「夜の牙」なら知っている、
石原裕次郎や浅丘ルリ子の出てくる
日活アクション映画なのだけれど
否。ちがう、夜と牙とは別々だ

某日。夜さんは牙さんに
桃のような柔らかなお尻をガブっと噛まれ ....
黄昏の陽は降りそそぎ 
無数の葉群が{ルビ煌々=きらきら}踊る 
避暑地の村で 
透きとほった風は吹き抜け 

木々の囁く歌に囲まれ  
立ち尽くす彼は 
いつも、夢に視ていた 

 ....
目を閉じて
果実たちの歌をうっとりと聴いている君の午後
に あたり前の登場人物のようにとどまっていたいのに
何故だろう砂のようにこぼれてゆく僕の輪郭
すっかりこぼれてしまう前に
君に気づいて ....
しっかりと背筋の伸びた
背中を想い出す

負けず嫌いで前のめりな
背中を想い出す

スーツの ジャンパーの
似合わないポロシャツの
背中を想い出す

ブレない 振り向かない
 ....
 ゆうべはねむれないまま舟を漕いだ
 ねむれないまま舟を操り蘆を払って湖沼をすすんだ

 朦朧とねむれないままもとの舟着場にもどる
 と、先がみえない霧のなかを漂流していたことがわ ....
黄色い壁伝い 石畳の路地
幅一メートルほどの狭い路地を歩き続ける。
どこまで行っても路地
何時になったら この路地抜けられるのか
少し、焦りながら歩いて行く

突然視界が開け
突然光が戻 ....
だれかぼくに
長い手紙をくれまいか

すっぽり暗いすり鉢の空の底
吹雪のあけた だだっぴろい広場に
まんべんなく雪は敷き詰められて
だれかが夕暮れの紅いろうそくを吹き消す
すると
取り ....
唇を重ねたように
息がつまりそうな真夜中
声を荒げて
逃げだしそうになる都会の真ん中で
小さな羽虫たちは
か細い灯りに寄り添い
汗臭い涎を垂れ流している

相槌のない会話が延々と続 ....
○が□に惚れたのは

とても嵐の午後でした。
大きな嵐が横切った
山を越えて谷を越え
川を跨いで横切った。
嵐は朝から走っていたが
なぜか□は電車に乗って
○のいる図書館に
ビニール ....
るん

光が
さえずってる

北風に耐える
常緑樹の
尖った指先の上で

るん

光が
うわずってる

北風を壊す
自転車の
忙しないスポークの間で

るん
 ....
ここには海がないのです
人をあざける海鳥たちの鳴き声のかわりに
杉森をこごえさす雪の白さが
躊躇いもせずに町をみたしている

知らないもの同士が連れ添うような
紅茶のカップを二つ温めながら ....
初めてあいさつに行ったあの日 
「箸にも棒にも引っ掛からん奴だ!」
と言われ互いにテーブルを平手で叩いた 
嫁さんの父さんが 

同居を始めて数日後 
仕事から帰り 
下の階で勉強する僕 ....
霧の音を
水の音が割り
沈む虹を追う
流れない冬ばかりを
追う



ゆうるりとうすいまばたきが
冬の窓をすぎてゆく
内と外は
眠りながら見つめあう


火 ....
出かけようとして出かけられなかった朝に
ひとりの女性の顛末を知る

喩えようのない過去の行状
足跡の是非はともかくとして
不治の病に長らく臥していたとのこと

病棟の小窓に映す時代の移ろ ....
 
 
道路を丸めて食べる
どうしたら草の音みたいに
生きることができるのだろう
 
曲った色鉛筆
間違えないように覚えた言葉
値札の無い指の軌跡
並べることばかり
いつの間にか上 ....
ほめられることが少ない子どもでした
目立たない子どもでした
選べない子どもでした
得られないとあきらめていました
うらやむこともたくさんありました
少し
たくさん
泣いたこともありました ....
 農業をする蟻ハキリアリをみていた
 福山雅治が
 素っ頓狂な声をあげた
 列をなして葉っぱを運んでいる
 きりとった葉っぱをミドリの帆にして巣穴に運んでいる


 蟻の道が ....
北東の隅にある茶色いシミは
無鉄砲で幼いエネルギーが
やるせなくせり上げた僕の山脈

山肌に滲んだ汗と涙は
入り組んだ等高線に弄ばれながら
諦めに良く似た水色の帯となり
 ....
その褐色の巨人は
毛髪からエレキを放電し
異様な叫び声を上げたり
心を揺さぶる言葉を呟き

