薔薇の花弁の縁から橙が染みて
みえないくらい細い管を伝っていく
酔いが芯に伝わる頃合いに目覚める
ことは望んでいなかったのに

考えるのを許さぬ身体は誰のもの
やはり私のものであり
でも ....
秋の横顔は
暮れる空を向き
旅立ってゆく鳥の影を
ただ見送っている
あなたも早くお行きなさい
手遅れにならないうちに、と

バスは来た
回送だった
けれどいったいどこへ戻るというのだ ....
住む場所の変わりて水は甘くなりわれ懐かしむ塩素の匂い


きょうからは花野綴じられ立冬の訪れしこと足から沁みる


旅立った秋を追うことゆるされずこの世の生の切なさ想う


みあげれ ....
雪の街を歩きたい
ってあなたが言ったら
本当に降ってきたあの日
わたしは応えなかった

降らない街で
本当に降って

雪は

きれいでした
綺麗だった
降る音も
確かに聴いた ....
{ルビ夕星=ゆうずつ}の夕より深い夕が来て十一月の宙の産声


箱舟の群れが港を離れゆく未明という名の{ルビ時間=とき}の幕間


金と銀そしてこちらは銅の夢おさない日日のトラウマが問う
 ....
わたしはさよならを言う
リボンに言う
履き潰した靴に言う
一度も使わなかったルージュに言う

遠く北国のきみが 雪だ と言う
未知のどこかの知らないあの子が 雪だ と言う

あ ....
ジョン・ケージのような一陣の風が
時折吹き抜ける早朝に
雨は既に止んでいた
誤算を重ねて扉が鳴る
別にゴジラがいるわけでもなかった
父と母が降りて来る
バナナを食べる父
私はバナナを決し ....
春に出会う
あたりまえのように
それが君だった
日々があった

見えるものは見えるもので
見えないものは見えないもので

見えるものを二組の目で見て
二人はたまたま近い気持ちを感じた ....
街路灯に恋したらしいサルスベリがあって
幹はもう真っ直ぐにはもどれないだろう
と 私などが案じなくとも
それでも愛しくも切ない一本であり

九月の散歩道で出会う度に花の
その数や勢いをまで ....
一つ恋めばえても花を望むまい仄かな想いのままが身の丈


強がりを組み立て終わり終わらなくても終わったと消したアドレス


昨日みてない虹でした明日もまたみたいものです出さない手紙

 ....
男だって泣いていいのに
今すぐに泣いても不思議はないのに
見てるのつらいから
気持ちに素直になってほしいのに
君は俯くこともせずにまた
見上げて坂を上り続ける
瞳が憶えているのはきっと
 ....
うまくいかないことばかり

悩んだり 愚痴ったり
戸惑ったり

なさけないけど
こんなもんさ

今夜も酒のんで
よっぱらって
憂さ晴らしてる

まあいいっか

愛する家族に ....
月までは案外近い
いつか行き来できる日もくるかも、と
あなたはいうけれど
それが明日ではないことくらい
知っている
人は間に合わない時間が在ることを知っていて
間に合う時間だけを生きてゆく ....
寝苦しい夏に猫との熟睡がかなった不思議な十七年余 水甘しご飯も甘し祝禁煙 瞼を閉じると 
ピラミッドの中に閉じ込めれている自分が 見える
ときには 女王としてそこに留まって居ると勘違いしているときもあれば
奴隷として 居場所のない居場所に存在していると 思うときもある ....
人魚姫対岸をみて泣いている男女二つの影の七夕


地球では雨が降っても宙は晴れ人魚の想いとうらはらに晴れ


織姫がもどる頃には泡となり人魚はとわの一年の旅
もう恋はしないと決めた哀しさを一人のものとして綴じる寂しさ


{ルビ夕星=ゆうずつ}を見ない日続く梅雨のなか届かぬ{ルビ手紙=ふみ}とそのあてのなさ


ジャズピアノ似合う私でないけれど ....
去る者は追わない

留まることも知らない

たとえ自己であっても

心の空白は埋めない

ただ眺めるのみ

朽ち果てた窓辺に

降って行く証しに

行き着く叫びは無い

 ....
【時鳥】

ある一時 
保育園のときのセリフは  小鳥の役柄だった 
「ニュースだよ ニュースだよ たろうさんのお宅に あかちゃんができたよ」 
小鳥役の私が 時空のかなたからやってきて ....
薄く なまめかしい生を 朧にたずさえて
キミは 呼吸している


