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幼い日
五月五日
かしわもちが右手の親指にからみつく
ふわふわした髪
大きな耳
口元に大きなえくぼがあった
一瞬の喜び
木の床に ....
最初の一歩は
校門へ
向かう小さな登校路
桜の花びらが
ひらひらひらひら
舞っていた
ピンクの風が吹く季節
母の手をぎゅっと握り締め
木造校舎の仮講堂
校長先生への御挨拶
一生 ....
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ
少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっか ....
季節の変わり目に窓の外を眺めている。
外は雨 外出
細い両目から差し込む光の筋
不足するイメージの光量
暗い頭蓋骨の内部を照らす
プラネタリュームは暗く
毛穴ほどの大きさの星の光のみ
....
橙色の絵の具しか
見つからなかったので
君を描いてみた
夕焼けなんかじゃ
痛すぎると思ったから
青色の絵の具しか
見つからなかったので
僕を描いてみた
海なんかじゃ
....
今日は風が強いのでティラノザウルスは巣に閉じこもったきっり外に出ようとはしない。風が身にしみるのだ。ただひたすら蹲っている毎日。彼はハンターだが最近とんと獲物に遭遇したことがない。もちろん空腹で仕方が ....
もうちょっとを掬い集めても
もうちょっとはもうちょっとのまま
それでも息なんかふぅっと吹き付けたら
袖口でゴシゴシ磨いてみた
やっぱし、もうちょっとはもうちょっとのままだった
....
居間の壁の掛時計
アナログ式の長針短針
ゼンマイ仕掛けの
チクタクチクタク
チクタクチクタク
チクタクチクタク
ゼンマイ仕掛けの
チクタクチクタク
長針短針 進むごと
景 ....
もうちょっとを掬い集めても
もうちょっとはもうちょっとのまま
それでも息なんかふぅっと吹き付けたら
袖口でゴシゴシ磨いてみたけど
やっぱし、もうちょっとはもうちょっとのままだった
....
{引用=薔薇よ薔薇
私の体を養分に美しい花を咲かせておくれ}
あの人は行ってしまった
私の手の届かないところへ
ひとり取り残された私は希望さえ失くしてしまった
絶望という名の牢獄に囚 ....
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きらきら光る
硝子の破片
きらきら光る
小川のせせらぎ
寂しく独りで
光っている
きらきら
きらきら
光っている
....
いくつもの
肥え太った想いが
出口に殺到して
立ち往生している
よこしまで
メタボリックな想いが
喉の奥でせめぎ合って
脂汗をかいている
バイパスを回り込んだ
耳障りの良 ....
季節の変わり目に窓の外を眺めている。
外は雨 外出
細い両目から差し込む光の筋だけではイメージの光量が足りない。
そのため、頭蓋骨の内側を照らすプラネタリュームは暗く星の光は毛穴ほどの大きさ ....
「愛してる」
簡単じゃないはずなのに
誰もが街なかでささやきあっている
君だけを
このひろい世界を
※
勘違いしてしまうのかな
束縛されたく無いはずなのに
相手 ....
割れて つまづいた障子紙の陽射しに
つけられる風 ことり ごとり
削りこまれた細工 ひろがる窓の内
ビンの底のガラス 集めた昼の鼓膜
ホコリ マ ミレ
柱の影絵に 散らかっていく
....
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言(コトバ)が
剥がされている
という状況
あり方
それに対する思い
惜別ではなく
決別ではなく
哀悼ではなく
非難でもなく ....
わだかまりの小石を
ランゲルハンス島の砂浜に
捨てたところで
塩辛いもやもやは
寄せては返す
しがらみから逃れようと
前頭連合野の深い森を
彷徨ったところで
粘っこいもやもやは ....
奥へ奥へ
枝の洞に
鳥のかたちの灯が燈り
迷いの声で話しはじめる
強すぎる光が
目に残すしるし
指が指を
抱き寄せるしぐさ
夕陽を知らない川を
流 ....
夢でもし会えたら
とても素敵なことで、
そのために眠りに落ちるのも悪くない
昼間に会ったところで
思いのままにはならないし
一緒の気持ちになるにはとても時がかかる
春にあなたに ....
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** いつものイタリアンレストランで **
今日の昼食には
初夏の香りと笑いのレシピ
笑い声を集めて作る
レシピは初夏の匂い
....
牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき
駅前通りに二匹の妖精 ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない
たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
街の底の暗がりに
今日もジッと上目遣い
月の光の届かない
煉瓦倉庫の一角で
人を脅す生業(なりわい)の
舌なめずりで誇りもなく
動くことすら億劫で
知性の欠片は今何処
物欲食欲性欲と
....
思い出の箱を
春の野に
夏の朝に
秋の鳥に
冬の霰に隠してる
栗鼠のように
大切な食料
びっくり箱のように
色彩が溢れないように
暗証番号つける
秘密のファイルのように ....
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おいらは鈎にぶらさがったあんこうさ
口からいっぱい水を呑まされて
ぶらさげられて
身を削ぎ落とされる
皮も
鰭も
胃も
腸も
....
不器用なのだ
皆と一緒に
綺麗に泳げないから
海底の泥の中で
ぶつぶつと独り言を
溜め込んでいる
腹が減ると
ぬめったアンテナを
おずおずと立てて
雑魚をおびき寄せては
....
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春に向う
眠りから覚めるがよい。
若者よ目を開けよ。
口を少しく開けたそのけだるい表情こそ
生得の感覚。
風を感じるがよい。
足の ....
湯船に沈んで
樋から流れ落ちる
雨の音を聴いている
植物石鹸の楕円と
豊潤な湿度
*
砂時計の沈み込む
流砂を視ている
ぼくたちは砂漠のなかの
バンドウイルカ
疲れたら、休 ....
バスタブからあがった
ブロッコリーが塩と胡椒で
身支度を整えている頃
次から次へと切り出された
キュウリの楕円形の
車輪は朝日を照り返して
クロゼットからはがされた
レタスが ....
おさんぽカーには幼い顔が幾つも並び
桜の木の下をゆっくりと進む
時おり吹き抜ける風の冷たさに
ぐずる子がいて
あやす保母さんの肩には桜の花びら舞う
※
手を繋ぎあう ....
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