子宮ヶ原発、老人ホーム行
成澤 和樹

畳の上で死にたいとは思わない
むしろ畳の下敷きになって
老人ホームにも行かないで
遠く遠のく意識の果てで
頑固ジジイと罵られ
諦めながら死んでいく
そんなカッコつけた
馬鹿げた死に方
してみたいもんだ

経験したことがないから
死ぬのが怖いんだ
経験したことがないから
死を見てもどこか抜けてるんだ

一番大切な人が死んで
初めて死がリアルなもんに思えるんだ
初めて生が尊いもんだと思えるんだ
そこまでしないと分からないんだ

子宮ヶ原からやってきて
老人ホーム行きを拒んで外れていく
レールを無視した
そんな馬鹿だから
ただの酔っ払いだから
犬死したいなんて
リアルなもんを知らないまま
そうやって死んでいく


自由詩 子宮ヶ原発、老人ホーム行 Copyright 成澤 和樹 2005-02-12 20:52:13
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