しみじみ キミは 黒曜石だ

意識する外界に ぶしゅと 放出させたものは
どんなにか甘美な夢でしょうか 
キ ....
初夏のきみの窓にはいま何が あまやかしても いいのだ
けして つめたいだけの人ではないのだから
心のかよわない言葉しか 今は ないけれど

こどものころの私に あの人が教えてくれたレシピ
ビスケットケーキ
 ....
かれは、いま 叫んでいる
遠くを見ている人々にむかって
かつては 矢じりを誓う猿だった人々にむかって
現代という うつつに居る私にむかって

かれは ごみ捨て場で 半透明の袋にいれられたまま ....
聡明な目が おきゃんに くすりと笑ってる
黒板の端から端へと 飛び回るプリマドンナ
人差し指のプロジェクタースイッチが効かないときの
パソコンに急ぐ あのお方のご様子は マドンナなの  ....
コンクリート塀で爪を削ったら香ばしいかも春の日和に


春の雨青いペディキュア塗ったのに取りだす長靴の中には蜘蛛


風船のゆくえを見ていた昼下がり友の顔が思いだせない


東 ....
都市は 心の模倣だろう
粉糠雨に 街灯が燈る
心の溝にも 点在した明るさが次第に道になる

見えない糸で繋がる送電線
車のように動きまわる明かり
しずかに一人きりの夜をともす ....
満ち満ちた
広大な海原を
熱情と共に
船は往く

海流は船体を揺らし
行く手を阻むが

若人の心
前方遥か彼方を
見据え
動くことはない

憧れを胸に秘め
艱難を物ともせず ....
塩水をときおり吐いてみたりする夜に閉じてる眼は二枚貝

塩辛いこの世を生きて行く{ルビ眼=まなこ}せめてゴーグル装着させて

全力で見てくる犬の眼ぢからはやさしく射抜くチョコレート製

目 ....
難しいことはいいのだ

シンプルに

感じ ときめき

笑い 泣けばいい

難しいことはいいのだ

空を見上げ

青空にとけ込み

鳥になればいい

海に飛び込み

 ....
夏川ゆうさんのおすすめリスト(1061)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ブレックファーストソーセージ- 深水遊脚自由詩1*17-11-18
バス停- そらの珊 ...自由詩18*17-11-16
「立冬二〇一七」_四首- もっぷ短歌817-11-13
雪は- もっぷ自由詩717-11-11
「風の止まり木」_五首- もっぷ短歌517-11-10
さよならリボン- もっぷ自由詩417-11-3
早朝- 間村長自由詩1017-10-30
さよなら- もっぷ自由詩417-10-27
いざない- もっぷ自由詩517-10-21
恋歌_9首- もっぷ短歌317-10-14
君が立ち止まる時- もっぷ自由詩317-10-14
まあいいっか- 星丘涙自由詩6*17-10-2
秋窓- そらの珊 ...自由詩25*17-9-8
帰りたい夏_*- もっぷ短歌217-8-7
≡☆- もっぷ俳句3*17-8-4
- るるりら自由詩14*17-7-13
「もう一つの七夕伝説」_三首- もっぷ短歌217-7-7
かおるのおと_「あてのなさ故」_七首- もっぷ短歌417-6-29
心が震えて- 宣井龍人自由詩5*17-6-6
時鳥- るるりら自由詩13*17-6-5
しじみ- るるりら自由詩12*17-5-26
étude(窓)- もっぷ俳句3*17-5-22
クリミイ_ふくろう_- るるりら自由詩8*17-5-10
黒曜日に- るるりら自由詩10*17-4-3
青い鳥の飛来- るるりら自由詩13*17-3-4
春だから五つの短歌- 印あかり短歌8*17-2-28
粉糠雨の街灯_- るるりら自由詩19*17-2-22
若き旅人- 星丘涙自由詩2*17-2-18
まな子- そらの珊 ...短歌8*17-2-17
ほほえみ- 星丘涙自由詩3*17-2-1

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