ひとりが好きな傷つきやすいあなたは
ある日突然
真新しい窮屈な制服を着せられて
教育者たちの話はうわの空で
たくさんの見知らぬ同級生と整列し
汗ばんだ手を握りしめる
十年後の四月
堅 ....
おまえとビバークしたい
花粉の舞いとぶビルの屋上で
段ボールを敷いて、
テントなんか張らずに
星空を仰いで夜を過ごしたい
ポケットにはウイスキーもある
柿の種とかっぱえびせんだってある ....
曇天朝のエイプリルフール、
無音の響、意志に刻まれ
思惟、死者生者と共走る走る
熱い感情の園から追放され
自ら熱を沸き起こす
昇り来る朝陽の照射
ガーベラ輝きの真紅
花冠に創造力 ....
降りかかる真紅の花群れ
大輪の魂、大股で闊歩し
道ゆく人々を過ぎ越す
朝早き時の裂開し 、
降り頻る花群 躍動する魂
光の春風ひと吹き熱し
永久の切っ先、世界を掲ぐ
....
えぐい話が続く
えぐみとか、誰が求めているのですか
需要があるんですよ
凌辱ものとかあるでしょう
そんなものは求めとらんよぉ
熱闘消毒してみましょう
煮てみましょう、焼いてみま ....
春なのに
びっくりするほど哀しい
いやなことはやく過ぎて
春なのに
まだねむり足りないと思う
目ざめないでと思う
春なのに
こんなに綺麗なのに
ただ笑っているだけの
もう ....
忘却された物にこそ
花の咲き誇り在り
見えないもの 、
見えるものを
覆い包み込む。
狂った時計を森の奥深く
猫の眼時計店に持って行った
ギィーと扉を開けた
こんにちは… 時計を直して欲しいのですが
店主は黙って文字盤を確かめた
これは狂ってはいないよ
ほら 見 ....
路上で
あなたの作った歌を
うたって
お金をもらいました
全部で二千五十円でした
よっぱらった 二十代後半くらいの
サラリーマンと
両手首に
数珠をいっぱいつけた
老婦人 ....
硝子の抜けた窓を透け
川に浮かべた傘いっぱいに
夕ぐれの街が溢れる時間
暮れる光のにおいに
昨日と明日が
すれ違う今が翳りとなってひそみ
貨車が黙って
曳かれてゆく不安で
すぐに下 ....
公園の水面に睡蓮が咲いている
ウスバカゲロウがふわりふわりと飛んでいた
ときおり
魚がポチャリと水面を跳ねる
貴婦人が日傘をさして橋の上から
池の睡蓮を眺めていた
ぼくはベンチ ....
潜み咲く花 、朝に
朱に色付き溢れ垣根越し
女人の影 伸びゆくアスファルト、
冷風浴びる脳髄に
光の熱流 ゆるやか浸透し
やがて覚醒する思考意識のダイナミズム!
かろやかに私の肌を包み込む羽毛よ
....
春が来た、カーテンを閉めよう
落ち着きのなさを気付かれぬように
行く人、とどまる人、帰る人
私の行く場所はどこかと、心が騒ぐ
花をつけ始めた桜は堪える
激しい雨風に打たれても
花の散っ ....
いろんな顔たち
現れ互いに語り合う
この夕べに
意識の内で
彼ら彼女ら余りに鮮やか
声の聴こえず
口の動き表情の変化
ああ余りに鮮やか浮き立ち
嬉しそうに哀しそうに穏やかに
しばし語 ....
たったたらりら
言ったらば
明日も 日曜日なのだと
思えていたんだ
ジグザグに 歩いていた
でも 遠くなるばかりで
君は もう いなかった
雨上がりのにおいを追う
つ ....
命が染める
花冠の真紅
燃え立つ
森の深みへ
誘う命の灯り
満々と水、
疾駆する車の到着する
真面目くさった顔に
紅潮した君は美しい
快活な笑い ....
水と夜の境に小舟を浮かべ、
満天の煌めく星々を灯りに艪を漕ぐ
海の風が星からの歌声を運び、
甘く幽かなソプラノが船べりを撫でる
銀河のうねりが船を揺らした
艪の先の海を覗くと、
青く耀 ....
生かすため
全力を注ぐ
そしてコケにされる
いいんです
こけこっこ
子どもみたいに感じて
大人みたいに考えられる
今、
よかったと思う
縒れてるけど
また桜が咲くよ
こう ....
みまちがえるほど
美しくなったきみは
微かに少女の面影を残して
窓際の席で紅茶を啜りながら
リルケの詩集を読んでいた
机を並べていた頃は
何でもなく話せたのに
椅子に画鋲を仕掛け ....
黒人さんも乗って居た
死んだ叔母さんも
乗って居た
その車に、
私は今 飛び乗る
思惟、燃える
アッフリカの太陽!
宝石箱ひっくり返り
無数の宝石の煌め ....
いのち
ここにある
そこにない
どのいのちも
大切なまま
さざめきざわめく 風の向こう
「今日もまたお寒い一日で」
遥か燦然と風の向こう
光の海原さざめきざわめき
そっと生まれる春の風、
光の海原きっと日毎に吹き広げ
幻のステージに、
昭和を生きた女がいる
鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
....
深海の水底に眠る者たちよ
我らはいま至福の中で歌っている
君たちは永遠に若く
我らは次第に歳をとってゆく
君らが捧げた{ルビ生命=いのち}は
決して無駄ではなかった
傲慢な思想 ....
朝霧のもやる中で
ぼくは尾瀬の夢をみた
ニッコウキスゲの咲く湿原に彷徨い
{ルビ詩=うた}を歌いながら
ぼくは大切な何かを忘れてしまい
グルグルと彷徨った
あれは何だろう
ルビー ....
彩色ノうねりうなり
純白となりカタチ形造り
知らない君の顔、
〉断崖絶壁眼下に立ち〈
肉一つ震え揺るがず。
全然めでたくない正月がありまして
形ばかりの春が来まして
もうちょっと上げて行きましょう!
上がるわけあるかいや
気を揉んだってしょうがない
Let it be の精神で
そん ....
きっと きっと
きみを幸せにするから
ぼくを信じて欲しい
ずっと ずっと
好きだから
雨の日も
風の日も
雪の日も
変わらない約束をするよ
言葉を交わした日を覚えているか ....
柔らか純白の歪な形に輝き響かせ
ふっくらふんわりふらりふゆうし
あるもの在るものと頷かせ白雲よ、
火球の燃える天空を遊泳しながら
こんなに色づき薫り漂う梅の香と
重なり連なり大地の営みと ....
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