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四萬
それチーね。
雀卓を囲めば深夜放送から流れてくる埠頭の風
東雲の左手には北の兄貴が居座り考え込んでいる
兄貴はいつも遅くて牌をなかなか手放さない
結果的にはカモ ....
恋愛ものムービーを見せて
観たアッフリカ部族の人に
感想聞いてみたならば、
あの人たちの食ってたランチが美味しそうだった
と一言 、
何だか理由も分からず可笑しくて
僕も彼女も互い ....
何だ、不満か?
君もいきがりたまえ
いきがれるように生きてこなかった
おまえのミスだな
と、ここで、この歳にもなってくると
人の不幸を笑えなくなり
身につまされるんです
明日 ....
{引用=
青い青い水面に溶けこんでゆく、
眩暈、
ふたりの抱擁、
時計の長短針が、
零からいきなり三十になったように、
逆さまにはっきりと映りこむ、
ふたりの不定形、
まるで半透明のゼ ....
Ⅰ.
夢はすべからくすべすべとしたまるい顔
ひとよんでのっぺらぼうという名の妖怪
さそわれて、肩たたかれて、ふりむけば
人まちがいだろうけれど「なんかようかい」
夜空は月の目玉を ....
雪の三千メートル稜線を
登って降りてまた登り
やっと槍の穂先
ピークに至り
青息吐息、霞む視界
ふっと明け拡がり
地に着く宙空に鮮やかに
青い青いテントの現れた
板張り浮き出た掘っ ....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
いやに初歩的なことから始めて恐縮だが
原稿がなければデータは組めない、right?
二か月まるっとは制作期間ですらない
原稿が、ないのだ
彼は何を焦っているの?
ぶっ飛ばしてもいいで ....
一瞬にして 、
光の回廊の現れ出て
頭くらくら意識の鮮やか
飛び散る血飛沫に染め抜かれ
自らの終わり観える瞬き、
警告のベルの鳴り渡り
光景の涯てなど掻き消し潰され
美しき夜明けも深 ....
公園通りを抜けたところで
突然、大粒の雨が落ちてきて
石畳を駆けぬけ
アーケードに避難した
濡れた前髪から
昨晩のヘアトリートメントのにおいが
密かにたちのぼる
フローラルウッディの ....
記憶の中に家があって
記憶の中に家族が居た
毎朝同じ時刻に
家族のような人たちの出て行く玄関は
毎朝違う場所にあった
ある日
家族のような人たちは
夏を連れてきた夕刻に
消えてしまった ....
風を誘い夜を酔わせて
瞬く余韻に溶けるもの
溶けて蕩けて目醒めては
熱気の空から降り頻る
雨 、
むっと時を淀ませ刻み込み
あの御巣鷹の空からすら
ひとひと哀しみ只々麻痺させ
....
月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった ....
小さな町の女の子は
空を見たことがない
小さな町の住人に
割り当てられた空が足りない
朝陽が昇ると溶けてしまう
うす紫のバスに乗って
小さな町の女の子は
茨の蔓を採りにゆく
野茨つるば ....
世界が動いている
私も動いている
くるくるぐるぐる
脳髄廻りを思考の蠢き
月明かりの
雲間からさっと射す、
肉身の苦痛 始まる最中
ベランダに出れば 、
私の中か世界の中か
....
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右に探る
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからずに
からのからっぽ
だったはずの
空間は
次第にそれ自体の
存在を漲らせ
だら ....
今宵
閃光にうばわれた
満月は雲
火は華と化し、
秒速の命を生きる
あまたな人を幸せにするため
匂いを放つ 月光のうすあかり
遠く遥か隣り街に 山の端を染め
火の華を 見下ろ ....
或る季節風の朝
街中でコートをひるがえし行く
女の紅よ
結ばれないと解っていて
湧き出る胸の音楽に
自分をすら見失う時
陽光に己が肌をさらすことも出来ず
根なし草の様 ....
コンコン、と
ノックはするけど
返事もしないうちに
入ってくるママ
机の上に
紅茶とお菓子を置いて
口をあけて
パクパク、パクパク
何を言ってるのか ....
{ルビ蟷螂=たうらう}よ その身に棲まふ禍(まが)つもの おまへの腹はおまへを喰らふ
小学生のころに、道端とかで、カマキリの姿を見つけたりすると、ぼくは、よく踏みつけて、ぐちゃぐちゃ ....
ダイアモンドが石ころの様に落ちていたら
美しいと感じて拾い集めただろうか
僕が僕であると感じるは孤独の中だけなのか
君にあこがれる僕は僕のままでいられるのか
学者が残した幸福へ ....
光る眼の夢のような
道なりに太陽の傾く
夕べに尚も耀き続ける
朝陽の訳も云えずに
荒い粒子の踊り舞う最中 、
不協和音たる人の
協和音から遠く
不協和音の渦中に
投下された最強 ....
(遠雷まだかな
(どうして?
(だってうるさいんだもん!
ネリーさんは水でできてるみたいだね
(夏、だからね
ってほら
言ってるそばから排水口に吸い込まれちゃって
夏は濡れやすいから気を ....
渚に書いた君の名前は波にのまれ潮風とともに去っていった遠い夏の日
生き物は真実のなかで生きていたのだけど、人だけがなぜだか知らないけど、言葉によって創造世界を作り上げ社会をつくり今や全地球をすっ ....
薄緑の歩道橋の真ん中で
さざめく街の空中で
立ち停まっている女を見た
遠目で黒い日傘の女をみつめていると
眠くなり汗がじわっと体を包む
街の建物の間を
車が川のように流れ ....
午後になった
扇風機をとめて
水を届けに出かけた
ひび割れた路面と短い影
歩く時も俯く癖があった
草刈の辺りで風鈴売りとすれ違う
音、聞いたのだからお代を、と
干からびた掌を差し ....
叢雨を
なぎたおす
台風の来ない
窓へ
風が吹くとき
それでも
窓を叩く音が
隙間から染み込んで
砂が石になってゆく
秒針を
あわせようとする
ちくたくと
この指で ....
高きから低きへ
流れるように
憤りの前の
ため息
それほど
無知に対して
知っているふりを
振りかざせるなら
水はいらない
勝手に
親だから
....
郊外に
佇み居る
きりすとさん
白銀の輝き帯びる
出で立ちにて、
今宵を照らし出し
いよいよ真白く微笑む満月の
太陽に自らを委ね明け渡す折図り
夜明けの空海✠から地平に沈み
濃密 ....
夏休みがくる
あの子がいますように
いや、いませんように
毎年 祖父母の家で暮らす夏休み
解放される天国の季節
いつからか
夏休みに必ず出会う少年
透き通 ....
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