逆行
純太

戦争の前夜
挑む者はどのような心境だったか

逆行の世
傷みを知った者極楽へ行けば
そこは癒しの都
しかし教訓を地獄へ葬る

子が親を殺し
親が子を殺す
向こう三軒両隣互いに挨拶もなし
他人の子供を叱る人も夢
叱れば地獄の粉が天より舞う
と洞察する現実
そしてその現実はブラウン管から
より現実に放射される
悲しき悲しき

競争の中では
いつからか悲劇の主人公で振る舞い
ついで脳みその回転が良くなったゆえ
心の悟りも得たと勘違い
病んだ己と太陽の眩しささえ
他人のせいにし
人に苦言を贈呈されれば
修羅の命でわがままを通す

真実の歯軋りの音は
今は聞こえない


おい どこかで
涙が我慢をしているよ


殴られる痛みを潜り抜けようなんて
そんな世間知らずは極少
あの頃の血潮は
親子や兄弟なのではなく
皆が人間の価値を知っていた
長き安逸は暗黒を招くことも
だから人への思いも不動だった

きっとそうしなければ
あの戦争がまたやってくると
漠然と皆に漂っていたのだ


自由詩 逆行 Copyright 純太 2006-01-18 23:31:01
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