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ウメが好きといっていた母が亡くなり
十三年もたち忘れていたころに
実を結んだことで思い出話しの花が咲き
居間の隅で笑っているご先祖様に会釈して
今日一日がやっと終わろうとし ....
死なない日の朝は
母の優しさが欲しかった
歪な世界の片隅
私にしか見えない景色
いつも途中で終わる
意味不明の夢の経緯を
母は聞いてくれた
覚えていますか
夢の途中を
....
女は朝早く家を出て行って、俺は彼女の最後の言葉をシンクの中で火葬する、昨日まで続いていた雨は止んで、ブルーの薄いスクリーンが貼られてでもいるように空は均一に青い、真夏の様な猛烈な光と熱が暴れ始めて ....
私の肉身の
今を生き生きと
筋肉の盛り上がりいき
けれども
着実に滅びに向かい、
私の魂の
今に思考し感じ行為し
未来を切り開きつつ
けれども
眠り入れば意識失い、
何一つ保証 ....
ずらっと並んだ白い大根
土で茶色く汚れた太い脚を晒し
眩しいほど鮮やかな翠の髪を銀色の網目に垂らす
井戸からひかれた冷たい井戸水被っても
気持ちよさそうに水滴浮かばせ
脚を組み自信ありげにそ ....
車窓から見える白樺の森
希望の街を後にして
着いたのは無人駅
ボストンバッグを肩にかついで
見渡す景色に唖然
世界でたった一人になったかのよう
同時に
心 ....
希望を取り戻したら
人を信じていた頃の歩き方の練習をする
夢中になれるものがないなら
ただ歩くだけもいいだろう
僕がどこまでも行けると思ってた頃
太陽がどこまでも暑かった頃
あなた ....
句読点のように
あなたは
暮らしの中に
花を飾る
音符のように
あなたは
暮らしの中に
言葉を並べる
本の頁を捲るように
あなたは
暮らしの中に
楽しみを見つける
....
街の明かり灯り
拳を握る子供の
小さな、
それでいて力強い手
遥か遠く置き去りにされた
記憶の帷を突き破り
開く時の瞬間、
内包された何か
ぐんぐん伸び来て
一気に展開され
....
南の祖母は
星の名を教えてくれた
できの悪い生徒である私は
星の名をときどきまちがえた
そのたびに
牛乳をいれたコップが割れたり
黒猫が尿路結石になったり
母の眼鏡が折れたり
祖母は言 ....
一
僕らが互いに
傷つけあうことで
互いの心に
拳を打ちこむことで
五月の空に
広がっていく亀裂
それは、樹のようにも見える
幹の下から仰ぎ見る
真っ白な枝の広がりに ....
夕暮れ時の後ろ影が何か言ってら
後ろ影、紆余曲折の果てに
辿り着くべき場所を
わたしと云う意識が
わたしではない
本当の私へと
辿りながら
バカっタレが
貴様がワタシはワタシだと
....
夕方と云う緩衝地帯
埋葬される思い出
忘却と麻痺の葬送
なんにもなくなる
からこそ
例えばあの子の
コーヒーカップ
その素敵な色合い
時流からふっと
浮かび上がり
くすりと ....
届かせて
普通の自分に
それだけで
願いを使い切って
しまってもいい
驚かせて
これまでの自分に
それだけで
人生が埋まって
しまってもいい
生きさせて
これからの自分に ....
僕が摘み取られたものは何?
これまで生きてこれたものの
命からがらだから
誰か僕をもとに戻してくれ
あと少しでうまくいきそうなんだ
それを続けるために
バラバラになったのを集めてくれ
酒 ....
あめのやみ
あおのひろがり
ひびくもの
どこもかしこも
あるものあるもの
ひびくもの
もの哀しくも可憐な相貌
開いて結んで打ち下ろす
ときのじんわり
ひろがりいき
いきづく ....
171号線を
バイクで走る
奇跡的に壊れずにいたから
赦されたのだろうか
色々なものを振り切って
走る走る
道がずっと続いていて
色んなところに繋 ....
心の均等が崩れてしまいそうで
何もかも亡くしてしまいそうで
独り震えてた
君の優しい眼差しが天から降って来て僕は救われたんだ
捨てられた仔猫みたいに
その場その場を頼りなく生きて来たのに ....
ひさしぶりにかえってきた娘が
玄関を開けて
いえのにおいがする、といった
ずっとこの家にいるわたしには
そのにおいがわからない
いいにおいかどうか
よくないにおいかどうかも
わたしが息を ....
この朝に 、この夕に
しとしとしとしと雨降り続け
私と云うものに込められた
深い想い 、時の広がり
受け容れさせる愁雨の静かさ
朝に夕に浅く慰められる憂鬱と
自ら汚したこの魂の刺抜き ....
幼子の眼に映る淡い幻(ゆめ)
揺らめく色彩が鮮やかに通り過ぎ
輝きは更に強さを増して心の奥に強く刻み込まれてゆく
焼き付けられた記憶が勇気を与えてくれるから
握られた手のひらが光を集めて涙 ....
おぶわれた彼女は彼に傘をさす
耳と耳をくっつけて
時折 顔を見合わせて
どうか神様 この二人が
このまま幸せでありますように
あの日 竹林の小径
傘の縁から ....
何だよ
その態度は
僕なんかに嫉妬するなんて
いやただ見下してるだけか
その態度をやめないと
消えちまえって思うだろう
いつも戦って生きてきたんだ
だからもうやめてくれ
色んな意味 ....
{引用= 夕暮れに、きょうもひとは、 めいめい帰ってゆきます
その中のだれも きのうのゆめの つづきを読んでいる調子です
まっさらな気持ちで空を飛ぶ はじまりのページにまき戻る
....
五月五日、
なかば強制されている春、
どうしてもせざるを得ない、
タイヤこうかん、
いっぴきの蜜蜂はわざわざ庭先にまで見学に来て、
となりの家の庭では、
紫と白、ツツジがいつの間にかもうす ....
人間の細胞はおよそ37兆個の細胞からなるという
元素は酸素・水素・炭素・窒素・カルシウム・リン
手元に残るのは焼骨のリン酸カルシウムくらいだけだ
残された者はそれを後生大事に故人を偲ぶ
大空に ....
消えていく
響キの
残り香から
また
発光し生まれ来る
未完成を自ら導く意思、
なんの計画もなく
企図だけ澄み
この世この次元に
生きて息ある限り
意識ひろげ続け
器 ....
「よふけのおいのり」
おいのりは気もちがよくって
あたらしいシャツに
あたらしいこころ
あたらしい宝石を身につけて
あたらしい体すら手に入ると
そんなふうに思っていたけど
よふけ ....
「せつないさかな」
せつないさかな
せつないさかな
壊れかけのさかな
壊れかけのさかな
泣きたいな
かなしいから
泣きたいな
かなしいけど
泣きたいな
かなしくても
泣きたい ....
■同じ少女■同じ男の子■同じ世界■同じ場所■同じ小路■同じ国■同じ地方■同じもの■同じ言葉■同じ見方■同じ人間■同じ問題■同じ階段■同じ手段■同じ方向■同じドア■同じ形■同じ理由■同じ意味■同じ場所■ ....
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