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小さな音で聞く
古い音楽のように
今日の何処かに住むような
哀しみであればいい
何より大切な光だと
思えた瞬間を
ふいっとこの手のひらに
思い出せればいい
東の ....
子供が蹴りあうボールのように
想う度に僕らは不器用に
必死にそれを届けあう
色 形 音 感触 重さ 揺らぎ
届くとき
その全てが僕の思惑とはまるで
違うものだろう
そ ....
国道の上で
灰白色の雲たちが
渋滞している
その下で
私の行先はどこにも
決められてはいない
恐らくそれは
初めから
私はひととき
歩みを止め
道の脇でそれぞれ ....
昼に見上げた薄い月の
その不確かな存在感とよく似た
獣が私に住んでいる
恐らくそれはずっと其処で
私に気付かれる事を
待っていたのだろう
それにしても沈黙は余りに長く
お互いの黒 ....
私の影がそろりと
地表から剥がれる時
私はやはり独りで
遠く空を見上げているのだろう
そして夜毎夢の中で
出逢う死者たちは
いつもと同じ柔らかな手を
差し伸べるだろう
けれど彼 ....
昨日哀しみを突き放し
今日の瞼は何も隔てない
地表を渡る細波を
裸足でなぞり
葉の無い枝のように
四方へと手指を広げている
数羽の鳥が羽を休める
屋根の上には
ソーダ色の空が
....
水の中に両手を
そっと差し入れ
泳ぐ魚の影を
そのくねりを
掬ってみたいと
思うのです
光と私はいつでも
とても遠い場所で
落ち合うけれど
必ずまた会えることを
知っています
....
ぼくがいなくなっても
さみしくないように
きみのまくらもとに
ちいさなかみさまを
おいておくよ
あるばんにだれにも
はなせないことがあったら
ちいさなこえで
ちいさなかみさ ....
彼方の灯火を目指して
星が時間を登っていく
宿題を忘れた子供のような顔で
君が僕から目を逸らす
様々な哀しみと喜びの選集を
投影しながら窓枠を
低速で横切る薄い雲
ガスレンジ ....
移る
ということは
時に哀しい
確かにあると
信じたものが
まるで儚い霞になるようで
移る
ということは
時に嬉しい
身動きがとれないほど
縛られたものから
ふいに解 ....
慌ただしい今日の影が
私鉄電車の線路の上で
蒸発していく
なぜこんなにも美しく
空は色の層を創るのだろう
混ざり合わない
それぞれの憧憬を
ほんのひと時
寄り添わせるように
....
浅瀬のような空でした
私は止まれない魚になり
そして反芻する言葉の中で
現実だけが薄暗く沈んでいきます
ぴしゃりぴしゃりと時間の岸に
私の影が跳ねています
それよりもあなたは
....
電話が鳴る
漆黒の闇の中から
それは誰でもない
誰かからの沈黙の暗号
受話器の向う側へ
言葉の無い声を弄る
焦げ臭い私の指先
電話が鳴る
跪いた気怠さの上に
凶器に ....
雨雲に覆われた街を
切り取る車窓を眺めれば
まるで僕らは
ネガの中を走っているよう
降り出しそうで
{ルビ堪=こら}えるあの空には
あとどれだけの
時間があるのだろう
始まれば ....
暖かな夕焼けを背負って
私は昨日を歩いている
土手の草陰に置き去りのボールと
空に絡まる電線
川の水は流れているようにも
流れていないようにも見える
背中を温める夕焼けが
実 ....
君は鳥が好きですか
僕はどちらでもないです
桜が咲くと嬉しいですか
僕は土手で寝転びます
今日は何か音楽を聴きましたか
僕は鈴木茂を二回かけました
夕ご飯は美味しかったですか
....
みどりいろのタネから
ぼくはうまれた
うまれたときから
ぼくにはポケットがあって
そこにはぜんぶが
つまっていたけれど
たいようにこがされたり
あめにしみこまれたり
ほしに ....
久しぶりに良く晴れたその日の夕暮れに
私の体温が奪われていく様子を
歩道橋の上から透明なカラスが見ていた
カラスはその向こう側が
全く透けて見えるほどに透明だったけれど
そのカラダの形 ....
うまれるまえに
だれだったかなんて
どうでもいいよ
うまれかわって
どうなるかなんて
しらなくてもいいよ
まっすぐまよわず
あるけなくても
きちんとじかんを
つみあげられ ....
ずいぶん遠くまで歩いて
きみのクツはまるで
最初と違うカタチのようにみえる
たくさん土の上を転がって
きみの服はすっかり
元の色を失ったようにみえる
何度も傘が破れて ....
まいにちは
ふしぎなくらい
いじわるで
かなしいことや
つらいこと
いっぱい
いっぱい
どこからか
せっせと
あつめて
くるけれど
....
橋は斜めに延びている
狭い歩道には影も落ちない
月も雲もいない
何人かの顔がよぎる
数秒の会話が流れる
いくつかの名前が着いて来る
どれもが此処にはいない
昨日に在る ....
昔私は2つ下の弟に
私は本当は他の星から来たんだと嘘をついた
それはちょうど私が小学校に上がる頃で
家には新品のランドセルがあった
どうしてそんな嘘をついたのかは分からないけど
弟は ....
次の風を待つ間に私は窓際に横顔を
貼り付けて猫背の時間を撫でていた
窓の遥か下にある小学校の校庭では
派手に盆踊りのテープが鳴っていて
けれどこの部屋には更に大きく響く
太鼓の賑やか ....
大きな布を広げたような
遠さのない空
ほどけた糸が絶え間なく
無言の街に降る
僕は何を創ろう
濡れたその糸で
痛みを忘れた
この指先で
雲は薄い水彩画
静まる街の片隅でそれを見上げる
風は止まない
誰かが植えた大きな木の葉が
不規則に踊り続けている
ふいに灰色の鳥が目の前の枝にとまり
世界のニュースを告げる ....
ちいさいときボクは うちゅうに しゅくだいをもらった
しゅくだいは うちゅうさくぶんだ
ちいさなボクは ちきゅうアパートの がっこうで
こうえんで しょくたくで だがしやで あきちで
ゆ ....
あまりに長い間ひとりでいたせいか
ある日わたしはふたりになってしまった
わたしたちはさすがに元ひとりだったので
顔も体つきも声も性格もそっくり同じだった
「さみしかったよね。」
「う ....
最近《なんとなく猫》がよくウチに来る
なんとなく猫は一匹ではなくて
その日によって違う
茶色もいれば黒も白もいるし
大きいのもいればまだ子猫なのもいる
なんとなく猫は何となくウチ ....
ゆうぐれが
ゆらゆら
なみだを
あつめながら
まちを
つつみこむように
あさもやが
さらさら
あたらしい
ひかりたちを
なでて
ながれていくように
....
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