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なんてことない夜に
マンガみたいなことないかな
おもしろいことないかな とか
ああ。今がそこまでおもしろくないんだ、と
面白かったときを一瞬
思いだして反射する
もう落ち葉みたいに
....
詩人は筆を選ぶと誰かが言った
釣り人は竿を選ぶ
今夜は憧れの渓流竿を落札した
宝石のような魚が呼んでいる
明日は雨だが深山の様子を視にゆこう
挙動不審でも怯えていたわけでもない
ただ少しだけ、自分自身から離脱したような感覚があっただけだ
道を歩いていたら、おばさんに声をかけられた、どこの方?
僕は、なぜ、人に声をかけられると、妙に ....
論理的には全世界が自分の名前になるということが理解できるか?
(イアン・ワトスン『乳のごとききみの血潮』野村芳夫訳)
ほかにいかなるしるしありや?
(コードウェイナー・スミス『スキャナー ....
初夏の風に吹かれて
ぼくは睡魔に襲われた
李白と盃を交わし
{ルビ白酒=ぱいちゅう}を底まで飲んだ
青い瞳の舞姫は{ルビ胡旋舞=こせんぶ}を踊り
宴は興を増してゆく
李白は酔えば酔うほ ....
彼には、入れ墨があった。
革ジャンの下に無地の白いTシャツ。
ぼくを見るな。
ぼくじゃだめだと思った。
若いコなら、ほかにもいる。
ぼくはブサイクだから。
でも、彼は、ぼくを選んだ。 ....
それにしても、『マールボロ。』、
いまだにみんながきみの愛について語ることをしないのは、いったいどうしたことなのだろう。
(リルケ『マルテの手記』高安国世訳)
誰もが持っている ....
土留色のナイショが蠢いている
秘めごとを沢山食べて大きくなった
巨大な海鼠にも似たナイショが床を這う
ナイショの匂いは潮風のようだった
こんなに丸々と育ってしまったら
きっといつかバレて ....
{引用=
日々の蓄積された労働によって、もうすっかりとひび割れて、枯れきってしまった。そんな心の大地の奥底から少しずつ滲みでてくる、君という存在を知っている、ボクの中から生じられた、補おうとする水な ....
詩は君よりも自由で
全ての矛盾を受け入れてくれる
矛盾を恐れる君の代わりに
詩が矛盾してくれて
愛も憎しみも
優しさも厳しさも
君の矛盾の無限大も
葉の上から零れ落ちるたった一滴の雫の中 ....
ゆらりゆらりと
漆黒の水底を泳ぐ孤独な生き物
彼らは輝く太陽を知らない
ぼくらは昼と夜が無いと
生きてはゆけないのだ
太平洋が反射した灰青色の空から
雨は音も立てず降りてくる
寒冷紗のようにふわりと
海を見下ろす緑豊かな岬は
優しい雨に包まれ白く霞む
草を食んでいた岬馬の澄んだ瞳
雷光を映して光り
....
秀才という彼は字義通りに成績もよかった。
しかもお馬鹿な僕たちから見れば身なりもキチンとして、大人媚て立派に見えるから余計に鼻につく。
そして何を聞いても応えても(なるほど、なるほど)と頷く ....
きみは渓谷のファイターだ
外来生物であるのに
上手く同化している
釣ってよし
食べてよし
新聞配達の帰り路
商店街の本屋で立ち読みをして
店主がハタキでぼくを追い払おうとした
芥川龍之介の短編を三作読んだので
もういいかと…
店主は咳払いをした
糸杉の生垣が植わっている坂道 ....
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サルモ属には
キングサーモン、ピンクサーモン、シルバーサーモン、トラウトサーモン、スチールヘッド、チャムサーモン、アメマス、オショロコマ、イワナ、アマゴ、ヤマメ、アユ、ニジマス、イトウ、サツキマス、 ....
軽トラの荷台
雑に置いた荷物は
ブレーキを踏むたび ガタン、コト
水色のボール
良く見たら紫陽花
風で震える水面を従えて 満開
昇りきった陽は
もうずいぶん落ちてきたところ
金 ....
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虹鱒はほっこりと
ヤマメはとても繊細で
イワナはホロホロと
みなそれぞれの味がある
ぼくは必要なだけで釣り終わる
素粒子はひとつの宇宙
この宇宙もひとつの素粒子
ぼくらはその集合体で
数えきれない宇宙をもっている
生死を無限に繰り返し
{ルビ縁=えにし}あるものと再び出逢う
生まれたものには必 ....
今夜は眠い
酷い不眠症なのに
何故か眠い
琥珀を飲んだら
眼が覚めた
来週はまた緑に溶けてゆく
透明な水をかき分け
鮮やかな{ルビ生命=いのち}を奪う
舌鼓を打つたび
一粒だけ涙を流す
突然の嵐に襲われ躊躇した
飲んで 飲んで 飲みまくり
今夜は酔いつぶれ
明日は本音を吐くから
信じてください何時までも
私の周囲にあったものは、すべて私と同一の素材、惨めな一種の苦しみによってできていた。私の外の世界も、非常に醜かった。テーブルの上のあのきたないコップも、鏡の褐色の汚点も、マドレーヌのエプロンも、マダ ....
愛されて
十七年
妻は頬笑み
別れると
ぼくは涙を流した
雨降りお月さまは、どこへ行く?
それは雲の上、星の彼方。
わたしたちには見えないものも、
宇宙飛行士なら眺められるね。
雨降りお月さまは、どこにいる?
きっと今は、隠れんぼの途中。
彼 ....
あの原稿を送った後のことだ。ジュネの『葬儀』を読んでいたら、こんなことが書いてあって、驚かされた。
とつぜん私は孤独におそわれる、なぜなら空は青く、樹々は緑で、街路は静まりかえり、そして ....
『イル ポスティーノ』という映画を見ていたら、パブロ・ネルーダの詩の一節が引用されていた。
俺は人間であることにうんざりしている
俺が洋服屋に寄ったり映画館にはいるのは
始原と灰の海に漂 ....
揺れる楕円がことばを塞ぐ
甘い香りと露出した果皮が目前に迫り、
獰猛な括れと若い膨らみが
荒い呼吸とともに 静寂を犯した
仮面を剥いだ匂いを指がなぞる
然も危険な場所を呼び覚ますように
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