レタス

みまちがえるほど
美しくなったきみは
微かに少女の面影を残して

窓際の席で紅茶を啜りながら
リルケの詩集を読んでいた

机を並べていた頃は
何でもなく話せたのに
椅子に画鋲を仕掛けた悪戯もできたのに

いま きみへの道は遠くなってしまった
ぼくは高鳴る鼓動を抑えて
珈琲のおかわりを頼んだ

少しでも長く同じ空気を吸えるように
少しでもきみの面差しを垣間見えるように

甘やかな香りの珈琲をゆっくりと飲んだ



           初出 日本WEB詩人会 2024/03/13


自由詩Copyright レタス 2024-03-13 22:36:05
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