸惑う魂を


(ウザイ)
(ウルサイ)


五角形のつぶてを
吐き ....
コンコースに響く
着メロの不協和音


スモッグの下
クラクションの多重奏


熱帯魚たちは
濁った街を泳ぎ


あちこちに転がる
温んだ水にまどろむ


浅い眠りの透 ....
親指でしか語れなくなった


指先が覚えてしまったのだ
無機質な凹凸に触れるだけで
整然とした文字が手に入ることを


まっさらな紙の緊張や
そこに落ちるイビツな文字
との格闘も捨 ....
とうりゃんせ と唄われた
神社の裏手
一本の老樹が
わずかに肩をいからせながら
両手を広げ
しどけなく枝先を垂らす


関所と謂われたこの地で
何のためらいもなく
敷きつめられた白 ....
おめかししてまいりましょう
からす瓜もほんのり色づいて
アザミの花が熱いため息ついたから
あなたに逢いたくなりました


おめかししてまいりましょう
赤いカエデに負けないように
くちび ....
森林の中
ひっそり潜む
小さな月


あさい眠りの
はざ間を泳ぐ
黒い魚影が


ゆらり と
身体をしならせ
ついばんでいく


冷たい魚の接吻に
吸いとられていく
 ....
さあ 耳を澄まして 心を静めて
金木犀の香りにだまされないで
こちらをじっと見つめて
あなたの手のひらにのっている
この罪は何の罪?


そう 口を噤んで 囀り止めて
秋桜の可憐さにま ....
ブラック・コンテンポラリーのリズムに身を委ね
カモミールの香りが漂う部屋の中
あなたへの想いだけが
ゆるゆると飽和して溶け出していく


手をのばして 重ねて 見つめあう
濃密なアトモス ....
あなたが見せたかったという
教会は
天草のひっそりした漁村に
静かに建っていた


教科書でしか知らない
隠れキリシタンの弾圧が
この地であったというのか


何ごともなかったか ....
服部 剛さんの渡 ひろこさんおすすめリスト(21)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ケ・セラ・セラ- 渡 ひろ ...自由詩38*12-4-9
sweet_wedding_sweets(祝福の歌)- 渡 ひろ ...自由詩20*10-9-21
服部_剛第二詩集『Famila』- 渡 ひろ ...散文(批評 ...7*09-5-27
脳内麻薬- 渡 ひろ ...自由詩21*09-5-15
恋花(コイバナ)- 渡 ひろ ...自由詩19*09-3-13
フルムーン・ラプソディー- 渡 ひろ ...自由詩17*08-10-27
塾帰り- 渡 ひろ ...自由詩26*08-9-22
ゼリービーンズ- 渡 ひろ ...自由詩21*08-8-11
ミスキャスト- 渡 ひろ ...自由詩18*08-7-7
ネット遊泳- 渡 ひろ ...自由詩23*08-6-10
内面鏡- 渡 ひろ ...自由詩26*08-5-1
ゆるゆる日和- 渡 ひろ ...自由詩20*08-4-15
ジゴロのごとく- 渡 ひろ ...自由詩17*08-4-8
盲た熱帯魚- 渡 ひろ ...自由詩9*08-2-6
メール症候群- 渡 ひろ ...自由詩29*08-1-7
花冷え- 渡 ひろ ...自由詩19*07-12-3
あかね色の慕情- 渡 ひろ ...自由詩24*07-11-9
月をついばむ魚- 渡 ひろ ...自由詩30*07-10-28
林檎の刹那- 渡 ひろ ...自由詩11*07-10-9
虹色の水溜まり- 渡 ひろ ...自由詩10*07-10-2
彼の地_天草にて- 渡 ひろ ...自由詩9*07-8-8

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