胆力を発揮せよとはご無体な。胆石できそな僕が言っても
こやつらがもう泣かなくていいように、道化てみたらよけい怖いと
健常者と共に行きたいどこまでも、わけわからんのがとにかくいやで
選 ....
青く照らされた砂浜に
微かに残した面影は
君が海へ帰る時
足跡は波間に消えて
涙だけが満ちてくる
「私を探さないで」
砕けた波飛沫は呟いた
寄せては帰る海の鼓動
君への ....
ペットボトルの口が開いて
水蒸気舞い上がればイルカが波に乗ってやってくる
街のカラスが餌を探す
幼虫は産声を上げるその時をじっと待っている
怪しくもない人々が夜を擽るのは 塵
....
かくれんぼでもないのに
おしいれに入る
大人になった僕だって
泣きたい日はあるから
おしいれに入る
布団の柔らかい重み
心地よい苦しさ
そのうち僕は
安心して眠ってしまう
....
海賊は正規軍には勝てない
どんなに強くても
強い海賊が正規軍に登用されて
さらに強くなる場合もある
昔のカリブ海では
中国では上下ひっくり返ることも
ままあったようなので
その限 ....
そこの誰でもが背びれや尾びれをもっている
幼年時さかなだっただけなのだけれどね
そこの誰でもが哀しみを抱いている
それは
すでに干物になるまで
のこるのものかもしれないんだが
....
目がいいというのは
単に視力のことだけではなく
同じものを見ていても
目に留まらなかったりすると
目が悪いのだと
たとえば一枚のスクショからいろいろなものが
見て取れるのだが
流行り ....
靴を脱いだ時
紐を解いてみた
靴ひもは結んだままだった
靴ベラで無理やり履いて
踵を押さえて無理やり脱いで
足を守ってくれる大切な靴
ストレスをか ....
夕焼けが寝転んでいるニ年前
何も知らないから知らない場所にいる
俯くと五臓六腑も俯いた
夕暮れが立ち上がるまで影と待つ
かつてこの星には100万の
小世界があった
1億の集落と1千の都市国家
黄金の旗がなびくここちよい風が
すべてのサーガがいまでも生きている
きみは英雄でもなくパーティーもなく
大河 ....
ちょっと寂しいけれど熱っぽい宇宙
ワンダークールな時間の始原をゆめみる
いつも隙間だけで君を愛せたのだろうか
それともそれはただの幻想だったの
いつも反論がむなしいように
そのひとが ....
こんな時間に目が覚めて
どんな時間?
草木も眠る丑三つ時に
いずれ一人になる
その時にこんな夜に
また荒廃体験に襲われぬとも限らない
その時が来たら
自分の持 ....
謙虚に考える人たちがいる
SNSの主導権の取り合いなどからは一線を退いて
学者とはこんな感じか
しかしそれらも無傷ではいられない
知らないことは大事じゃないから知らないのだと
知るべきこ ....
<ある夜に>
安らぎとは無関係な温かい鎖が静止の糸を引く
生煮えの記憶が歌いずるずる亀裂が揺れる
左耳から右耳へ爆音が通り闇は大きく息を吐く
<鳩が一羽>
鳩が四 ....
連れてきて5年は経つだろうか
当初から敷き詰めた砂を蹴散らしては小さな魚を追い廻す
我が物顔で水槽の中を暴れ廻っていたおまえも
わたしの姿を見つけてはじっと動かなくなる
大きく成長するのも ....
こんな寒い夜だから
いつまでもここにいよう
(非常の際は、ここを破って
隣戸へ避難してください)
自分の不本意を私にぶつけて
ここに閉じ込めた母
あの時見た一等星は
今日も ....
草木たち 話に花を咲かせてる
星はひとみたいに滅んでまた星に
「ないっすか? ナイスな椅子は」「ないっすね」
かき氷みたいな色の穏やかさ
人 ....
原稿用紙100枚400字詰めで4万語描かなきゃいけない
100年の生を貰ったとしたらそれを埋めなければならない
嫌だと言ってもたいした選択肢もないので
義務教育ですくすく育ちすぎたのに
生 ....
犬
朝の静けさの中で
犬が吠えている
すべてに届くように
昼のざわめきの中で
犬が吠えている
君だけに届くように
夜のささやきの中で
犬が吠えている
すべてを打ち ....
僕のツイッター、コロナのコの字も出ない
まさか鈍感、まさに鈍感
子を持つ母のツイッターは違い
毛を逆立てる母猫のようになっている
言うなかれ、ヒステリックと
守ろうと必死なのだ
....
詩集を出したばかりの頃
卒業後初めての同窓会があった
みんなそれぞれの世界で活躍していて
「詩集を上梓しました」と宣伝すべき立場と
疎ましく思われる現実とに混乱した
高1で同じクラス ....
たぶん僕は悩殺よりも瞬殺派だ
まわりくどい締めゴロシよりは死刑が良い
ときどき趣旨を忘れたりするが
詩みたいなものを日記みたいに描く
僕にはまっとうな友達がいないみたいだ
アビー ....
かの方を分析しないでこれ以上 最上階の遊び場は空
キーワードいくども使う人たちは なりふり構わず生き続けます
善悪の圧をかけられinput outputは抵抗させて
善し悪しはも ....
海底99メーターの孤独
エヴェレスト単独登攀の孤独
子供が離れた孤独と
爺ちゃん婆ちゃんのいない孤独
不安に怯えても孤独と融和しようぜ
もう子供じゃないんだから
もし好きなことがあ ....
古代はひがないちにち風を吹かせて
日捲りはやがて春を忘れてしまうだろう
肩甲骨のあたりの憂いは上等な娯楽あるいは
ながれついた憎しみをも拭い去ってしまうのかもしれない
あの娘はときどき ....
防災行政無線が鳴る
振り込め詐欺にご注意くださいと
毎度、空襲警報みたいで嫌いだ
世の中にそんなおいしいものがあると
思っているからそんな目に遭うのだ
では世の中にそんなおいしい
....
あるいはがらんどうの街に棲む
たまさかさびれた繁華街で遊ぶ
恋の歌は春の猫のように
かなしいやさしい歌だろう
愛は重すぎていつも栄養学的に
分析できないものなのでしょうね
失わ ....
自分を無知だと認知する
自分の知っていることは
他人ももう知っていると
錯覚する
自分は自分を知っている
他人もそれを知っている
と思い込みお話しする
当然誰も知らないので
こ ....
立ち寄った風に
何処に行くのか尋ねた
風はそれには答えず
貴方は何処に行くのか尋ねた
何処にも行かないよ
と私は口ごもった
全くの戯言だと
中途で気付いたからだ
風は別 ....
空は青
緑のにおい
ああ嵐だ 春の嵐
目から雨
鼻から雨 ところにより洪水
ざわざわとゆれるわたしのこころ
ああ嵐だ 春の嵐
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