その褐色の巨人は
無骨な太い指で
楽器の喉元を押さえ
楽器の内臓を掻き毟って
悲鳴を上げさ ....
僕は詩人になりたいのです
春なのに溶けるほどない雪や
夏の蒸しタオルのような暑さを
東京の君に伝えるだけの
詩人になりたいのです

谷川さんや吉野さんの詩には憧れますが
僕にはそれほどの ....
鍵盤の隙間
忍ばす剃刀
赤い雨だれ
にわかに注ぐ

私の中では
ただ一つだけ
美しいもの
赤い雨だれ

叔母の形見の
白いブラウス
パラリパラリと
野薔薇を咲かす

手首 ....
 郊外電車の車窓から夕暮れの開発地が見える。電車はあるときは半地下に潜り、あるときは高架線となり、田園地帯を我が物顔に走る。路線の駅に会わせて区画整理された街並みは美しいが、ほんの数百メートル移動 .... 駅前のデパートが閉まると聞き
短い帰省の間、立ち寄った
商品のない売り場と
間もなく解雇される店員たちの笑顔が
とても痛々しかった

逃げるようにエレベーターのボタンを押したとき
七歳の ....
愛さえあればなんてね
でもそれってお金で買えそうな気もするよ

何もしないからと言いながら
私の背中に変なのを押し当ててくる

そんな安っぽいんじゃなくてさ

至高の愛
とか
無償 ....
雪の降る日には
わたしの手は凍えてしまい
擦り合わせても
擦り合わせても
ちっともあたたかくなりません

デパートで500円で買った手袋をして
いっしょうけんめい擦り合わせ
じっと火を ....
中央ユニバーシティ
動物園を追い越し
山に向かって行けば
都心より
最低気温が5℃は下がる

中央ユニバーシティ
南に見える帝京大学
東は明星大学
位置関係は
ちょっと適当よ
ど ....
看板ばかりが大きな
古ぼけたシェブロン 
停留所のサインも なにもないそこに
長距離バスがやってくる

テール・ランプの冷たい光りの帯
夜の街は、行き場を失った静けさに満たされ
月の光さ ....
浜町で地下鉄を降りたら
明治座を背にして
とっぷりと暮れた
甘酒横丁をまっつぐ歩く

人通りも疎らな通りを
吹き抜けていく北風が
飼い馴らしたはずのひとりぼっちを
カ ....
夢で逢いましょう
夢で逢いましょう

だだっ広い駒場グラウンドの
野球場とラグビー場を区分けしている並木道
両側を生け垣とランダムに生えている並木
生えているのは桜の古木
ごつごつとした ....
 なにが有効な手なのか
 わからないままに
 かれは
 もう、とっくに
 地図に表記されていない場所にきていた

 音がない
 姿がない
 赤い血が
 ながれることのない ....
渡 ひろこさんのおすすめリスト(2910)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜と牙- atsuchan69自由詩11*11-2-11
涙の遺言_ー野村英夫への手紙ー_- 服部 剛自由詩511-2-11
君の午後- 塔野夏子自由詩7*11-2-11
背中- nonya自由詩16*11-2-11
舟を漕ぎおわって陸地にたつと- 石川敬大自由詩18*11-2-11
路地2- ……とあ ...自由詩9*11-2-11
ぼくに手紙を- オイタル自由詩11*11-2-10
息遣い- 乱太郎自由詩15*11-2-10
恋に落ちて- ……とあ ...自由詩7*11-2-9
るん- nonya自由詩14*11-2-8
水仙の惑い- 月乃助自由詩23*11-2-8
甘酒の味_- 服部 剛自由詩411-2-7
冬へ_夜へ- 木立 悟自由詩1311-2-7
顛末のひと- 恋月 ぴ ...自由詩22+*11-2-7
手渡し- たもつ自由詩1711-2-6
少女期- 朧月自由詩511-2-6
ハキリアリにおもう- 石川敬大自由詩24*11-2-6
ボンヌ図法としての僕- nonya自由詩16+*11-2-5
JimiH_3- ……とあ ...自由詩7*11-2-3
詩人- kawauso自由詩511-2-2
グリッサンド- ハイドパ ...自由詩311-2-2
訃報ー通夜3ー- ……とあ ...自由詩711-2-2
とても控えめな愛に育まれていた頃- 西天 龍自由詩24*11-2-1
かさねるひと- 恋月 ぴ ...自由詩20*11-1-31
あたたかい手- within自由詩8*11-1-31
中央ユニバーシティ- 花形新次自由詩5*11-1-31
帰郷- 月乃助自由詩14*11-1-30
- nonya自由詩17*11-1-29
夢を見ましょう- ……とあ ...自由詩8*11-1-28
パカッと割れた苦悩なんかない- 石川敬大自由詩17*11-1-28

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