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桜並木のその先にある病院で大事な人は死んじまった。
二年も前の出来事で、
桜並木のその先で大事な人が死んじまった
最後に見つめる瞳は
俺に一言
助けて だった。
....
白濁した海に混濁した意識が漂う
二年漂った結果は
表面がぶよぶよした海月状の肉体
漂うままに
また、意識が突然回復する
白濁した海の彼方の水平線は
鈍色の空に溶け込んで
その先にある ....
朝露に濡れた薔薇のつぼみよ
蕾の持つ美しさ
それは未来(あした)という一瞬の輝き
過去(きのう)は蓄積され
そして、沈澱してゆく
現在(いま)は消費され
そして、過 ....
歩いて 歩いて 歩いて 歩いた
道の先には丘があり、その先めざして、
歩いて 歩いた。
会える何かをめざして歩いた。
丘の先には空があり、空の中にはぽっかり雲が
歩 ....
哀しいこと 思い出一つ 沈んでゆく
猫が降りてくる きみを探しに
二つの命と六つの思い出
あやめが咲く頃 三回忌です
幸せの街、幸せの国
グロスナショナルハッピネス
GNHが世界一
何が幸せの基準なのか
GDPは156番目
民主主義には程遠い
民族衣装の着用義務
何をするにも許可がいる
それでもみんな ....
朝の微睡みの中
腹の上に行儀良く座っている黒猫
薄く開けた眼の先には
彼女の瞳がある。
夢と現(うつつ)を行き来するうち
そのまま抜け出した僕の意識は
彼女 ....
奇妙な絵だった。
空には赤い月
青いグラディエーションの夜空に星はない。
地平線は白く
大きな駱駝が1頭
太い大きな足は象のようだ。
蹄はなく
指が三本
駱駝の顔は大きい。
....
座敷の鍋の中から窓越しに雲が見える。雲に隠れた月がぼんやりと
少し前の地震で己が実を揺すられ、少し味が出汁に溶け出したかもしれない。
食欲満々の座敷の客たちは鍋の火加減を気にしている。
解体前の ....
弁慶が大口開けて鍋の中
曇天月隠す湯気あんこうの鍋
煮凝りやぷるんとする皿皮の裏
舌鼓おやじに高笑いでも無く福笑い
角の老舗の佇まい
ガラス戸を開けると顔を出す
ぬっと顔出す親父の顔は ....
川端康成的なもの
左手の小指薬指の
欠けた少女よ
僕は君に恋をする。
君に微笑むことは出来ても
結ばれない
約束すらできない少女よ
僕は君に恋をする。
そして、 ....
天気が良いなどという言い回しは誰が考えたんだか。
九月の晴れ渡る青空は凶暴としか言いようの無い
殺人熱光線の矢を地上に叩き込む。
しかも肌に纏わり付くスチーム爆弾を抱え込んで
アスファルトが歪 ....
八月一五日、僕は早朝仏壇の前で線香を上げ
手を合わせ、妻の位牌に向かって詩の息を吹きかける。
随分長い間詩を書かなくなった僕は肺の中にたくさんの思いが膨らんでしまい
他人様には気づか ....
梅雨晴れの下
ビール腹を揺らし
何處に行くか?蛙一匹
ゲコゲコと鳴きながら
生ビールを求め
下戸下戸と鳴く
また、どんよりとした空の下
ゲコゲコと鳴きながら
舌なめずりして
....
その男
生まれたときは貧相で、猿にも似た面立ちで
決して可愛い泣き方もせず、
その男
幼児となって生意気に
おさがりは嫌だと駄々をこね
その男
友も作らず師も知らず
世話を ....
心弾む春の息吹を感じられる今
街中にぽつりぽつりと桜色が見える。
昨年
駅から病院へのだらだらとした並木道
物言わぬ君に逢うため、毎日歩く桜並木
春はもう来ていて、桜は花弁を散らして ....
黒猫
サッシ窓の外の白い雨
買い主のベッドの上
端正な座り方をしたまま
黒猫は夜の雨を眺めている
飼い主が死んで一年
じっと外を見ている
黒い瞳に映っているのは
寒い線なのか
....
海に行きたい
夏の海に
あなたとの強い想い出の大抵は冬で
冴え渡る多摩の空の下から富士を望んだり
電車に揺られ詩的なものを探しに出たり
さよならを言えずに雑踏で握手を交わしたり
冷めな ....
言葉に質量があるかと問われれば
あるのかと問い返す。
あると仮定すれば、の話だが
その質量は意識と比例して膨張し
膨大なものとなり、ついには
意識の中枢に重くのし掛かる
言葉の中で ....
姫様
こんな朝には目をつむり
芯部の痛みをやわらげるのです
色無き人々の圧迫などには
目も向けず
想うのです
ぼくを
スノーホワイト
赤い果実はあなたの芯部で
いかなる毒をしみ出 ....
コンビニの駐車場と壁沿いの喫煙所の側で
畑とその向こうのアパートを背景に
ひなたぼっこをしている2匹
にゃー
にゃー
細く甘えた声で私たちを見上げる
にゃーっていってるね
2歳の子の ....
嬉しいとき
悲しいとき
歌がある
一緒に過ごす歌がある
寂しいとき
楽しいとき
歌がある
一緒に寄り添う歌がある
歌が失われるほどの
深い心 ....
全ては言葉で始まるのかな。
ものは言葉で存在し言葉で言えないものは存在しない・
絵にかけなくても言葉になって、人の間を漂って・
人の気持ちも言葉になって、言葉が無ければ気持ちも無 ....
すみません!!
僕、ぐうたらなんです。
ぐうたらなんですから
ほっておいてください。
何か偉い人とは違いますから
偉そうな人はそこかしこにいますが。
ところで、
空があることは知 ....
根の堅州(かたす)まで逃げ果(おお)せるか
その先黄泉(よみ)の暗い道順(みちゆき)
荒神谷の奥深く
人影も無く、道も無く
鬱蒼(うっそう)とした下草と
室(むろ)を作る地(じ) ....
キャンバスにぶちまけられた
黒い染みは
ロールシャッハテストの染みではなく
怒りの沸点を超えた悪意の染み出たものです
俯瞰して眺める自分の視点は
この惑星の遙か三萬キロ上空にある
季節 ....
かすかな気体が母音をまねて
つつましく
遠くの空をながめる子
瞳に映る季節、また季節
繰り返される慈しみ
陽射し
向こう側へ手をふる
帰れないと知っても
魂は旅をするかしら
平行 ....
古墳群に立つ
前方後円墳の周り
鴉と古木
楠の古木が一本だけ屹立する
人と古木
楠の古木も敵わない
古木といったところで七〇〇年
その倍の歳月をこの小山はやり ....
世界は認識の中にある
平面に沿ったGのみの世界
天井が眼下に
床が頭上に
滑り落ちながら
眼下に床が
離れた鉄棒の上から
回転しながら上昇し
そのまま落下する
視点から眺める部屋の風 ....
およそ文芸である以上読者がいて、
個人的な人生あるいは社会的になんらかの影響力をもつもの、
あるいは芸術としての愉悦を読者に与えるものでなければならない。
なんてね!
詩として
C4 ....
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